JAの活動:今さら聞けない営農情報
【今さら聞けない営農情報】第14回 ジェネリック農薬2019年8月9日
ジェネリックという言葉をご存じですか?
最近は、ジェネリック医薬品を推奨するテレビCMなどが流され、病院でもジェネリック医薬品がある場合は、医師等からジェネリック医薬品を奨められる機会も多いのでご存じの方も多いと思います。
多くの医薬品や農薬の有効成分は、化学合成などによってつくられた特許製品であり、一定期間、特許によって守られ、同じ構造を持つ製品を、ライセンスの供与を受けることなく製造することができません。
ジェネリックとは、この特許が切れた製品を他の業者が製造して販売するもので、一般的にオリジナル品よりも安く供給されています。
オリジナルの医薬品や農薬をつくる場合には、人畜毒性はもとより、催奇形性、慢性毒性、薬効、薬害などクリアしなければならない試験(ハードル)が設けられています。1つの製品をつくるだけでも、農薬の場合で数百億の費用がかかると言われ、費用の大部分が毒性試験に費やされています。
ジェネリックの場合、その毒性に関わる試験データはオリジナル品で作成されていますので、一番お金がかかる毒性試験の実施が免除されます。つまり、ジェネリックは、開発費用をぐっと抑えられ、安く供給できるのです。
農薬の場合、日本でもジェネリック農薬が農薬登録を取得する場合には優遇措置が設けられており、オリジナル品よりも安価に製品を作れていました。しかし、その優遇措置は、欧米等と比較するとジェネリックに対する免除が少なく、価格の引き下げ幅は少ないものでした。
そんななか、果樹や野菜の汎用性殺菌剤として知られる有効成分「マンゼブ」(製品名:シマンダイセン)のジェネリック農薬「ペンコゼブ」(クミアイ化学、三井化学アグロ)が誕生し、日本における本格的なジェネリック農薬の歴史が幕を開けました。
このジェネリック農薬は市場に大きな影響を及ぼし、オリジナル品の価格水準を下げ、生産現場でのコスト低減につながりました。
次に、汎用性殺虫剤の有効成分である「アセフェート」(製品名:オルトラン)のジェネリック農薬「ジェイエース」を全農が開発し、ペンコゼブ同様に防除コストの低減に貢献しました。
そして現在、農薬取締法の改正施行(平成30年12月1日)に伴い、ジェネリック農薬登録の規制緩和が図られました。以前の制度よりも提出すべき試験データの免除が多くなり、従来よりもジェネリック農薬の開発費用が少なくて済むようになりました。
さっそくこの制度を活用する農薬メーカーも登場しているようです。今後のジェネリック農薬の拡大が進み、効果も高く、よりコスト低減に役立つ農薬の開発が期待されています。
(写真)JA全農が開発したジェネリック農薬「ジェイエース」
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