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シリーズ:JA 人と事業2014

2014.12.05 
【JA 人と事業2014】青山吉和・JA静岡市代表理事組合長 「部農会」活性化へ支援一覧へ

・山間部農業を支援
・茶農家の組織化へ
・JA主体の法人も
・見える「改革」を

 JA静岡市の農業は茶とミカンが中心。いずれも消費の減少が続いており、JAでは生産効率の向上と新たな商品開発、およびプラスアルファーの品目導入に取り組んでいる。また、集落単位にある「部農会」活動を支援するとともに、JAへの結束力を高めるため、職員・組合員との「ふれあい対話」や教育活動に力を入れている。青山吉和組合長に、その取り組みを聞いた。

組合員との「ふれあい」を重視

 

◆山間部農業を支援

 ――地域農業のビジョンをどのように描いていますか。

青山吉和・JA静岡市代表理事組合長 管内北部の山間部は茶の産地ですが、生産資材の高騰で茶農家の経営は厳しくなっています。急傾斜地が多いので、まず基盤整備、そして耕作放棄地の解消、有害鳥害獣の防除と、山間部の支援はこの3本柱です。JA静岡市3か年計画で、今年度から最重点課題として取り組んでいます。組合員アンケートで具体的な対策の希望をとって、これから取り組むところです。
 併せて、お茶だけでは大変なので、プラスアルファーの作目導入を考えています。そのためにも鳥獣害対策が必要です。作ったものを鳥獣に食べられてはかないません。新規作目導入の前提として、この3本柱をしっかりやっていかなければならないと考えています。
 南部は市街化地域で、多様な農業があります。こうした農家には、5店舗ある農協の農産物直売所「じまん市」に出荷してもらうことで対応しています。茶の販売高は約12億円。「じまん市」の販売は19億円近くになりました。農家の懐へ20億円近い金が入るのですから、そこをしっかり展開していこうと考えています。
 茶の獣害は軽いのですが、晩霜で大きな被害が出ます。来年の新茶期から、農業共済で霜害が補償されることになりました。今までは法人だけが対象だったのですが、農協に出荷している茶農家なら対象となりました。8割補償の農業共済で国が半分、市が4分の1負担するものですが、災害に遭わなくても所得を補償する制度が必要だと思っています。
 温暖な静岡県では、なんでも作れます。その中で新規の作目は、シキミとかグリーンアスパラなどを考えていますが、いま模索しているところです。中山間部は農業が中心で、農家の所得を増やすには茶だけではだめです。農家の高齢化が進んでおり、それに合った作目を考えなければなりません。

 

◆茶農家の組織化へ

 ――JA静岡市は茶農家の組織化が進んでいますね。

 茶農家の組織化は一段落したと考えています。製茶の有限会社を6製茶工場に再編しました。
 この製茶工場を軸に、生葉を出荷する農家を法人の会員にします。この組織化が大体できました。耕作放棄の茶園を借りて、工場が自ら茶葉を生産する経営スタイルも生まれています。
 JA静岡市に米はほとんどないので、農家の組織化は茶、ミカン、イチゴが中心です。ただイチゴやミカンも個人経営が中心で、やめる農家が多いことが悩みです。

 ――担い手対策はどのように進めていますか。

 農協が直接支援するのではなく、栽培をやめた農家の空いたイチゴハウスに新規参入者を紹介するなど、生産組織を通じて支援する方法がよいのではないかと思っています。茶もそうです。
 茶は、茶葉の価格が下がって、いま厳しい状況にあります。消費をいかに伸ばすかがポイントですが、その一つとしてJAでは、ホテルとか料理店向けに水出しの高級冷茶を開発しました。茶こしフィルターのついたワイン風のボトルにリーフ茶を入れ、自分の好みでおしゃれに飲んでもらおうというものです。県産の米焼酎を入れて「静岡割」の名でPRしています。

