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JAの活動:今村奈良臣のいまJAに望むこと

第20回 担い手組織と二人三脚で米・麦振興に挑む――JA糸島の新たな挑戦――2017年6月24日

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今村奈良臣・東京大学名誉教授

◆はじめに

今村奈良臣 東京大学名誉教授 本報告の紹介に入る前に、私はJA糸島をたびたび訪ね講演や調査などさせていただいたことを序論として述べておきたい。
 本欄でも先に紹介したように、今から25年前に「農業の6次産業化の推進」という理論と実践路線を大分大山町農協ならびに「木の花ガルテン」という直売所の詳細な調査のなかから提起した。この大分大山町農協の矢幡治美組合長とJA糸島の役職員の皆さんがかねてより懇意にしていたという関係があったようで、JA糸島に来て農業の6次産業化や農産物直売所の設立や活動の方向を示唆してほしいという依頼があり、そういう関係で、JA糸島にはたびたび講演や調査で訪れることになった。
 そういう私の示唆が役に立ったのかどうかはともかく、JA糸島の運営する直売所「伊都菜彩」(いとさいさい)は大都市の福岡市から近くて便利であるということもあって、西日本一とも呼べるような直売所に発展してきている。売上高37億4000万円(平成28年度)、建物面積2440平方m、駐車場約400台(大型バス含む)、年中無休である。多彩な農産物(野菜、果実、花、米など)、畜産物(牛、豚、鶏、卵、乳製品)、加工品(漬け物、弁当類、惣菜類、菓子類)はもちろん、鮮魚(魚、干し物など)が売られているところが他の直売所と違う。糸島市は玄界灘に接し、海産物も豊かな土地だからである。それだけではない。特産の糸島産小麦を原料にした「まるいと」うどんコーナーまで増設されている。
 このような巨大かつ多彩な品ぞろえの直売所へはJA糸島の組合員が多彩な農畜産物を生産し供給しなければならない。JA糸島の農業もこの「伊都菜彩」(このネーミングは、この地域が古く「伊都之国」と呼ばれていたことに由来する)が伸びるとともに質量両面から大きな進歩、発展をとげたことは言うまでもない。野菜、花、果実あるいは多彩な加工品などは女性が支えるところが大きいが、水稲、麦などの分野は、その技術改良なども含めて男性の歴史的伝統と活躍に負うところが多い。それらの問題を中心にJA糸島の田中義徳考査役の報告「担い手組織と二人三脚で米・麦振興に挑む」は行われた。
 JA糸島はその組織活動の基本理念として「わたしたちは、生命産業である農業の振興を図り、豊かな地域社会の実現に貢献します」と高らかにうたっている。

◆JA糸島の米販売の取り組み

 はじめにJA糸島の糸島米の生産・販売戦略を整理して紹介する。
(1)消費者・実需者が求めている米の把握(年1回取引業者との懇談会開催)
(2)糸島米の安定的需要を確保するため、既存取引先との結び付きの強化や販路開拓
(3)地域一体となった稲作の活気を盛り上げるため「米づくり品評会」を開催(ほ場審査=組合長・専務・常務・実需者、代表農区長・普通作協議会)
(4)フレコン集荷の実施(大規模農家の作業効率の軽減、集荷率向上)
(5)地域、組織を中心とした適期「研修会・現地講習会」の開催により品質・収量の向上
(6)酒造好適米「山田錦」の現地講習会等による品質・収量向上に向けた生産指導の徹底
(7)異常気象に対応した米づくりの栽培指導
(8)温暖化に対応した「高温耐性品種」の試作栽培。高温耐性品種...「にこまる」、「元気つくし」、「実りつくし」

◆JA糸島の米販売体系

 糸島全体の米作付面積は1841ha、うちJA指導面積は1296ha、保有米等は545ha、JA糸島の販売計画総数量は8万2500俵で集荷率は55%。
 JA糸島の販売方法は、大別してJA直販と県連(JA全農ふくれん)委託があるが、JA直販は集荷数量7万427俵のうち4万7950俵(68%)、県連委託は2万2467俵、JA直売の取引業者は県内8社、県外3社(佐賀、京都、奈良)となっており、県連委託は、酒造好適米山田錦(雄町)が福岡県酒造組合(1万6173俵)、また「元気つくし」は学校給食会(2068俵)や糸島管内の小中学校へ県内の直販取引業者を通して供給されているという販売体系の特徴となっている。

◆昭和29年度の販売戦略と品種別誘導面積の考え方

 徹底した有利販売・早期販売に向けて、需要に見合う品種誘導面積を徹底して、次のように決定し推進している。
 (1)県産ブランド米である「元気つくし」は現状維持、(2)需要拡大見込みのある「ヒノヒカリ」は生産拡大、酒造好適米「糸島山田錦」は若干面積を拡大して需要に対応する。
 なお、山田錦の特徴、山田錦の産地として糸島がなぜなったかなどについて興味深い報告があったが、ここでは割愛させていただく。
 それはさておき、糸島には熱心な稲作生産者が多く、今から41年前の昭和51年に全国に設立された「稲作経営研究会」の組織が、研究熱心な生産者の多いこのJA糸島管内にも設立され(昭和61年)稲作の品種改良、多彩な稲作生産技術の改良など、稲作先進地としての声価をこれまで高めてきた。そうした技術研究の先進的農民の多いこのJA糸島管内では麦類への取り組みもきわめて積極的でいまでも、麦部会員は48名(3法人)で、小麦はチクゴイズミ、ミナミノカオリ、ちくしW2号、大麦はほうしゅん、しゅんれいなどが作付(小麦424ha、大麦474ha)されており、西日本有数の産地となっている。
 大麦はそのすべてがキリンビールに供給されており、小麦は福岡県内の製粉会社に供給されJAと製粉会社の連携の強さは福岡県下ではトップに当たるとされているだけでなく、管内で生産された小麦粉は「ジゴナ」としてはじめに紹介した「伊都菜彩」のラーメン、そうめん、うどんとして売られているだけでなく、糸島管内のパン屋、ラーメン屋にとっても必要不可欠の地粉になっているのである。まさしく「地産・地消」、「地産・地商」、「地産・地食」の原点としてJA糸島の農業はその基盤となっているのである。
 この糸島管内に九州大学がそのキャンパスを移転し、農業からみても若者を中心に消費人口が急増してきており、さらに活力に充ち、多彩な農業を展開してきているJA糸島管内の農業への新規参入を希望する若者たちがつぎつぎと出てきているとも報告された。
 最近、私は糸島を訪ねていないので、できるだけ早い時期に再び訪ねて、その活力の源泉を研究させていただきたいと念願している。

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