JAグループSDGs取組方針を決定‐JA全中2020年5月15日
JA全中は5月14日の理事会でJAグループSDGs取り組み方針を策定した。「食と農を基軸に地域に根ざした協同組合組織」であるJAの特性をふまえ食料・農業事業分野、地域・くらし事業分野、協同・組織運営分野の3つの分野で取り組みを整理し、それを通じてSDGs目標の達成をめざす。
多様な取り組み促進
SDGs(持続可能な開発目標)は国連が採択した目標で「誰一人取り残さない社会の実現」をめざし経済、社会、環境の課題に取り組むもので「貧困をなくそう」、「飢餓をゼロに」など17の目標を掲げている。その達成には協同組合の役割も期待されている。
こうしたこともふまえてJAグループとしての基本的考え方を整理し「取組方針」を決めたもの。ただし、SDGsの取り組みは各県域やJAの判断によって個性と多様性ある取り組みが期待されることから共通の目標を設定しているものではなく、今後の実践促進にあたって活用すべき方針として位置づけている。また、JAグループ各組織が17目標すべてに取り組むものではなく、各組織が段階的、優先的に目標に取り組み、それらの連携によってJAグループ全体で目標達成に貢献するという方向も示した。
新たな事業も視野に
取り組みの視点は5つ。1つは「一人は万人にために、万人は一人のために」を基本に運営している「協同組合の視点」。2つめは「持続可能な食と地域づくりの視点」で今後も国内農業・農村を持続可能とするために農業を起点としたSDGsに取り組む。
3つめは「新たな成長分野の視点」。SDGsの取り組みは事業を通じて目標を達成することに重点があり、企業でも本業に結びついた展開がみられる。そのためJAグループもデジタル化やIOTの活用、新技術開発など新規事業分野や成長分野を新たな事業機会と捉えて、消費者や取引先など需要サイドと継続的、長期的な関係強化に結びつける取り組みを進める。
4つめは環境問題など「地球的共通課題へ対応の視点」。気候変動に代表される地球環境問題は農業生産への直接的な被害増大だけでなく、信用・共済事業にも影響が想定されることから、組合員の生産基盤や地域社会を持続可能にする観点から、農業に関わる環境負荷の軽減の取り組みも検討する。そして5つめは「取り組みの見える化と積極的な情報発信の視点」を挙げた。
これらの視点のもと(1)持続可能な食料の生産と農業の振興、(2)持続可能なフードシステムの構築、(3)農業生産における環境負荷軽減、(4)農業の持つ多面的機能の発揮、(5)安心して暮らせる持続可能で豊かな地域社会づくり、(6)国内外の多様な関係者、仲間との連携・参画の6つの取り組みを進める。
農業振興ではこれまでの取り組んできた担い手確保育成、農地の保全活用、フードシステム構築では生産・流通段階でも資源消費の抑制、環境負荷軽減では生態系の保全に寄与する農業生産に仕組みや、生産資材の適切な処理なども検討していく。JA全中では各JAの取り組み指針となる「手引き」を作成し6月下旬から配布する予定にしている。
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