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JAの活動:農協時論

【農協時論】小さな協同こそ 地域社会の礎に 飯野芳彦・元JA全青協会長2021年5月27日

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そもそも協同は、向こう三軒両隣ほどの小さい単位で、お互いの生活の向上と身の回りの生活環境をよくするために組織されたものです。その小さな協同が集まり集落を形成していました。ギブ&ギブの見返りを求めず、自らの力を発揮して互いの幸せを願う協同社会だったのだとおもいます。その為にお互いをよく知り、共通の概念と約束の中で信頼関係を築いていました。

飯野芳彦・元JA全青協会長

経済発展とともに人の移動と経済的豊さを求めることが、共通の概念となることで小さい協同は少しずつ失われました。少子高齢化、人口減少によりさらに拍車がかかっています。

本来、小さな協同の概念と約束は、次世代に引き継がれるたびに合議によって少しずつ変化していき、時代に則したかたちになるものでした。しかし、次世代の減少などにより合議はされることなく概念と約束は以前のまま引き継がれ、いまや「悪しき習わし」として社会から批判の対象になっています。

本来ならば一刻でも早く時代に即した変化をしなければなりません。しかし、大きな変化はどんな人でも好みません。好まないから課題を先送りしているのが現実です。

モザイク画は小さいタイル一つ一つを見たところで、全体の中で何の役に立っているのかは知ることはできません。しかし全体を見渡した時に、美しい造形を織りなす大切な小さいタイルだと気づかされるのです。まさしく協同組合もモザイク画のように小さい協同体の集合こそが、社会に根付く協同組合として人びとに幸せを生む組織となるのです。

現状は、小さい協同のタイルはところどころ剥がれ落ちたり、時代に取り残され色あせているものもあります。よって協同という美しい造形を失いつつあるのです。失ったとき初めて小さなタイルである小さな協同体が大切だったことに気づかされるのです。

そのような課題が表に現れてきたときに、JAは改革を迫られました。そこで2015年JA全国大会において、自らの組織は自ら改革を行う強い意志のもと、「創造的自己改革」を宣言しました。「創造」とは、新しい事を初めて作り出すことです。農業協同組合の発足以来の功績として、一部の人しか受けることのできなかった様々なサービスを、全国津々浦々の農村まで受けられるように事業を普及させてきました。

特に、農畜産物を安定的に供給するだけではなく、農業所得向上に多くの力を発揮してきました。その様な組織が創造をしなければならくなったのか? それは現在、多くの多様な事業者が全国津々浦々まで事業を展開し、生活者も選択肢が増えたからです。

何もない時代から豊かな時代へ変化を遂げることができたのは、協同組合の功績である半面、組合員が協同を選択する必要がなくなったのも事実です。組合員が不要と結論付けた協同組合は、組合員の手によってなくなります。現在の豊かな地域社会は、先人たちのギブ&ギブの協同の礎があってこそだと思います。

現在を生きる組合自らの手で礎を取り除いたとき、近い将来やってくる人口減少というマイナス成長の社会構造になったとき、現在の豊かさを維持できるのでしょうか? その時に、協同という選択肢をなくさない努力が我々自身の為でもあるのではないかと考えるのです。

20年後の農業・地域の課題は、地域に住む人の不安でもあります。誰かがやるのではない自らやる。ギブ&ギブの概念に基づいた議論を小さい範囲でできる限り数多く行い、協同を創造することが必要です。その結果、食料安全保障を含めた社会に大きな役割を果たす、見返りを求めない社会に必要な農業協同組合組織になると思います。

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