JAの活動:農協時論
【農協時論】この夏に想う、『いま』を生きる 下小野田寛・JA鹿児島きもつき代表理事組合長2021年8月24日
コロナの爆発的感染拡大、豪雨や水害などの自然災害、東京五輪開催、そして76年前の6日9日の広島・長崎と8月15日。慌ただしく過ぎていく8月の日々である『いま』をどう感じとらえればいいのかを、下小野田組合長は問います。そして、『いま』を生きることで新たな歴史が生まれ次の世代につながっていく。そこにJAの役割もあるのではないかと提言しています。
下小野田寛・JA鹿児島きもつき代表理事組合長
新型コロナウィルスの爆発的な感染拡大、東京2020オリンピックの開催、豪雨・水害、台風襲来と私たちの回りは想像を絶する慌ただしさである。いま、私たちはどこに立っているのか? どこに進もうとしているのか、みんなわからなくなってきている。そういう状況の中、8月6日、9日そして8月15日を迎え、コロナ禍で行動制限が叫ばれる中、私たちは慌ただしく、沈痛の8月を過ごした。
いま、あらためて『私たちは一人では生きていけない』ということを厳粛に受けとめなければならない。併せて、『私たちは一人ではない!支えてくれる、みんながいる!』ということも感じたい。日本人選手が大いに活躍した東京2020オリンピック・パラリンピックで、日本人選手のインタビューを聞いているとほとんどの選手が異口同音に話したことが、回りへの感謝、自分を支えてくれた人々への感謝のことばであり、『いま』、この舞台に立てたことに対する感謝のことばであった。
翻って私たちはコロナ禍の『いま』、ここに立っていることに感謝できているのだろうか? つい、不満・不安そして失望が先行して感謝の心までに至らない。でも私たちは長い、悠久の歴史を積み重ねてきた。私たちの先達・先輩は、長い歴史の中で様々な経験・葛藤を重ねて今日の世界を創り上げてきた。『いま』はその長い歴史の中の一点に過ぎない。そう考えると、『いま』この時も私たちが乗り超えていかなければならない通過点であり、私たちはこれまでの歴史と闘ってきた多くの先達に感謝しながら『いま』を生きていきたい。私たちが前に向かって『いま』を生きることにより、新たな歴史が生まれ、やがて次の世代が感謝してくれることを信じる。
『いま』を生きるために私たちは今こそ、農業・農村の役割・機能を確かめたい。その強みと弱みをはっきりさせたい。その弱みはやはり、少子高齢化、過疎化であろう。ずっと前から人口は減少してきているし、農業従事者も大きく減少してきている。しかし、その農業・農村を追っかけるように、日本全体も少子高齢化、人口減少に入った。農業・農村の弱みを何とか強みに変えられないか。農業・農村の弱みを強みに変える、新たな歴史を創っていけないか。
弱みを強みに変えるためにはやはり人が大事であり、人のつながりを大切にしたい。総合的な人のつながりが弱みを強みに変えてくれると信じる。その時ばかりの、ある部分だけのつながりではなく、いろいろな毎日のつながりがJAにはある。今こそ、JAのつながりの多様性と強さを発揮したい。組合員のよりどころとなっている各支所を何とか継続していきたい。各地にある選果場や家畜市場等の集出荷施設を何とか維持したい。それぞれの拠点施設を組合員・職員がチャレンジする場に変えていきたい。そのために私たちは今年度も来年度も、積極的に未来投資にチャレンジする。それが私たちの『いま』を生きることであり、やがて後世に感謝してもらえる道である。
それは一人ひとりの幸せを追求していくための新たな歴史であり、それぞれの人がそれぞれの幸せを目指せる農業・農村を創る歴史でもある。そのために私たちJAは懸命に『いま』を生きていきたい。『いま』を生きていく、いつもあなたのそばで。
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