JA全農 部長インタビュー 全力結集で挑戦 21年度事業計画
左カラム:全中動静160_86
バイデン農政と日本への影響
左カラム_シリーズ_防除学習帖
左カラム_病害虫情報2020
左カラム_コラム_正義派の農政論_pc
左カラム_コラム_米マーケット情報_pc
左カラム_コラム_地方の眼力_pc
左カラム_コラム_食料・農業問題 本質と裏側
左カラム_コラム_昔の農村・今の世の中_pc
左カラム_コラム_グローバルとローカル_pc
左カラム_コラム_TPPから見える風景_pc
左カラム_コラム_ムラの角から_pc
左カラム:JCA160_86
BASFヘッドSP:ゴーゴーサン
ベリマークSC:FMC(PC)センター
ベリマークSC:FMC(SP)センター

JAの活動:JAの現場から考える新たな食料・農業・農村基本計画

【シリーズ:JAの現場から考える新たな食料・農業・農村基本計画】食料安保の確立へ 早期実践を 中家徹JA全中会長2020年4月6日

一覧へ

聞き手:下小野田寛JA鹿児島きもつき代表理事組合長

 政府は新たな食料・農業・農村基本計画を3月末に閣議決定した。今回の基本計画は経営規模の大小や中山間地域といった条件にかかわらず、農業生産基盤の強化を図る方向を強調するとともに、農村を維持し次の世代に継承していくための「地域政策の総合化」を打ち出すなど、農村政策の建て直しを図る。また、農村を支えるJAの役割を明記した。この基本計画をどう実践していくか。JAcom農業協同組合新聞では「JAの現場から考える」シリーズを企画。第1回は国の審議会委員として基本計画の検討に参加したJA全中の中家徹会長にJA鹿児島きもつきの下小野田寛代表理事組合長がその思いを聞いた。

◆食料安保に危機感を

01.jpg 下小野田 今回の基本計画は前回よりもかなりトーンが変わったと感じています。中家会長がこれからの食料、農業、農村のビジョンについて国の審議会の企画部会の議論で強調していただいたことが反映された結果なのではないか、率直にそういう印象を持ちました。
 とくに印象的な言葉は、農林水産業は「国の基」であると書き込まれたことです。それから農業協同組合については、農業団体の項目以外でも記述が多いという印象を受けました。まずは企画部会でとくに主張されたことや印象に残っていることがあればお聞かせいただけますか。

 中家 平成の30年間、農業や農村にとってはずっと右肩下がりで、そのなかでいちばん心配なこととして私が一貫して主張してきたことは、食料安全保障のリスクが高まっているということです。
 1つは37%という食料自給率の低さ、もう1つは生産基盤の弱体化です。さらに世界的な災害の多発と1年に1億人ほど増えている世界人口です。その人口増加に食料生産が追いつくかと考えると、長い目でみればまさに食料需給はひっ迫するということです。
 それらに加えてこの2、3年で一気に貿易自由化も進みました。こうしたなかで食料安全保障ということを改めて問わなければならないと思います。国民のみなさんにこうした現状をどう伝え、農業や農村を応援したいという気持ちになっていただくか、今回の基本計画の議論のなかではとくにこのことも重視されました。
 それからこれまでは産業政策と地域政策は車の両輪だと言いつつ、農業の成長産業化ということが強調されてきました。産業政策が重視され、農村をどうするのかという視点が少なかったのではないかということです。農業を成長させていくといっても、農村が滅びてしまってはどうしようもありません。
 農村をどうするかということになれば、ただ単に大規模化すればいいということではなく中小の農家、家族経営に視点を当てていかなければなりません。そういう思いで企画部会の議論に参加し、主張すべきことは主張してきたということです。
住み続けられる農村を
 
 下小野田 そこは中家会長の危機感だと思いますが、基本計画を読んでみてしっかり反映されていると分かりました。非常に意欲的で、会長が指摘する危機にしっかり対処していこうということですし、しかも連携、協同ということも強調され、いろいろなところが結びついて実践していこうというトーンで書かれていると思います。

