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JAの活動:この人と語るJA新時代

山口 政雄 JAはだの代表理事組合長 教育で実現 組合員参加の運営2019年4月19日

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 教育事業に定評のある神奈川県のJAはだの。本所を訪れると玄関前で二宮尊德の銅像が迎えてくれる。組合員教育積立金制度や毎年の国外研修、組合員講座など独自の教育事業を実施。またJAの事業・活動にあたっては准組合員を正組合員と同等に扱うなど組合員主体の運営を行っている。山口政雄代表理事組合長に聞いた。

TACとともに認定農業者を訪問する山口組合長(右)

TACとともに認定農業者を訪問する山口組合長(右)

 

◆教育基金1人5万円

 -JAはだのは組合員教育に力を入れています。教育活動の経過と意義を聞かせてください。
 
JAはだの代表理事組合長 山口 政雄 協同組合として当たり前のことですが、組合員教育には特に力を入れてきました。JAはだのは、アジア・地域・次世代の「3つの共生運動」に取り組んでいます。この3つはいずれも重要ですが、特に「次世代」との共生は、子どもたちに農業への興味を持ってもらい、しっかり農業を知ってもらわないと達成できません。教材用の農業の資材を学校に無償配布し、学校給食も地産地消で、安全・安心な農産物を提供するなどの取り組みをしています。
 しっかり教育しないと、組合員になっても、農協の本当のよさが理解できないでしょう。組合員教育のため、一人5万円の組合員教育積立金制度をつくっています。
 約1万4000人の組合員で、現在、積立金は7億円余りに達しています。これで国内はもとより国外研修も行い、毎年20人ほどの組合員を送り出しています。かつては小学生の図画・作文の交換を通じて交流のあった台湾・韓国が訪問先でしたが、今はベトナム、タイが中心になっています。普通の旅行と異なった国外研修が縁で、懇親会を続けるなど、組合員同士の絆が生まれ、それが間接的に農協の事業によい結果をもたらしています。これは貸借対照表には現れないJAはだのの誇りとする財産です。
 参加者は正組合員に限定せず、農協が運営する組合員講座の修了者から選びます。この講座も長年続いている教育活動ですが、組合員基礎講座、組合員講座(1年)、専修講座(2年)の3コースがあり、ここで協同組合とは何か、についてしっかり学びます。図画、作文の交換で始まったものなので、次世代との共生を考えると、子ども同士の交流があってもいいのではないかと考えています。

 

◆先人に学んだ「協同」

 ―それが実現するとアジアと次世代との共生が1度に実現することになりますね。組合長自身は、農協と、これまでどのように関わってこられましたか。

 農家の長男に生まれ、搾乳牛15頭ほどの酪農家でしたが、将来は農業を継ぐということで地元の農協に就職しました。当時の農家の長男は勤めながら、出勤前の一仕事「朝づくり」をして、終業後も暗くなるまで農作業するというケースが多かったのです。しかし農協で役職に付くとそんな余裕はなくなりましたが...。
 最初は購買部門の仕事を担当し、移動購買車の運転もやりました。その後、次長として支所で12年間仕事をしました。本所では生産資材、信用、共済を担当し、営農経済部長を経て参事、常務、専務を経験しました。役員歴は12年です。
 その間、協同組合とは何かについて学ぶことができました。いくら職員が協同組合の運動を行おうとしても、それを理解して一緒に取り組む組合員がいないとどうにもならず、組合員教育が欠かせません。それを徹底したのが先々代の松下(雅雄)組合長です。そのなかで二宮尊德や報徳思想を実践した安居院庄七のこと、消費者との連携や協同組合間の提携が重要だということを教えられました。協同組合間提携では、国内はもとより韓国の知道農協との姉妹農協締結もその一つで、組合員の国外研修ではホームスティを含め、組合員同士の交流が続いています。
  
 ―JAはだのには、組合員教育に関してしっかりした伝統があるように見えますが。

 JAはだのの大先輩に1973(昭和48)年就任した山口勝夫組合長がいます。学校の先生だったこともあり、教育の大事さを説き、今のJAはだのの教育事業の基礎をつくった人です。それをレールに乗せたのが松下(雅雄)元組合長です。JAはだのといえば教育、と言われていますが、そうした先人の努力のたまものです。長い歴史があるので、真似しても一朝一夜でできるものではないと思っています。
 大きな薫陶を受けた松下元組合長は、常に時代の先を読み、さまざまな事業に挑戦し、ことごとく見事に実らせました。私が初めて部長になったとき、何かで部下の職員をかばう様子がみえたのでしょう。松下元組合長に呼ばれ、部長は職員ではあるが経営者としての気持ちで臨み、人を育てるよう、部下には厳しく接するようにと教えられたことが印象に残っています。

