JAの活動:今さら聞けない営農情報
有機農業とは84 有機質資材を活用した施肥(22)【今さら聞けない営農情報】第203回2023年6月10日
みどりの食料システム法が施行され、国内の肥料資源(特に有機質資材)を活用した施肥の重要度が増しています。そこで本稿では、堆肥、汚泥肥料、食品残渣、有機質肥料、緑肥作物といった有機質資材を有効活用するために必要な知識として「有機質資材が持つ作物の健全な生育に役立つ効能」についてご紹介し、現在、有機質資材利用にあたって理解しておきたい基本的事項をご紹介しています。
前回、有機質資材を肥料や土壌改良材として利用するために必要な品質条件に関してご紹介しましたが、もう少し補足しておきます。
有機質資材に限らず、作物の生育に必要な資材として使用される肥料は、その品質によって生育に大きな影響を受けるため、「肥料の品質の確保等に関する法律(以下、肥料取締法)」によって品質が規制されています。
この法律の目的は、「肥料の生産等に関する規制を行うことにより、肥料の品質等を確保するとともに、その公正な取引と安全な施用を確保し、もつて農業生産力の維持増進に寄与するとともに、国民の健康の保護に資すること」であり、肥料とは「植物の栄養に供すること又は植物の栽培に資するため土壌に化学的変化をもたらすことを目的として土地に施される物及び植物の栄養に供することを目的として植物に施される物をいう。」と定義しています。
また、同法では、肥料を「普通肥料」と「特殊肥料」とに分けており、堆肥や動物の排泄物のことを「特殊肥料」、その特殊肥料以外のものを「普通肥料」と定めています。
「普通肥料」については、公定規格が定められ、製品中に含まれる肥料成分等の品質を表示する「保証票の添付」が義務づけられています。一方の「特殊肥料」については、公定規格はありませんが、「主要な成分の含有量等を明記する」義務が課せられています。
有機質資材自体は普通肥料ですが、その原料によって肥料取締法上の扱いが異なります。例えば、ナタネ油粕や魚粕粉末肥料、汚泥を原料とする汚泥肥料は「普通肥料」に該当し保証成分量または主要な成分の含有量等の品質を表示する保証票が必要になります。これに対し、堆肥等の特殊肥料は、主要な成分の含有量等の品質表示を行わなければなりませんが、保証票はつきません。なお、魚粕は乾燥粉末になっているものは普通肥料ですが、魚粕であっても粉末になっていないものは特殊肥料に分類されています。
(つづく)
◇ ◇
本コラムに関連して、ご質問や取り上げてほしいテーマなどがございましたら、コラム・シリーズ名を添えてお問い合わせフォーム(https://www.jacom.or.jp/contact/)よりご連絡ください。
重要な記事
最新の記事
-
【JA全農の若い力】家畜衛生研究所(3)病気や環境幅広く クリニック西日本分室 小川哲郎さん2025年9月18日
-
【全中・経営ビジョンセミナー】伝統産業「熊野筆」と広島県信用組合に学ぶ 協同組織と地域金融機関の連携2025年9月18日
-
【石破首相退陣に思う】米増産は評価 国のテコ入れで農業守れ 参政党代表 神谷宗幣参議院議員2025年9月18日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】協同組合は生産者と消費者と国民全体を守る~農協人は原点に立ち返って踏ん張ろう2025年9月18日
-
「ひとめぼれ」3万1000円に 全農みやぎが追加払い オファーに応え集荷するため2025年9月18日
-
アケビの皮・間引き野菜・オカヒジキ【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第356回2025年9月18日
-
石川佳純の卓球教室「47都道府県サンクスツアー」三重県で開催 JA全農2025年9月18日
-
秋の交通安全キャンペーンを開始 FANTASTICS 八木勇征さん主演の新CM放映 特設サイトも公開 JA共済連2025年9月18日
-
西郷倉庫で25年産米入庫始まる JA鶴岡2025年9月18日
-
日本初・民間主導の再突入衛星「あおば」打ち上げ事業を支援 JA三井リース2025年9月18日
-
ドトールコーヒー監修アイスバー「ドトール キャラメルカフェラテ」新発売 協同乳業2025年9月18日
-
「らくのうプチマルシェ」28日に新宿で開催 全酪連2025年9月18日
-
埼玉県「スマート農業技術実演・展示会」参加者を募集2025年9月18日
-
「AGRI WEEK in F VILLAGE 2025」に協賛 食と農業を学ぶ秋の祭典 クボタ2025年9月18日
-
農家向け生成AI活用支援サービス「農業AI顧問」提供開始 農情人2025年9月18日
-
段ボール、堆肥、苗で不耕起栽培「ノーディグ菜園」を普及 日本ノーディグ協会2025年9月18日
-
深作農園「日本でいちばん大切にしたい会社」で「審査委員会特別賞」受賞2025年9月18日
-
果実のフードロス削減と農家支援「キリン 氷結mottainai キウイのたまご」セブン‐イレブン限定で新発売2025年9月18日
-
グローバル・インフラ・マネジメントからシリーズB資金調達 AGRIST2025年9月18日
-
利用者が講師に オンラインで「手前みそお披露目会」開催 パルシステム東京2025年9月18日