JAの活動:今さら聞けない営農情報
PCR検査【今さら聞けない営農情報】第54回2020年6月5日
コロナ禍で、よく耳にするPCR検査という言葉。
この検査技術は、遺伝子解析の手法で、実は農業分野でも、薬剤耐性菌や薬剤抵抗性害虫の検出や水稲品種の特定などに利用されています。
では、PCR検査とはどんな技術なのか確認してみましょう。
全ての生物には、その形質を形作る設計図である遺伝子(DNA)があり、普通、1生物あたり数万個もあるといわれます。
このDNAは、A(アデニン)、G(グアニン)、C(シトシン)、T(チミン)というわずか4つの塩基(アミノ酸)の配列、いわゆる遺伝子配列によって遺伝情報を表現し、生物ごとにその数が異なっています。
そして、生物ごとにその生物を特徴づける配列を持っており、その特徴的な配列を持っているかどうかを判定する手法がPCR検査です。
ところが、現場で採取してきた病原菌や害虫の細胞サンプルに含まれる遺伝子は、極微量なので、どんなに優秀な機械を持ってきても、サンプルそのままでは目的の遺伝子検出することは不可能です。それを検出できるようにするには、検査したい遺伝子の1部分を大量に増やしてあげる必要があり、それを可能にするのがPCR(polymerase chain reaction)です。PCRとは複製連鎖反応の略称で、DNAの特定の部位だけを大量に増幅することができます。
たとえば、耐性菌の検定では、ある薬剤の耐性が疑われる病原菌一部分(菌糸など)をサンプリングし、「耐性を特徴づける遺伝子を含む遺伝子の1部分」をPCR法で大量に複製して、耐性の遺伝子配列があるかないかで判定することができます。
ただ、サンプルの中に目的の遺伝子部分が入ってなければ検出することができないので、耐性菌や抵抗性が中を検査する際には、薬剤を確実に散布したところで薬剤が効かずに発生している病原菌や害虫を採取するなど、サンプリング時に感受性個体(薬剤が効く個体)の一部分が混入しないように注意する必要があります。
PCR検査は、運用の仕方によって結果が180度異なることがあるので、特性をよく理解した上で活用する必要があります。また、検査を実施するには、遺伝子増殖ための専用機器や器具などが用意された実験室と、PCR技術をもった検査担当者が必要になるので、どこでも誰でもできるような検査法ではないのが難点です。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(90)みどりの食料システム戦略 現在の技術で実現可能でしょ(4)2024年4月20日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(7)【防除学習帖】 第246回2024年4月20日
-
土壌診断の基礎知識(16)【今さら聞けない営農情報】第246回2024年4月20日
-
地域複合農業戦略に挑む(2)JA秋田中央会会長 小松忠彦氏【未来視座 JAトップインタビュー】2024年4月19日
-
農基法改正案が衆院を通過 賛成多数で可決2024年4月19日
-
【注意報】さとうきびにメイチュウ類 伊是名島で発生多発のおそれ 沖縄県2024年4月19日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:JA水戸 那珂川低温倉庫(茨城県) 温湿度・穀温 適正化徹底2024年4月19日
-
【農業倉庫保管管理強化月間にあたり】カビ対策を万全に 農業倉庫基金理事長 長瀬仁人氏2024年4月19日
-
食農教育補助教材を市内小学校へ贈呈 JA鶴岡とJA庄内たがわ2024年4月19日
-
【浅野純次・読書の楽しみ】第97回2024年4月19日
-
(380)震災時は5歳【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2024年4月19日
-
【JA人事】JA道北なよろ(北海道)村上清組合長を再任(4月12日)2024年4月19日
-
地拵え作業を遠隔操作「ラジコン式地拵機」レンタル開始 アクティオ2024年4月19日
-
協同組合のアイデンティティ 再確認 日本文化厚生連24年度事業計画2024年4月19日
-
料理酒「CS-4T」に含まれる成分が代替肉など食品の不快臭を改善 特許取得 白鶴酒造2024年4月19日
-
やきいもの聖地・らぽっぽファームで「GWやきいも工場祭2024」開催2024年4月19日
-
『ニッポンエール』グミシリーズから「広島県産世羅なしグミ」新発売 JA全農2024年4月19日
-
「パルシステムでんき」新規受付を再開 市場の影響を受けにくい再エネ調達力を強化2024年4月19日
-
養分欠乏下で高い生産性 陸稲品種 マダガスカルで「Mavitrika」開発 国際農研2024年4月19日
-
福島県産ブランド豚「麓山高原豚」使用『喜多方ラーメンバーガー』新発売 JAタウン2024年4月19日