 

◆職員の教育は現場で

 ―協同組合は人が資本です。いま、どのように職員が求められているのでしょうか。

 農協の職員が「農」の考えをなくすことは、農協から外れることです。従って職員教育は書物ではなく現場で学ぶことが重要だと思います。現場重視です。
 その一つに組合員訪問があります。職員は広報誌やチラシなどの単なる配達人ではなく、地域にとっての問題や農協改革についてなど、組合員から聞かれたとき、その場で答えられる知識が求められます。組合員に知ってもらうのだ、という考えをずらしてはなりません。
 JAには40人のLA(ライフアドバイザー)がいます。自前で借りた畑で野菜を作り、知識を得るようにしているLAがいますが、その気持ちが嬉しいですね。農業の現場を知ることで自信を持って農家とコミュニケーションができます。やる気のある人はちゃんとやっています。
 新任職員の教育では講義もありますが、農家実習も組み入れています。非農家の子弟が多く現場を知らないので、現場実習はプラスになります。半月間の研修期間中、組合員訪問日に同行させたり、2、3人の班に分け認定農業者のところへ送り、野菜や施設トマトで2日程度現場の実習を行ったりしています。
 農業協同組合の原点は「農」です。職員は農業に対する知識を高めることが一番大事なことで、それが信頼される農協になるための必須条件です。「夢のある農業と次世代へつなぐ豊かな社会を地域できずく」の基本理念をめざし、小さいころから農業を教え、今よりも魅力ある職業として、就職のとき選択肢の一つとして選ばれるような農協をつくる役割がわれわれにはあります。そうでないと農業は衰退してしまいます。やり方、工夫では農業でしっかり生計を立てている農業者もいます。そうした人の情報を参考にしながら農業を継続させていく必要があります。
 職員は専門的知識を持っていますが、実際の営農の能力は農業者の方が上です。それをどう指導するか。それには数多く顔出し、組合員の本当のニーズを知ることです。それがないと本当の指導はできません。
 TACには、技術を得て伝えるというよりは情報伝達と意見要望を収集するように言っています。経営についても、10軒訪問すれは10件の課題があります。それらを解決することで組合員の信頼をえることができます。認定農業者を中心に、役員も率先して訪問しています。1回だけではパフォーマンスになってしまいますが、TACと同行して定期的に訪問することで、組合員にその本気度が伝わります。
 
 ―JAはだのでは准組合員を正組合員と同等に扱っています。准組合員はどのように位置付けていますか。

 農家組合員である正組合員が増えない中で准組合員は増えていますが、その目的は農協の活動に参加することと利率の高い農協貯金にあります。准組合員への対応は共益権の問題があります。正組合員資格の面積要件や農業従事日数の要件を少なくしたり、一定の議決権を与えたりするなどの動きはこれから出るかも知れません。JAはだのでは春と秋に管内83会場で開いている集落座談会には准組合員も参加しますが、意欲のある准組合員もおり、昔と違って会社などの要職の経験があり、経理や経営の知識を持つ人もいます。そうした人のノウハウを借りる方法も、これから考える必要があると思います。
 
 ―JAはだのは都市近郊農協です。どのような地域農業の将来ビジョンを描いていますか。

 都市近郊の農業は販売や流通面で恵まれており、この立地をどう農業に活かすかがポイントです。農業は天候に左右されます。従って、安定した収入をえるためには、これからは施設園芸的でいくべきだと思います。例えば、管内には露地菊の栽培がありますが、春のお彼岸、7月のお盆、秋の彼岸と、需要のピークに合せた出荷が必要です。30代の若い農業者が遮光などで開花をコントロールしています。担い手は育っています。施設園芸中心に、40代の新規就農者も増えており、行政とともに、農地の確保や技術面でしっかり支援しようと思っています。

 

本シリーズの記事一覧は下記リンクよりご覧下さい。

【この人と語るJA新時代】連載にあたって

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