JAの活動:IDACAの海外研修生に聞く
第3回 農業省農産物開発輸出事業部サプライチェーン・市場改善部農業技術官 ボーラミン・ガルバ・ムンカイラさん(34)2016年8月9日
協同組合に結集し食料安保確保へ
今回の研修生にはアフリカからも参加した。国土の4分の3が砂漠だというニジェール。農民が協同して働く仕組みが食料安保に欠かせないという。
農業省での私の任務は農産物の増産と品質の向上、それから流通に関わる人たちの人材育成を通じて農産物の競争力を高め、それを輸出強化にもつなげることです。
ニジェールは国土の4分の3が砂漠で4分の1しか農業に使えません。生産は6月から9月までの雨期が中心で、もっとも重要なのはミレット(雑穀)で、そのほかトウモロコシ、ソルガムを作り9月に収穫します。
雨期が終われば水がないので、12月から3月までは灌漑による農業を行います。おもに川の水を農地に引き込んで、穀物ではなく、レタスやジャガイモ、トマト、タマネギ、ニンジンなどの野菜を栽培します。川がない地域は井戸を掘って地下水を確保しています。
――農業にはどんな問題がありますか。
行政としては人材不足です。たとえば農業改良普及員も少なく、なかなか人材も集まりません。農業分野は待遇があまりよくなく、それでも国民に奉仕するという考えで働いている状況なのです。 協同組合の問題としては資金の調達がなかなかできないことです。さらに農家の問題としては、字が読めない、書けない人が99%だということです。ですから、たとえば何かを注文して買うということもうまくできない。結局、自分の国でうまく生活できないから他の国に出稼ぎに行くということにもなってしまっています。
農地も土壌を肥沃にするための肥料の投入ができておらず、長い間、同じ場所を何回も何回も使っているので肥沃度が落ちています。土壌が非常に弱いので通常の単収の半分です。
しかし、GDPにおける農業の割合は41%と非常に大きいですから、政府が力を入れているのは生産を向上させるための種の供給です。また、土壌を強化するために農地のあちこちに穴を開けて肥料を投入し少しずつ土壌改良をしています。
――協同組合はどのくらい組織されているのでしょうか。
農業者の生産協同組合は2000ほどあります。組合員の数は平均して20人ほどで集落ごとに組織されています。
――日本の研修で印象に残ったことは?
循環型農業が非常に印象に残りました。家畜がいてその糞尿から有機肥料をつくり、それを農地に投入して作物をつくるという循環農業です。ニジェールでもできそうな取り組みですが、たい肥づくりの施設をつくる必要がありますね。
それから島根県も視察しましたが農協の合併が非常に印象的でした。
1つの協同組合では非常に弱いので、いくつかの協同組合が合併して大きな規模にする取り組みですがニジェールではそのレベルまでいきません。合併する前にしっかりとした経営を実現する必要がありますが、それがなかなか難しいからです。 ただ、合併すれば農業機械の利用も効率的になるし、播種から収穫まで機械化することもできると思いました。自分の国ではまだ人力に頼った農業だからです。技術を導入し普及するためにも協同組合が連携することが必要だということを今回の現地研修で考えました。ニジェールでは、いつもどれだけ人手がいるかが問題になります。アフリカの国々でなぜ子どもの数が多いかといえば、多くの人手、労働力が必要だからです。国土が広くてもなかなかそれを活用できないのが現実です。
◇ ◇
集出荷施設の冷蔵庫にも注目しました。結局、冷蔵庫が使用できるのも日本は安定して電力が供給できているからですね。私たちの国では電力を自分たちでつくることができず輸入していますから、停電もあります。そうなるとビジネスもなかなかうまくいきません。やはり生産に関わる施設がしっかりと整備され、それも電力供給がともなって使われていることが発展にとっていちばん大きいと思いました。
日本の農協について印象的なことは、やはり播種から収穫まで農協が農家を支えていることです。自分の国では協同組合はほとんど何もやってくれず農産物を集めて商人と取引きをするだけです。大きな違いを感じました。
これからは自分たちの国にも日本の農協のような組織をつくっていきたいと思います。
私たちの国は食料安全保障が問題で、長年、食料をいかに確保するかが大きな課題となっています。そのためには農家を協同組合に結集させみんなで一緒に働くということに導いていかないといけないと思っています。この重要性を理解することは簡単ですが、実際に実践するとなると難しい。先は長いですが一歩一歩だと思っています。
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