総合事業の強み発揮し担い手支援を JAバンク担い手金融リーダー全国大会2019年2月19日
農林中央金庫は2月13日に第14回JAバンク担い手金融リーダー全国大会を開いた。金融をめぐる情勢や担い手支援の先進事例などの報告をもとに参加者でグループ討議を行った。
(写真)第14回JAバンク担い手金融リーダー全国大会
◆金融と経済 一体推進
主催者の農林中央金庫・中島隆博常務理事は、日本の農業は大規模化、法人化が進むなど変革期を迎えているなか、現場からは資金だけでなく経営承継や海外進出など幅広い多様なサポートが求められていることを指摘し、JAの信用事業も経済事業と「しっかりかみ合って対応力を強めていく必要がある」とし、そうした取り組みが徐々に実りある実感もあることから、事業とともに県域などの組織とも連携を深めた、一層の担い手支援の推進を呼びかけた。
来賓の農水省経営局金融調整課の川村仁課長はJAグループの自己改革について「外からやらされているのではなく自分ごととして改革に取り組み、農協は変わってきたという声も届いている」などと述べ、改革を継続し「事業を連携させ総合事業の強みを発揮してほしい」と期待を寄せた。
情勢報告は農林中央金庫の木村吉弥営業企画部長が行った。自己改革への取り組みを機に、融資先が7200を超え、額も年3800億円となった。しかし、地銀なども参入しシェアは下がっており木村部長は「これに歯止めをかけなければならない」としてJAの農産物販売額の7割を占める担い手が資金借り入れニーズの半分を占めるとして、貸出強化プランに基づいて資金の組み立て、所得向上に向けた解決策などを担い手に積極的に提案していく必要性を強調した。
また、JA全農の永島聡耕種総合対策部長がTACの活動状況と金融部門との連携強化の取り組み状況を報告した。担い手からの相談は、販売先開拓、新規作物、法人化、労働力確保など多岐にわたっており、それに応えるにはTACと担い手金融リーダーが参加するミーティングなど情報を共有する仕組みづくりなどの重要性を指摘した。
◆農福連携は新たな産業
基調講演は今年度の日本農業賞大賞を受賞した静岡県浜松市の京丸園(株)の鈴木厚志代表取締役が「ライバルはディズニーランド-笑顔を耕す農園の挑戦」と題して同社の農福連携による農業経営を話した。
農業で自分の力を人のために役立てたいと意欲を持つ障害者には多様な個性と能力があり、従業員100人中25人を雇用、多様な人たちが働くことで売上げも伸び「強さと持続性を持つ」と鈴木代表。年齢層も16歳から82歳と幅広い。浜松市は行政としても誰でも参加できる「ユニバーサル農業」を推進している。
同社はJAとぴあ浜松のTACと販売・生産計画を立て多彩な市場に販売している。「JAが農業経営を育てれば従業員の給与口座や健康診断まですべてJAの事業を利用することになる」と総合事業の機能発揮を求めた。
(写真)基調講演する京丸園の鈴木代表取締役
先進事例報告はJAにいがた岩船の農業融資相談員の小田哲也氏が行った。同JAでは2名の農業融資専任と2名のTACが席を向かい合わせて業務をしており、双方がリアルタイムに情報を共有。担い手支援で心がけているのは「経営をよく理解すること」。同行訪問には地区の理事にも同席してもらうなどJAの姿勢を示す。若手農業者との意見交換会も開き、担い手のニーズを把握する努力もしている。小田氏は「事業間連携の仲介や農業経営体の育成も課題。担い手の意見を反映させた事業展開をめざしたい」と話した。
(写真)事例報告するJAにいがた岩船の小田農業融資相談員
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