地域ケアは誰が担うのか 住み慣れた場所で最期をー文化厚生連が研究会2017年9月28日
日本文化厚生連は9月21、22日、東京都内で「厚生連病院と単協をつなぐ医療・福祉研究」を開いた。高齢者の医療・介護は施設だけでなく、地域全体でみていこうという地域包括ケアを誰が、どのように担うのかについて、講演と意見交換を行なった。
地域包括ケアシステムとは、認知症高齢者の増加が予想されるなかで、限られた医療資源を効率的に活用し、切れ目のない医療・介護サービスの体制を築き、地域に生活する高齢者の住まい・医療・介護・予防・生活支援を、地域で包括的に行おうというもの。
そのためには在宅介護を基本に、看護師や理学療法士などのリハビリテーション専門スタッフのほか、管理栄養士や介護福祉士、薬剤師など多くの関係職種が関わり、さらには医療ソーシャルワーカーやケア・マネージャーなどとも連携する。背景には高齢者の医療費負担の増大を抑えようとする国の医療行政もある。
研究会では、高齢者になっても住み慣れた地域で家族と暮らし、重度の要介護状態となっても自分らしい生活を人生の最後まで継続できるようにするにはどうするか、について実研究報告や実践報告をもとに、高齢者介護のあり方を検討した。
記念講演で静岡県島田市のレシャード医院のレシャード・カレッド院長と、長野県厚生連佐久総合病院診療部長・地域ケア科の北澤彰浩診療部長、それに群馬県JA前橋市の永井佳司生活福祉課長が、それぞれ現場における介護の実態と課題を報告した。
(写真)地域包括ケアについて意見交換した研究会
◆他職種との連携を
レシャード院長は、一人の医師にできることの限界と可能性について話した。同医師はアフガニスタン出身で日本で医学を学び、日本に帰化して島田市で病院を開設し院長に。さらに介護老人保健施設、特別養護老人ホームなどの福祉施設の理事長に就任した。またアフガニスタンで医療と教育を柱とした復興支援に取り組む「カレーズの会」を立ち上げ、活動している。
地域包括ケアシステムは、在宅医療の充実が大きな課題。同院長は「医療の原点は、病人の元に元気な医療従事者が出向くことだ」と考えている。それを充実するには、「医師、訪問看護や介護スタッフの不足が障害になっている」と、人手不足の問題を挙げる。
これをカバーするため、医師会と市民病院、診療所間など、地域における他職種との連携が必要で、介護施設はなるべく街なかにつくることを提案。「静かで自然環境のよさではなく、生活の臭いのあるところが、周辺の人との接触があって、入院者にとってもよい」と考えている。
◆ケアは本人主体に
佐久総合病院の北澤部長は、同病院の基本的な考えと開院以来の歴史を紹介。同病院は地域包括ケアの必要性が強調される前から一貫して、「地域住民全員が自分らしく、希望する場所で亡くなることのできるまちづくり、地域づくりを行ってきた」と自負する。つまり、本人の希望に基づく本人主体のケアであり、同時に在宅医療・在宅福祉が基本となる。それを支えるのは病院や訪問看護のスタッフのほか、同じ地域に住む住民だというわけだ。
同病院のケアは、亡くなった患者の遺族訪問や地域ケア科登録患者の故人を偲ぶ会など、死後の遺族、地域住民も含まれる。同部長は、これを「看取りの文化として確立する必要がある」という。最後に同医長は「医療は民衆のものであり、民衆がつくるものである」という、佐久総合病院の創設者である故若月俊一氏の言葉を紹介し、地域ぐるみ、住民ぐるみの医療・介護の重要性を強調した。
◆小規模多機能型で
JAの介護事業について報告したJA前橋市生活福祉課の永井佳司課長は、「通い」を中心として要介護者の様態や希望に応じて、随時訪問や泊まりを組み合わせてサービスを提供する小規模多機能型居宅介護を展開している。人手不足、施設の地代・建設費の高騰にも対応できることから、同課長は「在宅サービスの中心となる可能性を秘めている」とみる。ただ人材不足は解消できず、特に職員の定着率を高めるため、多店舗展開し施設間での人材交流、JA同士の連携の必要性などを指摘した。
研究会ではこのほか、厚労省老健局老人保健課介護保険データ分析室の西嶋康浩室長、社会福祉法人・協同福祉会の村城正理事長が講演し。最後に「協同の力でどう包括ケアシステムをつくっていくか」でパネルディスカッションを行なった。
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