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【今年の焦点 都市農業②】地方圏にも生産緑地制度を2021年1月18日

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三大都市圏特定市の生産緑地の保全とともに、地方圏の市街化区域農地の保全もJAにとって大きな課題となっている。地方圏では生産緑地制度がほとんど導入されていないが、JAが行政に働きかけて制度を導入した自治体もある。課題とJAグループの取り組み方針を整理する。

【今年の焦点 都市農業②】地方圏にも生産緑地制度を

重い税負担 農地手放す

市街化区域農地は三大都市圏よりも「地方圏」の県庁所在地のほうが多い。三大都市圏の市街化区域農地は約1万1000ha、生産緑地は約1万2000haある。これに対して地方圏の市街化区域農地は4万4000haで三大都市圏の2倍ある。しかし、生産緑地制度はほとんど導入されておらず、指定されている地方圏の生産緑地はわずか100haだ。

市街化区域の農地については宅地並み評価されるが、急激な税負担の上昇を避けるために「負担調整措置」がとられてきた。
ただし、本来の税額にくらべた水準は10年間で7割程度上昇している。2008年度は0.5だったのが2018年度では0.85となっている。負担水準がまだ低い地域もあるが、将来的な税額の上昇余地が大きいともいえる。

こうしたなかすでに三大都市圏特定市との地方圏の逆転現象も生まれている。
三大都市圏特定市なかで負担水準が「1」でも10aあたりの固定資産税が1万円~5万円代の市町村もある一方、地方圏であるにもかかわらず、13万円~19万円など高額の負担となっている地域もある。そうした地域のなかには負担水準はまだ0.6~0.7の地域もあり、今後、さらなる税額の上昇も考えられる。このような重い税負担に苦しみ、意欲ある農業者も相続を機に農地を売却してきたのが実情だ。市街化区域農地面積は1993年の14万3000haが2018年には6万9000haと半減した。

しかし、前回指摘したように都市農業振興基本法が成立し、市街化区域農地の位置づけが「宅地化すべきもの」から「都市にあるべきもの」へと180度転換した。国土交通省も2014年の都市計画運用指針で地方圏での生産緑地制度の導入促進を明記したほか、その後の改定で居住誘導地域とそれ以外の地域を区分けして町づくりを進めるコンパクトシティの推進には「農地の保全」が必要と明記した。

しかし、地方圏での生産緑地導入は13市町村(2020年12月現在)にとどまっている。自治体からすれば生産緑地に指定すれば税収減につながることや、まだまだ「宅地化すべき農地」との発想も根強い。

市街化区域農地面積の推移と割合

農業者が自治体を動かす

こうしたなかでも意欲ある農業者が営農継続できるよう自治体に働きかけて制度導入を実現した市町村もある。

和歌山市では農業者が中心になって、市や市議会に働きかけて2006年に生産緑地制度が導入されている。2019年で273地区約80haが指定を受けている。市街化区域農地の約13%が指定された。

また、広島市では2019年に制度を導入し2020年度から運用を開始している。農業者が起点となって、JAともに勉強会を開催、それがメディアにも取り上げられ市長や行政への理解が深まったという。JAが都市計画法に基づき市長から都市計画協力団体に指定され、営農指導などの相談のほか、農地の賃借希望者の把握、都市計画提案などを行う。市内の特産野菜、広島菜の生産振興につなげたい考えだ。

そのほか最近では大阪府島本町、高知県高知市でも導入が決まっている。
ただ、生産緑地制度には30年間の土地利用制限や相続税納税猶予制度の免除要件の厳格化など仕組みへの理解や、自治体としての市街化区域農地の位置づけ転換と理解の醸成などいくつもの課題がある。
ただし前提は。生産緑地制度の導入による都市農業振興が地域の農業振興と良好な地域づくりにつながるということ。こうした前提のもとで制度導入に向けてどう働きかけを進めればよいかなど、JA全中は昨年8月に「地方圏における生産緑地制度の導入促進に向けた共同検討会」を設置し、基本的な知識の習得、先行事例の研究と課題把握などを進めており、その成果を冊子などにまとめて各地での取り組みに役立てる狙いだ。

和歌山市の生産緑地の指定地区数と面積の推移

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