JAの活動:今村奈良臣のいまJAに望むこと
【今村奈良臣のいまJAに望むこと】第58回 「真のJA自己改革にむけたJA経営の今後のあり方を探る」 ―「JA人づくり研究会」第29回研究会の報告・討議の紹介―2018年6月23日
まず第1報告として、JC総研主任研究員の西井賢悟氏より「JA自己改革にむけた取り組み実態と課題」の報告が行なわれたのでその核心部分を紹介しておきたい。報告は多岐にわたったのでその要点を箇条書きの形で整理し紹介しよう。
1、「自己改革」では、JAは組合員である農業者、特に担い手からみて「所得向上に向けた経済活動を積極的に行う組織」を目指していかなければならない。担い手をはじめとする農業者が自己改革の取り組みを把握し、さらにJAは組合員の評価を把握する必要がある。
2、自己改革の実施状況について、農産物の販売事業の見直しの状況に関する調査ではJAの回答は、平成28年度に「具体的に取り組みを開始した」が68.0%だったのが、平成29年度には87.7%まで伸びている。この結果だけを見れば「JAはもう大丈夫だ」と思えるが、肝心の認定農業者をみると、平成28年度に「具体的に取り組みを開始した」と答えたのは25.6%、平成29年度も32.2%にとどまっている。このように、JAの自己評価と、担い手・認定農業者との評価には大きなギャップがある。この傾向は、生産資材購買事業の見直しの状況、あるいはJAの農産物販売事業の進め方や役員の選び方などに対する評価についても同様だ。
3、国は「JAさん、あなたたちは自己改革をしっかりやっていると言っているけれども、肝心の認定農業者等の担い手は全然評価していませんよ」「担い手が評価していないのだから、農協改革を次の段階に進ませていただきます」と主張したいのでしょう。そして、次の段階としてJAから信用事業、共済事業を譲渡させたいのです。これが農協改革の大きな目的です。
4、私は、そもそも農協改革を知らない職員が多数いると考えています。あるJAでは、全職員(臨時職員、派遣職員を含む)を対象に、自分たちの自己改革の取り組みの浸透状況を確認するアンケートを行なっています。そのアンケートでは自己改革の重点実施項目をについて、その具体的な中身の認知状況や目的までたずねています。こういった取り組みが重要です。
5、「農業協同組合法」第1条には「この法律は、農業者の協同組織の発達を促進することにより、農業生産力の増進及び農業者の経済的社会的地位の向上を図り、もって国民経済の発展に寄与することを目的とする」と書いてあります。私はこの条文では「なぜ准組合員がいるのか」「なぜJAが暮らしの活動をするのか」といったことが読みとりにくいと感じています。一方で、JA綱領には、「食と緑と水を守る」「安心して暮せる豊かな地域社会を築く」と自分たちの使命が明記してあります。私は、「農協法」第1条の、「農業生産力増進」の文言の後ろの部分に、「JA綱領」のように「食を守る」ということや「地域社会の活性化」といったことを書き込むべきだと考えていますし、実際にそういった運動を起こすべきではないかと思っています。
今後、准組合員に「地域農業を応援する意思があるのか、確認をしよう」といったことが全国段階から提起されるのではないかと考えています。参加、参画を求める准組合員に対しては、基本的には正組合員と同じように対応していく必要があります。そして、最終的には、そういった意思を示した方の中から、准組合員総代等を選ぶべきです。
准組合員問題は、私たちが協同組合として発展していくため、必ず議論しなければならない課題です。現在、期限を定められてさまざまな改革を求められていますが、"ポスト農協改革"を見据えて、それぞれのJAにおいて行動を起こしてほしいと思います。
本シリーズの記事一覧は下記リンクよりご覧下さい。
今村奈良臣・東京大学名誉教授の【今村奈良臣のいまJAに望むこと】
重要な記事
最新の記事
-
早く見えて欲しい7年産米の下値目途【熊野孝文・米マーケット情報】2025年12月2日 -
第50回「ごはん・お米とわたし」作文・図画コンクール 各賞が決定 JA全中2025年12月2日 -
鳥インフルエンザ 鳥取県で国内6例目を確認2025年12月2日 -
東京都瑞穂町から「みずほ育ちのシクラメン」販開始 JAタウン2025年12月2日 -
「RIO GRANDE GRILL」全店で「鹿児島黒牛フェア」開催 JA全農2025年12月2日 -
広島サンダーズPOM賞に広島血統和牛「元就」を提供 JA全農ひろしま2025年12月2日 -
卓球「混合団体ワールドカップ2025」日本代表を「ニッポンの食」で応援 JA全農2025年12月2日 -
対象商品が送料負担なし「石川県 国消国産キャンペーン」開始 JAタウン2025年12月2日 -
食や農の未来を担う次世代を応援「全国農業高校 お米甲子園 2025」に特別協賛 JA全農2025年12月2日 -
JAタウン「ホクレン」おすすめ商品25品「お客様送料負担なし」で販売中2025年12月2日 -
澤乃井小澤酒造へ「オリジナルICHI-GO-CAN」日帰りモニターツアー募集 農協観光2025年12月2日 -
鹿児島にウルトラパワーを「JA-SSウルトラそそグッド大作戦」始動 JA鹿児島県経済連2025年12月2日 -
日本ラグビーフットボール協会、ラグビーリーグと包括連携協定 2027年国際園芸博覧会協会2025年12月2日 -
米価下落の予兆【森島 賢・正義派の農政論】2025年12月2日 -
英国海外子会社の社名を変更へ 井関農機2025年12月2日 -
冬いちご日本一を決める「第3回クリスマスいちご選手権」開催 日本野菜ソムリエ協会2025年12月2日 -
地域の農業支援を通じて企業価値を高める CSRオンラインセミナー開催 フェイガー2025年12月2日 -
ファンと社員の愛が詰まった「2026年紅白福袋」数量限定で発売 エスビー食品2025年12月2日 -
年末年始の大掃除でこども食堂を応援「モノ寄付」冬のキャンペーン開始 むすびえ2025年12月2日 -
精鋭が接遇力を披露 配達業務品質の頂点は白岡センター パルシステム埼玉2025年12月2日


































