「冷やして皮ごとがおすすめ」川崎名産の「多摩川梨」が販売開始 JAセレサ川崎2020年8月26日
神奈川県のJAセレサ川崎管内では、名産の「多摩川梨」が、悪天候を乗り越えて無事収穫を終え、販売を開始した。
JAセレサ川崎果樹部部長の太田さん
多摩川梨は、東京都稲城市や日野市、神奈川県川崎市を中心に、多摩川流域で収穫される梨の総称。多摩川沿いは砂地で水はけがよく、ほどよい寒暖で果物の栽培に適している。川崎市では、川崎区から中原、高津、生田と多摩川を上るように栽培地が広がってきた。
川崎市内で「多摩川梨」栽培が始まったのは、約250年前。大正時代には川崎は関東における梨の一大産地だったが、第二次世界大戦の影響で梨の木は伐採。終戦後は、梨畑の面積は最盛期の約230haから1/6の約37haにまで減少した。戦後は、同市の果樹苗導入の助成により1963年には栽培面積が市内で125haまで拡大したが、高度経済成長により再び梨農家が減少し、現在は市内約30haで梨が栽培されている。
多摩川梨は、有名な「幸水」「豊水」「二十世紀」など多くの品種が含まれ、川崎市で誕生した多摩川梨には「生水(いくすい)」と「長十郎」がある。
生水は、川崎市の太田さんが「豊水」と「二十世紀」から作り、平成13年に登録された新しい品種。地元生田の梨ということで「生水」と名付けられた。形の整ったきれいな梨で、大きさは「豊水」と同程度。やや酸味があって甘い。
一方、長十郎は、明治26年に現在の川崎区出来野の当麻辰次郎氏の梨園から他の梨とは違う品種が発見され、当麻辰次郎氏の屋号をとり、長十郎と名付けた。明治30年に黒星病が流行した際、長十郎だけは被害を受けなかったことから、「病気に強い品種」として栽培量が急増。大正時代には全国面積の6割を占めた。昭和40年代に入ると幸水・新水・豊水など水気が多く甘い品種に押されて現在では栽培量が減少。大きさは、300~400g程度で、ゴリゴリとした歯ごたえがあり、ほどよい甘味がある。
JAセレサ川崎の果樹部部長で太田園の太田聡さんは、多摩川地区で梨を栽培することのメリットについて、他の地域と比べて水はけが良いことを挙げる。「大昔、この地域も多摩川だったため、50センチ掘ると砂利がでてくるほど。大雨の後もすぐに水が引きます。砂利があるため、根が伸びづらく梨の木の大きさは小さめですが、水はけが早いおかげで感じる甘みが違います」と話す。栽培の上では、農園が住宅街にある都市型農業であるため農薬散布の際は、近隣住民に迷惑がかからないよう細心の注意を払っているという。
今年は、3月末の降雪で受粉作業が上手くいかず、梨の表面に傷がついたことで、生育に影響が出たため例年より収穫量は少なめ。また、7月の長雨による日照不足により、例年より果実比が若干小さめだが、無事に収穫がスタートしほっとしているという。
梨も最近はジャムやお菓子など加工品も多くなってきたが、太田さんにおすすめの食べ方を聞くと、「やはりそのまま味わってほしい。冷蔵庫でほどよく冷やし、きれいに洗った状態で皮ごと食べるのがおすすめ。皮と果肉の間に美味しさが詰まっているので、ぜひ試してほしい」と話した。
多摩川梨は、各農家の直売所や、JAセレサ川崎が運営するファーマーズマーケット「セレサモス」で買える。種類が豊富で、様々な味を楽しめる多摩川梨を色々な直売所で買って味わうのもおすすめだ。
重要な記事
最新の記事
-
農業構造転換へ 自民の推進委が初会合2025年9月10日
-
「ひとめぼれ」3万1000円に 全農いわてが追加払い 「市場過熱で苦渋の選択」2025年9月10日
-
「まっしぐら」3万円に 全農あおもりが概算金引き上げ 集荷競争に対応2025年9月10日
-
科学捜査研究所を捜査せよ【小松泰信・地方の眼力】2025年9月10日
-
【JA人事】JA江刺(岩手県)小川節男組合長を再任(6月25日)2025年9月10日
-
岐阜県「ひるがの高原だいこんフェア」みのるダイニング名古屋店で開催 JA全農2025年9月10日
-
愛知県産いちじく・大葉使用 学生考案の地産地消メニュー 16日から販売 JA全農2025年9月10日
-
みのりカフェ・みのる食堂三越銀座店15周年記念 国産黒毛和牛の特別メニュー提供 JA全農2025年9月10日
-
「九州銘柄茶フェア」直営飲食6店舗で10月5日まで開催中 JA全農2025年9月10日
-
乃木坂46が伝える国産食材の魅力 7週連続、毎週水曜日に動画を配信 JA全中2025年9月10日
-
本日10日は魚の日「長崎県産からすみ」など130商品を特別価格で販売 JAタウン2025年9月10日
-
バイオスティミュラントに関する自主基準を策定 日本バイオスティミュラント協議会2025年9月10日
-
長野県産希少種ぶどう「クイーンルージュ」の秋パフェ登場 銀座コージーコーナー2025年9月10日
-
秋元真夏の「ゆるふわたいむ」「くるるの杜」で 北海道の食を堪能 JAタウン2025年9月10日
-
JAわかやまAコープとエコストア協働宣言「水平リサイクル」協働を強化 エフピコ2025年9月10日
-
「野菜ソムリエサミット」9月度「青果部門」最高金賞1品など発表 日本野菜ソムリエ協会2025年9月10日
-
日本農福連携協会とスポンサー契約を締結 農業総合研究所2025年9月10日
-
鳥インフル 米ジョージア州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2025年9月10日
-
鳥インフル デンマークからの家きん肉等の一時輸入停止措置を解除 農水省2025年9月10日
-
初の海外拠点 アイルランド・ダブリンに設立 NEXTAGE2025年9月10日