JAの活動:今さら聞けない営農情報
有機質資材を活用した施肥(27)【今さら聞けない営農情報】第208回2023年7月15日
みどりの食料システム法が施行され、国内の肥料資源(特に有機質資材)を活用した施肥の重要度が増しています。そこで本稿では、堆肥、汚泥肥料、食品残渣、有機質肥料、緑肥作物といった有機質資材を有効活用するために必要な知識として「有機質資材が持つ作物の健全な生育に役立つ効能」についてご紹介し、現在、有機質資材利用にあたって理解しておきたい基本的事項をご紹介しています。
今回は、前回に引き続き堆肥の原料についてご紹介します。堆肥の原料には、前回紹介した窒素質資材(C/N比が30以下(窒素含有率1%以上))の他に、繊維質資材(C/N比が30~120で(窒素含有率0.5~1%))、木質資材(C/N比が120以上(窒素含有率0.5%以下))があります。
まず繊維質資材ですが、これは稲わらや麦稈など収穫後残渣が多く、繊維を多く含むものです。その分解には窒素分が必要とされ、窒素質資材を添加すると分解の主役である微生物の活動が活発になり分解が促進されます。多くの堆肥が、稲わらなどの繊維質資材に家畜ふんなどを添加してつくられているのはこのためです。繊維質資材には、大豆稈(C/N比47,全窒素1.03%)、ピーナツから(C/N比50,全窒素0.95%)、イチョウ枝(C/N比69,全窒素0.75%)、桑残枝(C/N比70,全窒素0.63%)、籾がら(C/N比74,全窒素0.54%)、稲わら(C/N比78,全窒素0.49%)、麦稈(C/N比78,全窒素0.38%)などがあります。
次に木質資材です。これは、樹木の樹皮(一般的にバークと呼ばれる)をはじめとした木質の資材であり、分解がとても遅く、形質も粗鋼という特質があり、いわゆる堆肥的な使い方には向きません。主に、土壌の物理性の改善や家畜ふんを堆肥化する場合の水分調整材として使用されます。木質資材には、カラマツ樹皮(C/N比120,全窒素0.4%)、ウエスタンヘムロック樹皮(C/N比210,全窒素0.26%)、ダグラスファー樹皮(C/N比491,全窒素0.11%)、スギ枝(C/N比156,全窒素0.34%)、ラワンおがくず(C/N比440,全窒素0.11%)、スギおがくず(C/N比640,全窒素0.08%)、ダグラスファーおがくず(C/N比730,全窒素0.07%)、ウエスタンヘムロックおがくず(C/N比1240,全窒素0.04%)などがあります。
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