JAの活動:JAの新代表に聞く
【JA新代表に聞く】第5回 渡邊博康・JA串間市大束代表理事組合長2018年7月5日
農家所得の確保こそ
JAの使命です!
宮崎県南部・串間市の北部にJA串間市大束(おおつか)はある。正組合員581名、准組合員175名の合計756名という小さな未合併農協だ。この4月に就任した渡邊博康組合長にきいた。
大束には火山灰土壌で形成された大束原台地があり、この土壌を生かした甘藷(サツマイモ)産地として全国的にも有名だ。「ヤマダイブランド」として知られる有名な「宮崎紅」は高系14号の改良品種で、かつては「東のベニアズマ、西の高系14号」と言われたほどの美味しさだ。宮崎紅はいま全国の青果市場で販売されている。
「販売事業もかつては米の集荷と販売がありましたが、米事業だけでは農家経営も厳しく『米では食べられない時代』を迎え、平成10年までに取引を終えています」。
その背景には、甘藷が伸びて、畑だけでは土地が足りず、山の土を客土して水はけを良くして田んぼを畑化し、転作率を100%に近い甘藷産地としてきたことがある。現在、同JAの年間販売高の約30億円の6割にあたる18億円を甘藷が占める。また「完熟きんかん」として有名な金柑と宮崎マンゴーなどの果樹が5億円。この2品目だけで8割弱を占めている。
現在、同JAでは日量10t、年間2000tを出荷できる新たな「かんしょ集出荷・貯蔵施設」を廃校になった地元の中学校グランド跡に建設中で、8月より稼動する。
「かつては380名いた甘藷生産部会員も、いまは高齢化が進み、166名にまで減りました。甘藷は重量野菜の部類に入り、生産や出荷作業は大変です。その出荷作業の軽減のため、生産物を土付きの状態で出荷して、洗浄や調理作業は農協で行ってもらう。そうしないと、『ヤマダイブランド』そのものが衰退し、なくなってしまうのではないか。私は強い危機感を持っています。また今後は、高齢化の進展で、離農により遊休農地が増えると予想されます。そうした農地の管理も含めた、将来計画を立てていくことも重要なJAの課題です」と語る。
JAもかつては順調な金融・共済事業の支えもあり、経営も比較的順調な時代があった。それは、甘藷の売り上げが良く、結果として生産者の所得が上がり、そのお金が農協へ貯金として入り、そのお金で共済も加入できたからだと組合長は言う。
「いま『JAの創造的自己改革』が盛んに叫ばれていますが、当JAでは、生産者の所得アップを第一に考えています。そこで、販売と購買の手数料率を県下でいちばん低い設定にしようと考えているところです」
渡邊組合長は「小さな農協」だからこそできることがあるという。
「それは昔から生産者・組合員との間に壁がないことです。それこそが当JAの最大の強みです」と強調する。
(わたなべ・ひろやす)
昭和31年生まれ。
趣味はゴルフと読書。「明るく 元気よく そして楽しく」をモットーとしているが、それを「逆(反対の意味で)からは読みたくはない」という。
この他の新代表のインタビュー記事は下のリンクよりご覧ください。
シリーズ【JAの新代表に聞く】
(関連記事)
・【JA人事】JA串間市大束(宮崎県)新組合長に渡邊博康氏(18.04.27)
・JA串間市大束(外部リンク)
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