JAの活動:今さら聞けない営農情報
有機農業とは31【今さら聞けない営農情報】第150回2022年5月21日
令和3年5月12日に決定された「みどりの食料システム戦略」では、有機農業の推進が大きな目標となっています。有機農業に取り組むあるいは拡大するためには、有機農業についてよく理解する必要があり、本稿では、その大元となる有機JAS規格について解説しています。過去3回(N0.137、No.138、No.139)に渡り、別表2の有機栽培で使用できる農薬等資材の概略をご紹介しました。現在、別表2で示された資材を使用する際の留意点を掲載されている順番に沿って連番で紹介しています。
20.天敵等生物農薬(その2)
天敵等生物農薬とは、害虫の天敵であったり、細菌がつくる害虫毒素であったり、病原菌の生育を妨げる菌であったりと、病害虫の活動を妨げる働きをする生物のことをいい、前回は天敵を紹介しました。今回は、「バチルス菌の産生する結晶毒素(BT剤)によるチョウ目害虫防除」を紹介します。
まず、「バチルス菌」とは一体何者でしょうか? これは、納豆菌の仲間で芽胞と呼ばれる耐久体をつくる細菌の1種です。土壌中の有機物を餌として生きており、自然界のいたるところに存在します。今回紹介するBT剤とは、カイコの卒倒病菌である「バチルス チューリンゲンシス(Bucillus thuringiensis)(以下BT菌)」が作る結晶毒素を主成分として害虫の防除に使用される農薬です。このBT菌には多くの系統があり、チョウ目を中心にハエ目、甲虫目などに特異的な殺虫作用を示す結晶毒素タンパクをつくります。
この中で、クルスタキー系統とアイザワイ系統の2つの株がチョウ目に特異的な結晶毒素をつくることから、現在、この2つの系統の結晶毒素を主成分とするBT剤がチョウ目対象に多く利用されています。
結晶毒素は紫外線によって分解されやすいため残効が短くなります。ただし、BT菌の生菌(殺菌処理していない芽胞を含む)を使用した製剤は、死菌剤よりも効果が早く出ますので、散布時にいる害虫は速やかに防除できます。しかし、散布後に飛来・産卵された害虫には効果がないことが多いので、害虫の発生が多い時期には、短い間隔での連続散布が必要になります。
BT剤で防除できる害虫は、圧倒的にチョウ目が多いですが、その他、甲虫のドウガネブイブイを防除できる「ブイハンターフロアブル」、「ブイハンター粒剤」といった製品もありますので、必要に応じて使用を検討下さい。
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