JAの活動:今さら聞けない営農情報
有機農業とは70【今さら聞けない営農情報】第189回2023年2月25日
国は、肥料原料の価格高騰に対応した肥料価格高騰対策事業を実施し、海外原料に依存している化学肥料の低減や堆肥等の国内資源の活用等に取り組む農業者に対し、肥料コスト上昇分の一部(7割)を支援しています。この事業は、15項目に上る化学肥料低減に向けた取り組みのうち、2つ以上を実行または強化・拡大することで補助を申請できます。
今回は、⑪可変施肥機の利用(ドローンの活用等も含む)について紹介します。
可変施肥機とは、文字どおり施肥の量を変化させながら肥料を施用できる機械のことです。土壌中の栄養状態に合わせて、ほ場内で肥料分が少ない箇所には多めに施用し、肥料分が多いところでは少なめに施用することができます。
この施肥量を可変させるためには、ほ場内の地点毎の栄養状態を位置情報とともに把握し、データ化されている必要があります。その栄養状況をデータ化する方法としては、収量コンバインで地点毎の収量を計測したり、ドローンを飛ばしたり衛星画像から葉色を計測して地点毎の栄養状態を把握する方法があります。栄養状態を示すデータができたら、それを可変施肥機に与えて、施肥量を機械が自動で制御しながら施肥作業を実行します。
このことで、肥料の過剰施用を防ぎ、施肥量を減らすことができます。可変施肥機や衛星画像入手のための地点毎の栄養状態を計測する手段を導入する必要があり、そのために新たに数百万円のコストがかかります。そのため、施肥費用と可変施肥機の導入費用とをよく比較検討して導入の可否を考える必要があります。施肥費用よりも可変施肥機の導入費用の方が高額になる場合は、それこそ無駄な出費になりかねません。なので、ちょうど施肥機の更新時期に当たっている場合に、更新するブロードキャスターを可変施肥機能を持ったものにするなど、導入に無理のないよう検討する必要があります。
また、ドローンによる液肥施用もこのメニューの対象になっていますが、ドローンは既存装置の更新ではなく新たに設備投資することになりますので、これについても費用対効果をよく検証するように注意します。
あくまで、肥料価格高騰対策が主眼ですので、いくら肥料代金が安くなっても、導入費用が肥料代金削減の額を上回らないようしなければ意味がありません。
◇ ◇
本コラムに関連して、ご質問や取り上げてほしいテーマなどがございましたら、お問い合わせフォーム(https://www.jacom.or.jp/contact/)よりご連絡ください。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(174)食料・農業・農村基本計画(16)食料自給率その他の食料安全保障の確保に関する目標2025年12月27日 -
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(91)ビスグアニジン【防除学習帖】第330回2025年12月27日 -
農薬の正しい使い方(64)生化学的選択性【今さら聞けない営農情報】第330回2025年12月27日 -
世界が認めたイタリア料理【イタリア通信】2025年12月27日 -
【特殊報】キュウリ黒点根腐病 県内で初めて確認 高知県2025年12月26日 -
【特殊報】ウメ、モモ、スモモにモモヒメヨコバイ 県内で初めて確認 高知県2025年12月26日 -
【注意報】トマト黄化葉巻病 冬春トマト栽培地域で多発のおそれ 熊本県2025年12月26日 -
【注意報】イチゴにハダニ類 県内全域で多発のおそれ 熊本県2025年12月26日 -
バイオマス発電使った大型植物工場行き詰まり 株式会社サラが民事再生 膨れるコスト、資金調達に課題2025年12月26日 -
農業予算250億円増 2兆2956億円 構造転換予算は倍増2025年12月26日 -
米政策の温故知新 価格や流通秩序化 確固たる仕組みを JA全中元専務 冨士重夫氏(1)2025年12月26日 -
米政策の温故知新 価格や流通秩序化 確固たる仕組みを JA全中元専務 冨士重夫氏(2)2025年12月26日 -
米卸「鳥取県食」に特別清算命令 競争激化に米価が追い打ち 負債6.5億円2025年12月26日 -
(467)戦略:テロワール化が全てではない...【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年12月26日 -
【スマート農業の風】(21)スマート農業を家族経営に生かす2025年12月26日 -
JAなめがたしおさい・バイウィルと連携協定を締結 JA三井リース2025年12月26日 -
「省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業」採択 高野冷凍・工場の省エネ対策を支援 JA三井リース2025年12月26日 -
日本の農畜水産物を世界へ 投資先の輸出企業を紹介 アグリビジネス投資育成2025年12月26日 -
石垣島で「生産」と「消費」から窒素負荷を見える化 国際農研×農研機構2025年12月26日 -
【幹部人事および関係会社人事】井関農機(1月1日付)2025年12月26日


































