JA全農事業ビジョン2030決定 25年度 米集荷が最大の課題 全農2025年3月25日
JA全農は3月25日の臨時総代会で2030年に全農がめざす姿を実現するために長期計画であるJA全農事業ビジョン2030と2025年度事業計画を承認した。同日午後に開かれた記者説明会では米の集荷量確保が「最大の課題」と桑田義文理事長は話した。
桑田理事長(中央)、安田専務(左)、齊藤専務(右)
JA全農事業ビジョン2030は「持続可能な農業と食の提供のためになくてはならない全農であり続ける」をめざし取扱高6兆円を目標としている。
25年度事業計画はビジョンの初年度として、これまでの中期計画で掲げた生産振興、海外事業展開など6つの柱のもとに具体策に注力する。
「生産振興」では営農・資材・販売部門が持つ専門性を結集し柔軟にプロジェクトを設置するなど、生産者の生産性向上やコスト低減をワンストップで提案できる体制の構築、国内研究機関と共同した高温耐性、多収性などの品種の育成や栽培技術の開発に力を入れる。
米集荷量 48万t上積みへJAと役割分担で推進
「食農バリューチェーンの構築」では主食用米の集荷数量の227万t(生産量の30%)以上の回復と新たな契約栽培の導入、また、JA域・県域を越えた広域集出荷施設の整備や産地側の貯蔵・保管施設を活用した青果物のコールドチェーンの確立などに力を入れる。
25年産米の生産・集荷対策について25日の記者説明会で齋藤良樹専務は24年産米の集荷率が前年比85%、179万tだと明らかにした。23年産米の集荷量は208万tとしており24年産では30万t減少した。
それを48万t上積みするのが25年産の目標だ。そのための取り組みとして▽生産コストを上回る新たな契約栽培取引の導入、▽相場動向に柔軟に対応する価格決定、▽JAと連合会の役割分担を明確にし、主体を明確にして集荷していく、などと説明した。とくにJA段階で生産者別に推進計画を立てJAへの出荷要請を行うほか、JAと連合会が協力して集荷向上を図る。そのほか資材や技術などサービス提供、事業提案など総合的な対応を図る考えも示した。
「海外事業展開」では国際協同組合間連携の強化と、海外における外部出資や事業再編によるサプライチェーンの強化、品目を横断した総合力を発揮できる海外事業の実現に向けた新たな海外事業の体制の構築に取り組む。また、国内の輸出産地づくりとともに、需要のある果実品種の知財保護と育成者権の活用も進める。
「地域・くらしの維持と活性化」では過疎地SSのローコスト運営モデルの確立、JA購買店舗の業態転換、移動購買車の整備などに力を入れる。
「環境および社会的課題への対応」では、環境負荷低減農業の普及に向け「グリーンメニュー」の全国的な普及、適正な価格形成の実現に向けた生産コストの可視化の取り組みや、消費者への理解醸成活動に力を入れる。
「JA・全農グループにおける最適な事業体制の構築」では、生産者の利便性、JA職員の業務効率化に向けた青果物の集出荷情報のデータ化推進や、生産資材における「受発注センターシステム」の導入、拡大などに取り組む。
取扱高は5兆500億円を計画する。当期剰余金は75億円とする。
25日に記者説明会で桑田義文代表理事理事長はJA全農事業ビジョン2030について「不安定な環境のもとで事業の背骨となるもの。分かりやすく理解できる羅針盤」と話し、6つの全体戦略を着実に実践し会員への配当など好循環を実現したいと述べた。
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