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情報提供やDXで厚生連医療を支える 医薬品メーカーは"節度"ある利潤を 日本文化厚生連・東公敏理事長2025年12月23日

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コロナ後の医療危機に対して、2025年度の補正予算や2026年度の診療報酬の引き上げが決まった。しかし、今後は様々な指標によって病院が選別、淘汰される懸念も強まっている。JA厚生連とともに、医薬品や医療機器の共同購入などで厚生連医療を支える、日本文化厚生連の東公敏理事長に聞いた。

日本文化厚生連の東公敏理事長日本文化厚生連の東公敏理事長

補正予算は「止血にすぎない」

高市内閣の「責任ある積極財政」で最も懸念しているのは、円安・インフレの加速です。病院経営は輸入に頼る機器や医薬品が多く、コスト増につながります。さらに進むと社会保険財政を圧迫し、負担は患者と国民に及び、暮らしを直撃するという不安があります。

補正予算では、医療介護分野で約1兆4000億円が計上されました。JA全厚連(全国厚生農業協同組合連合会)をはじめ、医療団体や労働組合が強力な要請活動を展開した成果です。賃上げや物価高騰への対応に加え、救急搬送件数や手術数、分娩数など、地域で不可欠な医療を担っている厚生連病院等を支援する仕組みが入りました。厚生連病院が社会的に評価されたと受け止めています。

ただ、現場からは「一時的な止血にすぎない」という声も聞かれます。いわば「病院ベッドの減反」、病床削減への補助金も補正予算で盛り込まれました。厚生連病院には住民の期待もあり、病床を減らす判断は簡単にはできませんが、補助金を活用してダウンサイジングする施設が一部に出てくると思われます。

国の医療・介護政策では「患者・国民の負担増」「病院再編・集約化の加速」「病院の生産性向上・業務効率化」が示されています。少子高齢化で医療介護の担い手も不足し、国は「抜本的改革へ準備を進めよ」としています。医療費抑制への急進的「改革」を主張する日本維新の会や国民民主党との連携の思惑もあって、急速に進められようとしています。

診療報酬改訂も病院淘汰を警戒

2040年頃に向けた新たな地域医療構想2040年頃に向けた新たな地域医療構想

2026年度の診療報酬は、報酬本体はプラス3.09%の改定が決まりましたが、一律ではなく、相当メリハリがつけられるでしょう。厚生連病院も医療機能や内容に差があります。病院再編を進める「地域医療構想」の協議本格化と報酬改定が連動して、病院の機能によるふるい分けが進められます。「国は地域の病院同士でチキンレースをさせ、淘汰を待っているのではないか」という厳しい反応が聞こえています。

診療報酬改定では「アウトカム評価」が入ると言われています。設備や人員ではなく、治療成果で病院を評価する仕組みで、死亡率、再入院率、機能回復の程度などが指標になります。生き残れるのは、質の高い医療を提供しデータで示すことができる病院になります。少ない人数で合理的に運営する「生産性向上」と連動した評価が改定で導入される可能性もあります。医学部定員削減で、今後は医師は増えず、看護師も集まりにくい。国は「効率的な人員で回せる医療体制」を求めています。医療DX導入など日常業務のあり方を見直す必要があります。

薬剤の患者自己負担の増加も大きな問題です。花粉症や痰切りの薬などは「市販薬の購入で済ませて」という動きです。病院やクリニックの処方薬は保険適用で価格が抑えられていますが、市販薬は同等成分でも自己負担が何倍にも増えます。保険が利かない「選定療養」の範囲拡大も議論されています。保険適用に組み合わせて患者が希望して選ぶ医療サービスや材料の部分は、全額自己負担とする保険外併用療養制度です。歯科治療の詰め物や眼内レンズの多焦点タイプがその例。一部の手術や高額医薬品も選定療養とする議論があり、患者や病院現場への影響は非常に大きくなります。

医薬品や医療材料が、物価高騰の価格転嫁のレベルを大きく超えた、独占的な高価格となっている問題も重大です。医薬品等のメーカーの利業利益率は20~30%と、他産業と比べて異常に高く、高配当や巨額の自社株買いで株主最優先の利益還元を行っています。その分が患者や医療機関に付け回しされ、社会保険財政の持続性を脅かしています。公的価格という価格保障が与えられる公益的産業として、適正水準の利益となるような〝節度〟を求めるべきだと強く思います。医薬品等の全国的な共同購入事業を通じてこの問題を正面から訴えていきたい。

「おらが病院」を協同の力で支える

厚生連病院は協同組合として、戦前の産業組合時代から地域に根ざしてきました。「安心してかかれる病院が欲しい」「病気を予防したい」「老後も安心して暮らしたい」という組合員・住民の切実な願いを背景として、単位農協が自らの定款に謳っている医療事業を協同化して設立したのが厚生連です。経営改善が求められ、病院再編の嵐が吹く中だからこそ、厚生連とは何者なのか、そのアイデンティティを組合員や住民と改めて共有し、「おらが病院」として地域に位置づけ直し協同の力で支えることが重要だと思います。

会員の病院長などに参画いただき、治療成績や診療データの分析を共同で進める「経営管理改革プロジェクト」を開始しました。医療の質の向上、病院運営の業務効率化、スタッフの意識改革が不可欠です。患者のための医療を守り、病院経営管理の抜本的な改革を急ぐ、難しい局面に入ってきます。本会の情報教育・DX推進事業を充実化させ、会員の病院と議論を重ね、医療の質と生産性の高い病院づくりの支援を進めていきたいと思います

最後に触れておきたいのが「認知症基本法」への対応です。国は予防に偏重した取り組みを反省し、認知症の人を「基本的人権を享有する、社会の対等な構成員」とする共生社会を理念としました。また、「早期発見、早期診断、早期対応」と認知症の地域包括ケア構築も盛り込まれました。生活サービス事業者の責務として「合理的配慮」、認知症の人が困ったりやりづらいことがあればその人の立場になって必要な対応をすることも求められています。医療介護だけでなく、JAの金融や共済、生活事業等のあらゆる現場で対応が問われます。

2030年には、65歳以上の農協組合員が620万人に達し、そのうち約30%が認知症または軽度認知障害と推計され、家族を含めればさらに増えます。厚生連の病院や健診事業には、専門医やMRI等を擁した高度な医療体制を生かし診断・治療で先頭に立つ役割があり、「認知症の早期治療といえば厚生連」と言われる存在になっていくことが期待されます。

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