【JA全農事業計画】輸出促進で中国に現地法人-営業開発・フードマーケット事業・輸出対策2020年4月10日
JA全農は日本の農畜産物の中国向け輸出拡大のために2年度に中国・上海に現地法人を設立するなど、JAグループ結集による輸出拡大に取り組む。

JA全農によると中国内の和食レストランは2013年の約1万店が17年には約4万店と大幅に増加している。牛肉の輸入量は16年には50万t台だったが、18年には100万tを越えている。米は2億tを生産しているが輸入量は300万tある。りんごの輸入量は65万tとなっている。とくに牛肉の輸入量は年率約10%の伸びとなっている。
全農の試算によると約1億円(600万元)を持つ富裕層は1%だが、それでも1400万人になる。これに準富裕層(1.2億人)を加えればかなりのマーケットが見込まれるとしている。米は約30万t、牛肉は約14万t、リンゴは約6万tとのマーケットボリュームとの試算もある。
こうした中国市場への輸出拡大のため全農は営業活動が可能となる現地法人を上海に設立する予定だ。
輸出拡大に向けた課題は検疫条件や日本の輸出用加工施設などの認可といった各種規制の緩和や廃止、輸出に見合う生産量の確保と円滑な集出荷、現地での円滑な物流と信頼できるマーケティングの仕組みづくりなどがある。
とくに農家所得向上につながる取組みとして、米では長期的に農業経営を支える観点から多収品種の栽培と輸出に産地、生産者とともに取り組んでいる。輸出米の取組み状況は29年産で2800tだったが、元年産では8700tと2年で3倍となっている。
畜産物では日本の卵の安心・安全と美味しさをPRし香港などで日本の卵への置き換わり需要も起きており、29年と元年では重量ベースで235%の伸びとなっている。
また、牛肉では米国向け、中国向けのほか、ハラル和牛のサプライチェーンを構築し中東での需要創出にも取り組んでいる。具体的には、北海道の和牛生産者の佐呂間町トップファームグループとホクレン、全農、北見食肉センター、北海道畜産公社との連携で、アラブ首長国連邦(UAE)へのハラル認証を受けた純国産和牛にサプライチェーンを確立し、輸出量が倍増しているという。
営業開発では全農グループ販売会社との共同営業による新規取引品目の拡大、日本フードサービス協会との連携による外食向けの販路開拓、「全農グループMD部会」での販売先を起点とした全農グループ一体的な商品開発などに取り組む。2年度は新規に30商品の開発を目標としている。
フードマーケット事業ではJAタウンの取扱い拡大に加え、生産者・消費者参加型コミュニティサイトの新設など、eコマースを通じた国産農産物の販売拡大に取り組む。また、直営の「みのりみのる店」など国産・地産食材を使用した飲食店の拡大を図る。
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