 ――茶のほかにイチゴやミカンなど、全国に誇る農産物がありますが…。

 イチゴはそれほどロットがないので、市内のほか県全体を重点マーケットにしています。まだ出ていませんが、いま試験栽培している新しい品種もあります。ネーミングも含め販売戦略を考えているところです。
 ミカンは、そろそろ共選場の設備が更新期に入ります。そのとき選果場を1か所にして効率を高めることも検討課題です。「青島ミカン」が主力ですが、これから晩柑類への切り替えも必要だと考えています。

 

◆JA主体の法人も

 ――担い手となる農家支援はどのようにしていますか。

 まず農地確保のための流動化対策です。農地の貸し手はあっても借り手がいないのが現実です。いかにして農地を担い手に向けるかがポイントです。JAでは農業生産法人を立ち上げ、それを核にして農業展開していくことも考えています。農協自身でやるか、農協出資の法人にやってもらうか、いまプロジェクトを立ち上げて検討に入っています。
 それと集落単位の農家組合である「部農会」の立て直しです。農家組合は270あり、かつて用水路の管理や生産調整の割当てなどをやっていましたが、いまはこうした共同の作業は少なくなっています。それでも資金的に直接支援することで、農道の整備など地域を支えるための動きが出てきたと思っています。

 ――JAが地域の農業を守るには職員や組合員の力が必要です。教育活動はどのようにしていますか。

 職員教育と次世代を担う青年部を中心とした組合員の教育に力を入れています。30、40代の職員は「大学」形式で3年間の研修をはじめ、いまフォロー研修に入っているところです。その人たちがこれからJAの中心になって活躍するものと期待しています。
 JAでは「組合員教育基金」10億円の積み立てをめざしており、平成25年度までに5億円の基金を造成しました。そのなかに次世代対策もあり、青年部の座学研修や、台湾農業の視察など、ゆくゆくは農協の役員にもなる次世代の組合員の教育に力を入れています。
 このほか、リーダー研修と、JA全国大会決議の1年前から取り組んでいる1支店1協同活動があります。協同活動は、支店に花を植えるなど小さなことから始まりましたが、だんだん地域の人を巻き込んだ活動になり、地域の農業を知るためのウォークラリーなど、部農会と一緒に実行委員会をつくるところも出てきました。こうした活動は、組合員教育と同時に職員の教育にもなります。
 それと職員との対話を重視しています。会議の場で言えないことも、ここでは気軽に話せるように、なるべく多く対話の機会をつくるようにしています。役員改選の時は、新しい役員が全員出席し、何か所かに分かれて話し合いをします。
 組合員とは集落、あるいは部農会単位で「ふれあい座談会」をやっています。3か年の最重点課題として取り組みました。今回のJA改革も、39会場で座談会を開き、組合員の意見を聞きました。このほか今年初めて、若手農業者との座談会を6か所で行っています。常勤役員は全員出席します。

 

◆見える「改革」を

 ――JA改革についてはどのような意見がありましたか。

 まだ組合員の関心は低いというのが実情です。農協への注文は、相談機能と営農指導、それに購買は安く販売は高く―という3つに集約されます。こうした注文を整理し、営農指導、農業振興、販売・購買、経営指導の4本柱で対応していくことになります。
 JA静岡市の3か年計画では、これまで述べた優良農地の確保や部農会の活性化など、10項目を最重点取り組み事項として掲げていますが、農協がどれだけ努力しているのか、組合員に見えるようにすることが重要です。JA改革も同じです。ペーパーで示すだけでなく、「農協はやっているのだな」と、組合員に見えるようにしなければならないと思っています。
 JA静岡市は正組合員が約9500人、准組合員が約1万7000人の農協です。特に准組合員には、もっと気軽に農協に来る機会をつくる必要があります。その1弾として、男の料理教室を開きました。また30、40代の女性を対象とした女性大学「シズカレ」(静岡カレッジ)は大きな反響があり、定員オーバーになったほどです。正・准、年齢を問わず、地域の人が農協に係わる機会を、なるべく多くつくることが大切だと思っています。

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