JAの活動:今さら聞けない営農情報
有機農業とは82 有機質資材を活用した施肥⑳【今さら聞けない営農情報】第201回2023年5月27日
肥料原料の価格の高騰に対応し、政府の肥料価格高騰対策事業の支援を受けるための化学肥料低減の取組が進められています。この取り組みをより進め、日本農業を発展、維持させるためには、国内の肥料資源を活用する必要があり、堆肥、汚泥肥料、食品残渣、有機質肥料、緑肥作物といった有機質資材の活用が重要になります。このため、本コラムでは、有機質資材を有効活用するために必要な知識として、「有機質資材が持つ作物の健全な生育に役立つ効能」についてご紹介しています。その効能は、①肥効増進効果、②土壌の化学性改善、③土壌の物理性改善、④土壌の微生物活性の改善、⑤植物生理活性の増進、⑥土壌緩衝能の改善といったものであり、前回までに①~⑤についてご紹介しました。
今回は、⑥土壌緩衝能の改善です。
土壌は作物が健全に生育する際に見舞われる低温や干ばつといった環境ストレスを緩和する素晴らしい緩衝能力を持っています。この土壌緩衝能については、既にご紹介したものに、ばん土性の改善や土壌pHの急激な変化を防ぐ「化学的緩衝能」、土壌中の空気と水分のバランスを適正に保つ「物理的緩衝能」があますが、その他に生物的な緩衝能が知られています。
ご存知のように、土壌中には糸状菌(かび)や放線菌、細菌(バクテリア)などが生息しており、その種類は、数千から1万種類にも上ると言われています。これらの土壌微生物は、土壌1グラム中に1億個体以上がひしめき合って一定のバランスを保っていますが、過度な連作といった外的な要因が加わると、特定の微生物種類だけが増えすぎたり、それに伴っていくつかの種が途絶えたりいったいわゆる連作障害が起こってしまいます。
こういった時に有機質資材を投入して土づくりをすると、個々の微生物が、自らの住み心地に合った場所を選択するという生物的な緩衝作用が働き、微生物同士の一定のバランスを保とうとします。これを生物的緩衝能といっています。
このように土壌は複数の緩衝能力を持つことによって、様々な環境ストレスから作物を守り、作物の健全な生育を促します。これらの緩衝能力は、土壌診断に基づいて腐植を多く含む有機質資材を定期的に施用することによって向上させることができます。
◇ ◇
本コラムに関連して、ご質問や取り上げてほしいテーマなどがございましたら、コラム・シリーズ名を添えてお問い合わせフォーム(https://www.jacom.or.jp/contact/)よりご連絡ください。
重要な記事
最新の記事
-
【JA全農の若い力】家畜衛生研究所(1)養豚農家に寄り添い疾病を防ぐ クリニック北日本分室 菅沼彰大さん2025年9月16日
-
【石破首相退陣に思う】戦後80年の歴史認識 最後に示せ 社民党党首 福島みずほ参議院議員2025年9月16日
-
【今川直人・農協の核心】全中再興(6)2025年9月16日
-
国のプロパガンダで新米のスポット取引価格が反落?【熊野孝文・米マーケット情報】2025年9月16日
-
准組合員問題にどう向き合うか 11月15日に農協研究会開催 参加者を募集2025年9月16日
-
ファミリーマートと共同開発「メイトー×ニッポンエール 大分産和梨」新発売 JA全農2025年9月16日
-
「JA共済アプリ」が国際的デザイン賞「Red Dot Design Award2025」受賞 国内の共済団体・保険会社として初 JA共済連2025年9月16日
-
秋元真夏の「ゆるふわたいむ」北海道訓子府町で じゃがいもの新品種「ゆめいころ」を収穫 JAタウン2025年9月16日
-
山形県産「シャインマスカット」品評会出品商品を数量限定で予約販売 JAタウン2025年9月16日
-
公式キャラ「トゥンクトゥンク」が大阪万博「ミャクミャク」と初コラボ商品 国際園芸博覧会協会2025年9月16日
-
世界初 土壌団粒単位の微生物シングルセルゲノム解析に成功 農研機構2025年9月16日
-
「令和7年8月6日からの低気圧と前線による大雨に伴う災害」農業経営収入保険の支払い期限を延長(適用地域追加)NOSAI全国連2025年9月16日
-
農薬出荷数量は1.3%増、農薬出荷金額は3.8%増 2025年農薬年度7月末出荷実績 クロップライフジャパン2025年9月16日
-
林業の人手不足と腰痛課題解消へ 香川西部森林組合がアシストスーツを導入 イノフィス2025年9月16日
-
農業支援でネイチャーポジティブ サステナブルの成長領域を学ぶウェビナー開催2025年9月16日
-
生活協同組合ユーコープの宅配で無印良品の商品を供給開始 良品計画2025年9月16日
-
九州・沖縄の酪農の魅力を体感「らくのうマルシェ2025」博多で開催2025年9月16日
-
「アフガニスタン地震緊急支援募金」全店舗と宅配サービスで実施 コープデリ2025年9月16日
-
小学生がトラクタ遠隔操縦を体験 北大と共同でスマート農業体験イベント開催へ クボタ2025年9月16日
-
不在時のオートロックも玄関前まで配達「スマート置き配」開始 パルシステム千葉2025年9月16日