肥料高騰対策 生産者の努力評価を JAグループ緊急要請2022年7月22日
JA全中は7月22日、生産資材高騰対策に緊急要請を金子原二郎農相に行うとともに自民党の農林関係会合でも団体要請した。
7月22日に開かれた自民党の農林関係会合。
ウクライナ情勢や急激な円安などにより、肥料、飼料、燃油などの生産資材価格の高騰、高止まりによって生産現場では営農継続が危ぶまれるほどの危機的な状況が続いている。
「生産者の自助努力とJAグループに支援では補えない状況」(中家徹JA全中会長)であることから、緊急要請では「肥料高騰対策」、「飼料高騰対策」、「地方創生臨時交付金など地方公共団体が実施する支援の後押し」の3つを柱とした。
肥料高騰対策で万全な肥料価格高騰影響緩和対策の仕組みを創設することを求めている。
ウクライナ情勢の不安定化や中国の輸出制限などによって肥料原料は1年前の3倍を超える高騰となっており、肥料価格は過去最高水準まで上昇している。今後、さらに上昇する見込みで政府は価格上昇分の7割を補てんする仕組みを創設する方針を示している。
JAグループは来年の春肥も含めて、支援の対象とするとともに、生産現場の事務負担に配慮した仕組みとすることを求めている。
政府はこれまで肥料価格上昇分の7割を補てんする仕組みを創設するとしており7月中に予備費を活用した対策を詰めることにしている。その対策で支援の条件として土壌診断などをもとに化学肥料の2割を削減することを上げている。肥料高騰対策を機に農業のグリーン化を促進する考えも示している。
これに対しJA全中の中家会長は7月22日の「生産資材高騰対策等基本農政確立緊急全国大会」で「化学農薬の20%削減はみどり戦略の2030年目標。今年度からでは無理」と指摘するとともに、これまでに肥料の低減に取り組んだ生産者の努力が評価される仕組みとするべきだと述べた。
また、2008年の肥料高騰対策では、前年度の伝票を提出して差額を算定するなど生産者とJAに膨大な作業が発生した。当時とくらべてJA職員数は少なっているなど状況が異なるため、事務負担に配慮する仕組みとすることも強調している。
一方、生産現場で化学肥料の使用量低減に向けた環境調和型農業の推進が必要だとして、堆肥利用の推進や広域的な流通、堆肥センター・ペレット化工場の施設整備、耕畜連携の強化などへの支援を抜本的に拡充することも要請している。
飼料高騰対策では、異常補てん基金への国から積み増しなど機動的な対策とともに、価格が高止まりして上昇幅が小さいと補てん金が交付されないという制度の運用改善も求めている。
地方創生臨時交付金については地方自治体が飼料、肥料、燃油などの高騰に対して地域実態に応じて支援を展開している。JAグループは地域に応じた取り組みを広げるためにも地方創生臨時交付金の拡充も求めている。
中家会長は緊急全国集会では、再生産に配慮された価格転嫁が必要だとも指摘し、そのため消費者に粘り強く理解を求める取り組みが重要で昨年制定した10月16日の「国消国産の日」では消費者へ発信するイベントなどほか、10月を「国消国産」月間とする考えも明らかにした。
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