JAの活動:今さら聞けない営農情報
【今さら聞けない営農情報】第11回 肥料の成分Ⅱ2019年7月19日
肥料は、農作物の健全な生育を促すために不可欠な資材。肥料に含まれている成分が書かれた保証票の用語について、前回は窒素成分を紹介しました。今回は、窒素以外の肥料3大要素であるリン酸とカリを紹介します。
1.リン酸
(1)リン酸全量(T-P)
肥料に含まれる、りん酸質成分の全てをいい、酸化物のP2O5(五酸化リン)としてあらわします。リン酸は、タンパク質の合成を担う核酸(DNAやRNA)の材料となり、開花や結実、生育、枝分かれ、根の伸長など作物全体の生育を促す作用を持っています。この成分が不足すると、実の成熟が遅れたり、収量が減ることになります。
(2)く溶性リン酸(C-P)
水に溶けにくく、強い酸にとけるリン酸のこと。根から出る根酸程度の酸ではゆっくり溶け出すので、施用後にゆっくりと効くタイプのリン酸肥料です。有機質成分の「鶏糞燃焼灰」に含まれるリン酸は、く溶性です。一般に有機質肥料がゆっくり効くのは、このためです。
(3)可溶性リン酸 (S-P)
根から出る根酸程度の酸で溶けて肥効を表します。く溶性リン酸よりは速く効きますが、水溶性よりはゆっくりと効きます。「過石」のリン酸成分はすべて可溶性です。
(4)水溶性りん酸(W-P)
水に溶け、最も即効性の高いリン酸分。「リン安」や「過リン酸石灰」などが水溶性リン酸の代表です。
(5)複数のタイプのリン酸を含む肥料製品
リン酸成分には色々なタイプがある。作物の生育ステージによっては、速く効くタイプとゆっくり効かせるタイプと、複数の肥料を施用する必要があります。このような場合、「く溶性リン酸」(ゆっくりタイプ)と「可溶性リン酸」(速く効くタイプ)の両方を配合した製品を使うことで作業の効率化が図れる場合があります。
2.カリ
(1)カリ全量 (T-K)
肥料に含まれる、カリ成分すべて。酸化物のK2Oであらわします。主に根の生育を促し、作物を丈夫にし、作物自身の抵抗力を向上させる作用をもっています。カリが不足すると葉が枯れたり、品質低下を招きます。
(2)く溶性カリ(C-K)
水に溶けにくく、強い酸に溶けるカリ成分のこと。根から出る根酸程度の酸ではゆっくりと溶け出すので、施用後にゆっくりと効きます。代表的な肥料製品にはケイ酸カリがあります。
(3)水溶性加里(W-K)
水に溶けるカリ成分で、速く効きます。塩化カリや硫酸カリが代表選手です。
なたね粕や米ぬか、大豆粕などの有機質肥料のカリは、含まれる量は少ない場合が多く、ほとんどが水溶性です。特に大豆粕は、有機質肥料の中でも早く効く肥料として知られています。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(173)食料・農業・農村基本計画(15)目標等の設定の考え方2025年12月20日 -
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(90)クロロニトリル【防除学習帖】第329回2025年12月20日 -
農薬の正しい使い方(63)除草剤の生理的選択性【今さら聞けない営農情報】第329回2025年12月20日 -
スーパーの米価 前週から10円上がり5kg4331円に 2週ぶりに価格上昇2025年12月19日 -
ナガエツルノゲイトウ防除、ドローンで鳥獣害対策 2025年農業技術10大ニュース(トピック1~5) 農水省2025年12月19日 -
ぶどう新品種「サニーハート」、海水から肥料原料を確保 2025年農業技術10大ニュース(トピック6~10) 農水省2025年12月19日 -
埼玉県幸手市とJA埼玉みずほ、JA全農が地域農業振興で協定締結2025年12月19日 -
国内最大級の園芸施設を設置 埼玉・幸手市で新規就農研修 全農2025年12月19日 -
【浜矩子が斬る! 日本経済】「経済関係に戦略性を持ち込むことなかれ」2025年12月19日 -
【農協時論】感性豊かに―知識プラス知恵 農的生活復権を 大日本報徳社社長 鷲山恭彦氏2025年12月19日 -
(466)なぜ多くのローカル・フードはローカリティ止まりなのか?【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年12月19日 -
福岡県産ブランドキウイフルーツ「博多甘熟娘」フェア 19日から開催 JA全農2025年12月19日 -
α世代の半数以上が農業を体験 農業は「社会の役に立つ」 JA共済連が調査結果公表2025年12月19日 -
「農・食の魅力を伝える」JAインスタコンテスト グランプリは、JAなごやとJA帯広大正2025年12月19日 -
農薬出荷数量は0.6%増、農薬出荷金額は5.5%増 2025年農薬年度出荷実績 クロップライフジャパン2025年12月19日 -
国内最多収品種「北陸193号」の収量性をさらに高めた次世代イネ系統を開発 国際農研2025年12月19日 -
酪農副産物の新たな可能性を探る「蒜山地域酪農拠点再構築コンソーシアム」設立2025年12月19日 -
有機農業セミナー第3弾「いま注目の菌根菌とその仲間たち」開催 農文協2025年12月19日 -
東京の多彩な食の魅力発信 東京都公式サイト「GO TOKYO Gourmet」公開2025年12月19日 -
岩手県滝沢市に「マルチハイブリッドシステム」世界で初めて導入 やまびこ2025年12月19日


