 中家 農村を元気にするには農水省だけでは限界があります。農水省が司令塔になって、どう関係省庁と連携をしていくかです。私が申し上げてきたのは農村振興プロジェクトのような組織を作り他省庁から入ってもらって農村をどうするかという議論をしていかなければなりません。
 たとえば、教育の問題なら文科省、医療の問題であれば厚労省ということになりますから、それらが連携して農村で農業をしながら住み続けるというかたちをつくらなければなりません。
 農業の特性は農地は動かせないということです。それは土着性があるということですが、定住条件をつくれば農地も守れるということになります。そのためには関係省庁が連携することが大事であり、今回の基本計画にそれが盛り込まれていることはありがたいと思います。

◆基本はカロリー自給率

下小野田氏 下小野田 食料自給率については従来のカロリーベース、生産額ベースに加えて、飼料自給率を反映しない食料国産率が新たに設定されましたが、この点については会長の思いはいかがですか。

 中家 肥料や燃料など輸入しているものはほかにもあるのになぜ飼料だけ自給率に反映しているのかという考え方もあり、食料国産率にはひとつの意味があると思います。ただ、メインになっているカロリーベースの自給率と生産額ベースの自給率、さらに食料国産率ということですから、国民のみなさんにきちんと説明して理解をしてもらわないと非常に混乱してしまうのではないかと思います。

 下小野田 私も食料国産率を設定することはいいと思いますが、われわれはどこを目標にすればいいかということがぼやけてしまうのではないかと思います。

 中家 食料安全保障の観点からすれば、やはりカロリーベースがメインだと思います。

 下小野田 多様な担い手ということも強調され、農村政策でも家族経営の大切さがしっかり位置づけられていると思います。ここではどんな議論があったのでしょうか。

 中家 当初は日本の農地の8割を担い手に集約するという、これまでと同じ方向が示されました。それに対して私は日本は農業そのものも多様であって平地だけでなく中山間地もあるということを指摘しました。
 ですから、農地集約が必要で可能な地域はその方向でいいですが、まずは現場の実態をふまえて方向を打ち出すべきだと申し上げました。
 もうひとつの観点は8割を担い手に集約するということを全国画一的に進めたときに、どういう農村を描いているのかということです。日本の農村コミュニティを維持するといったときに、そのメインとなるのはやはり中小の農家であり家族農業です。そういう意味で家族農業というものを非常に重要視しなければならないということを申し上げました。多様な人たちが農地に関わっていくというのが日本の農村の伝統的な姿ではないかと思います。農村には先祖伝来の文化もあり、それをなくすのは国にとって大きな損失です。

◆基本計画をJA基盤強化に

 下小野田 農村の振興もきちっと謳われており、そのなかでわれわれJAグループが果たす役割も大きくなってくると思いますが、それを国も認めているということであり、この基本計画では「農協系統組織が農村地域の産業や生活のインフラを支える役割を引き続き果たす」と書かれています。この点についてはどうお考えですか。
 中家 われわれJAグループは農業者の所得増大、農業生産の拡大、地域の活性化の3つの基本目標に取り組んでおり、地域の活性化は大きな目標です。ただ、一方ではJAは経営体ですから経営を維持していかなればなりません。地域の生活インフラを守るということは大事ですが、そのコストをどう負担するかという面もあります。そこは行政からのいろいろなかたちでの支援が必要ではないかという思いはあります。
 地方創生という課題でもJAへの期待は高く、それはありがたいことですが、それに対して財政的な側面も含めて何らかの支援が必要だと思っています。
 同時にJAの経営基盤強化が課題となっていますが、実はこの基本計画を実現していくことが長期的には経営基盤を強化していくことにつながると思っています。まったく別のものではなくリンクしているということです。これを実現することによって農村が元気になり、農家が元気になるということであり、それはJAも元気になるということです。
 これから大事なことは基本計画をどう実践していくか、です。今、新型コロナウイルス感染症の拡大という大変な状況のなかでのスタートとなり、まさに台風のまっただ中で基本計画の実践がスタートしたと思っています。国民のみなさんに不安が高まっているときだからこそ、計画実現の早期達成に向けて実践力を高めていく必要があると思います。そのなかでわれわれJAグループとしては全力をあげて、消費者や行政、さまざまな団体と連携して実現に向かっていくことが大事だと考えています。

