JAの活動:今さら聞けない営農情報
【今さら聞けない営農情報】第17回 土壌の改良2019年9月6日
農作物を育てる土壌の良し悪しが、農作物の収穫を左右します。このため、現在の土壌の状態を探るために土壌診断をし、それに沿った土づくりや土壌改良を行なわれて初めて豊かな収穫が得られます。作物が育つためには、光、温度、水、空気が不可欠ですが、これらの他に窒素やリン酸、カリなど土壌から供給される元素がいくつもあります。
作物は、これらを吸収し、光合成してエネルギーをつくり、生育し、やがて豊かな収穫に結びつきますので、まずは、土壌に含まれる作物の栄養源となる元素の量がどの位あるかを調べる必要があります。そして、判明した数値が作物の生育に良いか悪いかを判断し、悪いようであれば、矯正してあげる必要があります。これが土壌改良です。
今回から何回かに分けて、土壌の状態を示す数値とその改良方法について基礎的な事項を整理してみます。
1.pHを調べる
pHは、土の中の水素イオン濃度のことで、土の酸性度を示します。pH7が中性、5以下が強酸性、6~6.5が微酸性、7~7.5が微アルカリ性、8.5以上が強アルカリ性です。作物には好みの酸性度があり、多くの作物は微酸性を好みます。
日本は雨が多いため、土の中のアルカリ成分が流れやすく、アルカリ分を補給せずに栽培を続けると、どんどん酸性に傾いていってしまいます。そうなると、肥料成分が正常に吸収できなくなり、過剰障害や欠乏障害、あるいはアブラナ科根こぶ病など酸性を好む土壌病害が発生して、正常な収穫が得られなくなります。
pHは、土の重量1に対して純水2.5倍量を入れてよくかき混ぜて、pHメーターで測定します。
pHの基準値は、水田や畑作で6~6.5、樹園地で5.5~6.5、茶園で4~5.5が適正値とされ、これがpHを矯正する時の目標値になります。
では具体的にpHの改良はどのようにするのでしょうか?
まず、pHが低い場合です。pHが低いということは、その土は酸性に傾いているので、それを矯正するために、石灰質資材(炭カル、苦土炭カル、消石灰)を施用して矯正します。
pHを1上げるのに必要な石灰質資材の量は、土壌の種類によって異なります。
黒ボク土であれば、炭カル300~400kg/10a、または、苦土炭カル280~380kg/10a、消石灰240~320kg/10aとされています。
沖積・洪積土であれば、炭カル180~220kg/10a、または、苦土炭カル170~210kg/10a、消石灰140~180kg/10aとされています。
砂質土であれば、炭カル100~150kg/10a、または、苦土炭カル90~140kg/10a、消石灰80~120kg/10aとされています。
一方、pHが高い(アルカリ性)の場合は、硫黄華やピートモスといったpHを下げる資材を施用します。その施用量は、土壌の種類によって異なりますので、用法・用量をよく確認して使用するようにします。
(次回はECです)
本シリーズの一覧は以下のリンクからご覧いただけます。
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