『国消国産』対策強め 持続可能な食を追求 JA全中【第6回JA営農・経済フォーラム】2020年11月11日
![中家会長](https://www.jacom.or.jp/noukyo/images/toku20111126_1.jpg)
中家徹JA全中会長は、新型コロナウイルスの感染拡大でわが国では外国に頼っていたマスク不足に陥ったことを振り返り「幸いにも食料不足は起きていないが、国民が必要とするものはその国で生産する「国消国産」の考え方について食料安全保障の観点から世論喚起に努めていく」と述べた。また、第28回JA全国大会で農業者の所得増大、農業生産の拡大、地域の活性化にさらに挑戦していくことを決議し、現在、県域やJAごとに実態をふまえた創意工夫ある自己改革に取り組んでいることについて「その成果も数多く生まれてきている。今回のフォーラムではこうした取り組みを後押しするために開催した」と述べた。また、新型コロナウイルスの影響で動画配信方式となったことについて「残念ではあるが地域に関わらず、すべての報告を聞くことができるという利点もある」と述べた上で「各地で取り組みが加速化することを期待する」と挨拶した。
![肱岡常務](https://www.jacom.or.jp/noukyo/images/toku20111126_2.jpg)
肱岡弘典JA全中常務理事は、情勢分析と課題提起を行った。
近年、農業産出額は上昇傾向にあるが、生産基盤の縮小がすすんでいるのが実態。人口減少で国内の市場は縮小傾向にあるが、Eコマース(電子商取引)や外食・中食の拡大など消費構造は大きく変化している。コロナによる自粛生活、在宅勤務や新しい生活様式など、環境の変化によって、今後さらに消費者・実需者のニーズが大きく変化していくと考えている。
ただ、コロナ禍で命の糧である食料を安易に外国頼りにすべきではないとの教訓が共有されるとともに、地方回帰への潮流や協同心の再評価などの動きがあることも確かで「持続可能な食と地域づくり」がまさに求められていると言える。こうした環境変化を追い風にして、国内労働力の確保、外国産から国産への切り替えなどを進めることが必要である。
その実践方向としては、「産地の振興」に向けて、地域で組合員と徹底した話し合いを行い、組合員参画による納得感のある「地域農業振興計画」を策定し着実に実践していくことが重要ではないか。また、そうした取り組みのなかで、新規就農者や農業労働力の確保などの課題や事業モデルの転換など事業改革について、組合員にオープンにして議論し取り組んでいくことが、従来にも増して重要になってきていると考えている。
中央会は、新規就農、事業承継、農業労働力、スマート農業、GAP(農業生産工程管理)や食の安全・生産履歴記帳など「重点取組施策」の解決や、集落営農組織、生産部会、担い手経営体などの運営・経営改善に向けて、参考となる研修会の開催や手引きなどを作成し、引き続きJAの取り組みを支援する。営農指導員のスキルアップの一環として、昨年度から産地の農業振興をマネジメントできる人材の育成を図る「地域営農マネージャー資格認証制度」を立ち上げたほか、今年度から「JA農業経営コンサルタント」の資格認証制度も創設した。
今後、次期JA大会に向けた検討がはじまる。事業利用する組合員が検討に参画した納得感のある「地域農業振興計画」を策定・実践し、生産現場の課題解決、産地の振興、新たな事業モデルの確立やスマート農業など新技術の導入など、「営農・経済事業体制の見直し」と「営農指導事業の機能発揮とその見える化」が重要になるのではないか。
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