◆コロナ問題の教訓

 下小野田 コロナ問題は、この基本計画で提示された課題を改めて問題提起することにもなっていると思います。たとえば、マスクが手に入らないとか、一時期トイレットペーパーが足らなくなったという騒動を見ていますと、これが食料に飛び火したらどんなことになるのか、心配です。

 中家 それは本当に教訓になったと思います。マスクの8割は中国で製造されています。もし食料が同じような事態になればどうするのか。今回はこのことを1つの教訓として、状況が落ち着いた段階で国民に発信していきたいと思います。

 下小野田 これだけマスクを中国に頼っているということをまったく意識していませんでした。消費者、国民のみなさんも案外、食料をどれだけ外国に頼っているかを意識していないかもしれません。そこはわれわれももっと発信していかなければなりませんね。

 中家 全国のJAのみなさんが同じように発信してほしいと思います。

 下小野田 それぞれのJAの現場でいろいろな組織と連携して基本計画の実現に取り組まなければならないということですね。
 さて、私もJAの組合長として持続的な経営基盤をいかに作っていけるかということに日夜悩んでいます。私たちの地域も過疎地ですから、JAの拠点、たとえばJA-SSなどは赤字ということもあります。しかし、組合員がそこで生活し営農もしていますから何とか全体の経営の中でその拠点を維持していこうと考えています。
 一方で今回の基本計画ではJAは地域の生活インフラを支える役割が期待されています。改めてJAはどう取り組むべきでしょうか。

 中家 そこは確かに難しいところですが、移動購買車を巡回させるなど組合員のためにJAは工夫していると思います。それも収益が見込めるからではありません。協同組合という組織であり、組合員・地域住民のためになるからこその取り組みであり、一般の国民のみなさんにもJAがやっていることについて評価していただければと思います。
 JAの経営が厳しくなっていますが、そのときに大事なことは、組合員との対話だと思っています。最終的には組合員の理解と合意がなければ改革もできないということです。日頃から対話してJAの現状はこうなっているということについて理解を求めていくことも大事だと思います。
 
◆国民理解へJAから発信

 下小野田 対話が大事だということですね。JAは組合員との対話が大事ですが、農水省も生産者だけではなくて消費者との対話を通じて合意形成をしていってもらいたいと私も思います。国民は食には関心を持っていると思いますし、その食を国内農業が支えているんだということを分かっていただきたいし、われわれもそのことを広く伝えていくことが重要です。
 中家 最初にお話ししたように食料を将来にわたって安定的に供給できるかどうか、そのリスクが高まっているということを国民に具体的に示していくことが大切だと思います。
 下小野田 今日はありがとうございました。


【インタビューを終えて】
 中家会長が食料・農業・農村審議会の委員として企画部会に精力的に出席され、新たな基本計画づくりにJAグループの想い、農家・農村の想いを直接そして熱く伝えていただいたことがよくわかった。あとは実践である。中家会長も強調されていたが、全国一律の取組みではなく、日本全国それぞれの地域でそれぞれの取組みがある。それぞれの地域の中でもっと協力・連携を進め、地域と農産物の個性と価値を大いに高める、新たな基本計画がそれぞれの地域に求められている。

(下小野田)

最新の記事

シンジェンタライブラリー210908:SP

JA人事

ヤンマーSP

みどり戦略を考える

注目のテーマ

注目のテーマ

Z-GIS:SP

JA女性協70周年記念 花ひらく暮らしと地域

JA共済連:SP

注目のタグ

JAバンク:SP
topへ戻る