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シリーズ:新世紀JA研究会 課題別セミナー

2018.12.14 
JAバンクを取り巻く環境と次期中期戦略 【後藤彰三・農林中央金庫代表理事専務】一覧へ

・どうとらえる信用事業の代理店化
・中金の事業戦略とJA福岡市の報告もとにあり方めぐり意見交換

 JAは信用事業の代理店化を選ぶかどうかの選択が、これから迫られることになる。新世紀JA研究会の第21回課題別セミナーでは、この代理店化をどうとらえるか、そのあり方についてJAバンクの事業戦略と、信用・共済事業を軸に地域に根差した事業を展開しているJA福岡市の報告をもとに意見交換した。

JAバンクを取り巻く環境認識

後藤彰三・農林中央金庫代表理事専務 JAバンクを取り巻く環境については、人口減少・高齢化による農業構造の変化や事業基盤の縮小、マイナス金利の長期化による資金収支の悪化等、構造的に厳しい状況にあり、将来にわたって続くことが想定されます。
 一方、他業態においても厳しい経営環境は同様であり、地銀・信金等による経営統合・合併、業態を超えた事業連携、デジタルイノベーションやAIの活用による要員捻出・強化部門への投入等の動きが見られ、さまざまな角度から事業戦略を模索している段階にありまする。JAバンクとしても、将来の勝ち残りをかけて、速やかに事業変革を進めていく必要があります。
 また、各県域・JAが創意工夫のもとに進めている「自己改革」については、農協改革集中推進期間の期限である平成31年5月まで、残り約半年となるなかで、その成果を確実にあげるとともに、組合員・利用者との対話や幅広い情報発信等を通じて、地域のより多くの方々に、JAグループの取り組みを認知・理解いただく必要があります。
 併せて、収支環境が大きく変動するなかにあっても、各事業が持続可能な収益構造を構築するために「信用事業運営体制のあり方」を検討することが必要と認識しており、各JAにおいて検討をお願いしています。今後の収支見通しを踏まえながら、事業変革に向けた具体策の検討・議論を十分に行い、どのような体制(総合事業体を継続、合併等の組織再編による経営基盤強化等)のもと、どのような変革を行っていくのかをJA中期経営計画等に反映し、平成31年5月までに結論を得ることが必要となります。

(写真)後藤彰三・農林中央金庫代表理事専務

 

JAバンク中期戦略(2019~2021年度)

<(1)はじめに>

 JAバンクでは、JAバンク基本方針に定める総合的戦略として、3か年ごとに「JAバンク中期戦略」(全国戦略)を策定しているが、本年度(2018年度)が、2019~2021年度の次期JAバンク中期戦略(以下、「次期中期戦略」という)を策定するタイミングにあたり、これまで信連等と検討・協議を重ねてきました。
 次期中期戦略の策定にあたっては、2022年度以降に予定している店舗事務の改革(新たなシステム導入による手作業事務の自動化等)や、日々進化を続けるデジタルイノベーションの活用等を通じて、JAバンクが、社会・環境の変化へ適切に対応し、農業・地域に新しい価値を提供し続ける姿を将来像に置いたうえで、今後3か年で取り組む施策について整理を行いました。

 

◆4つの柱を重点に

 

<(2)次期中期戦略の概要>

 次期中期戦略では、総合事業としての強みを発揮しながら、組合員・利用者目線による事業対応を徹底するとともに、持続可能な収益構造を構築することで、農業・地域から評価され、選ばれ、必要とされる存在であり続けることを大きな方向性としています。
 このため、次に掲げる4つの柱について、重点的に取り組んでいきます。


 ▽一つ目の柱「農業・地域の成長支援」
 農業者の成長ステージに応じた資金供給はもとより、販路拡大や経営管理高度化といった経営課題に対する幅広いソリューションの提供等を行っていくことで、農業者の満足度向上に取り組み、農業所得増大および地域活性化を実現します。


 ▽二つ目の柱「貸出の強化」
 農業融資やJAバンクローンなど農業・地域の資金ニーズへ適切に対応するとともに、貸出の維持・伸長を通じて収益確保に取り組みます。
 具体的には、貸出実施体制の整備や人材育成の強化などを通じて、資金ニーズへの対応力を強化し、金融仲介機能を発揮していくことで、農業融資シェアや貯貸率を維持・向上させ、農業・地域への貢献と一層の存在感発揮を目指します。


 ▽三つ目の柱「ライフプランサポートの実践」
 これまでの、ともすれば貯金単品の獲得を目的とした「集める」取り組みは取り止め、年金・給振等を通じて貯金が「集まる」構造への転換をはかり、利用者基盤を維持します。かかる「集まる」貯金を入口・きっかけに、組合員・利用者のライフプランやニーズに立脚した金融商品・サービスの提案を徹底します。
 具体的には、投資信託・相続相談等の提案態勢を構築したうえで、組合員・利用者のライフイベントや希望する人生設計に合わせた資産形成・資産運用の提案等を通じて、組合員・利用者との関係深化を目指します。


 ▽四つ目の柱「組合員・利用者接点の再構築」
 店舗事務の改革等を通じて機能別に再編する、店舗類型の将来像を見据えながら、今後3か年で、合理化が必要な店舗・ATMの再編や店舗機能の見直しに取り組みます。
 また、再編を契機として、ライフプランサポートの実践を意識した渉外態勢の構築・再配置や、店舗における相談機能の強化等に並行して取り組むとともに、デジタルイノベーションを活用した非対面チャネルの強化を進めることにより、組合員・利用者の利便性・満足度向上とローコストな事業運営の実現を目指します。
 また、上記の実践にあたっては、金融機関標準の適切な内部管理態勢構築、およびJAバンク基本方針等の枠組みに沿った健全性確保が前提であり、組合員・利用者の信頼確保に向けて、継続的に取り組んでいきます。

 

◆JAのサポートも

 

 全国が取り組む方向性として次期中期戦略をまとめましたが、地域における課題はさまざまであり、各県域・JAにおいては、将来の収支見通しや地域特性に応じた施策の具体化・重点化、独自施策の追加等を行い、実効性の高い県域戦略・JA中期経営計画等を策定のうえ、実践体制を整える必要があります。
 農林中金としては、それらの確立に向けた検討が、「信用事業運営体制のあり方」について十全な結論を出すことにもつながると考えており、引き続き、サポート・フォローに注力していきたい。
(報告内容は農林中金JAバンク統括部長の川田淳次氏にまとめていただきました)

 

※このページ「紙上セミナー」は新世紀JA研究会の責任で編集しています。

新世紀JA研究会のこれまでの活動をテーマごとにまとめていますぜひご覧下さい。

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