【肉とビールと箸休め ドイツ食農紀行】ラーメンは本当にブームなのか? ドイツのラーメン事情-その1-2026年2月27日
昨今、海外で寿司に代わる新たな日本食の代表として、ラーメンがブームだと言われている。インターネットで「海外 ラーメン」を検索すると、たくさんの記事が出るが、実際にはどうだろう? 筆者自身、日本食レストランで働き、ラーメンも作っている。そこで、作り手側売り手側として感じる、ドイツのラーメン事情を何回かに渡ってリポートしてみたい。
店の正面入り口には「ラーメン持ち帰りできます(Ramen-To-Go)」との張り紙
スープヌードルは馴染みがない?
正確な統計があるわけではないので、すべて概算ではあるが、2026年2月現在で、ドイツ国内には約2000件超の日本食レストランがあると言われている。この数は、スーパーやショッピングモールのフードコートなどにある、軽食や持ち帰り専門の寿司屋などは含まず、あくまでもレストラン形式の店の数である。
これとは別にラーメンのみを取り扱うラーメン専門店は、同約200件ほどあるらしい。
ドイツで初の本格的ラーメン専門店は、欧州随一の日本人コミュニティがある北西部の工業都市デュッセルドルフで、2007年にオープンした。この店は、いまや、ドイツを超えて欧州諸国にも計10店以上の支店を持つ和食チェーン店にまで成長している。
そのほか、EU金融の要衝であるフランクフルトには老舗と言われるラーメン屋が2店舗あるが、どちらもオープンは2010年頃である。しかし、そのころにはまだブームにはほど遠く、これらの開店を機にラーメン店が急増したということもなかった。そもそも、「ラーメン」という食べものの存在を知る欧州人は、非常にまれだったのではないだろうか。麺料理と言えば、スパゲッティであり、スープにヌードルを入れて食べるイメージは、少なくともドイツ人の間では一般的ではなかっただろう。実際、筆者の隣人で、この地に何十年も住んでいる人が、「スープにパスタが入っているのは、なんだか気持ち悪い」と、見た目からして食欲をそそられないと言っていたのを聞いたことがある。
ラーメンの無い和食店はない
いつ頃からラーメンの認知度が上がったか。正確にはわからないが、 筆者が現在住む南ドイツのシュツットガルトに移り住んだ2018年の暮れ頃、ベルリンやミュンヘンなどの大都市ではすでにブームの兆しがあったらしい。
しかし、その時にはまだ、中都市であるシュツットガルト市内では、日本式のラーメンを出す店は一つもなかったと記憶している。アジア式の麺食と言えば、中華系やタイ系のファストフード店で焼きそば(フライドヌードル)が定番メニューにあったが、テイクアウトが主流というビジネススタイルのためか、スープが入った麺料理は売ってなかったし、レストランでもメニューにないか、またはあったとしても、看板メニューでないため、目立たなかった。
そうした状況に商機を見出した当店のオーナーが「ラーメンを出そう!」と決めたのが、2019年の始め。その年の初夏にラーメンを売り出し始めたのだが、シュツットガルト初の本格的な日本式ラーメンを販売したとして、地元メディアの取材が何軒か来たのを覚えている。つまり、その頃には、「ラーメン」の存在がある程度認知されていたことになる。
当店で一番人気の辛みそタンタン麺
当店は寿司中心の日本食レストランで、メニューにラーメンを加えた形だったが、当店のラーメン販売開始から2、3か月ほどして、早くも市内の中心部に中華系オーナーがラーメン専門店をオープンした。その後、競うように他の和食店もメニューにラーメンを掲載していき、1年と経たぬうちにラーメンを出さない和食店は見なくなった。
いまでは、和食店のみならず、ベトナム料理屋や中華系レストランでも、日式ラーメンの名称でスープヌードルを出す店が増えているほか、ラーメン専門店も複数を数える。このシュツットガルトだけで言えば、ここ数年で、新しい寿司屋のオープンはほぼゼロどころか、閉店しているものを数えれば、数は純減だろう。その一方で、ラーメン屋は毎年少なくとも一軒以上新規にオープンしている状態で、ブームどころか、早くも供給過剰になりつつあるとさえ言えるだろう。
何より簡単 作り手側のメリット
なぜラーメンを出す店が増えたのか。作り手側のメリットとして、何より、寿司やその他の和食と違って、ラーメンは圧倒的に作る際の敷居が低い、というのがある。
作り方で言えば、スープのレシピ、麺の茹で方、具材の切り方やそろえ方などをマニュアルに落とし込んでしまえば、実のところ、まったく調理経験のない学生のアルバイトでも、ある程度のものができてしまう。非常に乱暴な表現だが、店側は、秘伝のタレや自家製麺など、よほどのこだわりがない限り、輸入業者が取り扱っている業務用スープやタレと麺を選べば、それでスタートラインに立ててしまう。
ラーメンブームに乗って、ここ数年で、日本のみならず中国や韓国の食品メーカーがこぞって、スープの素やインスタントの出汁、乾麺や生麺などを独自に開発し輸出するようになった。しかし、これらの選択肢は、添加物や動物性原材料などEUの厳しい食品輸入基準を満たした商品しか使えないため、実際にはかなり限られている。
こうした商品開発のハードルの低さは、売り手側からしたら、ぜひ挑戦したいと思わせるポイントの一つになっていると感じる。
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