JAの活動:今さら聞けない営農情報
土壌診断の基礎知識(22)【今さら聞けない営農情報】第252回2024年6月1日
みどりの食料システム法の施行によって国内資源を活用した持続型農業への転換が求められ、国内資源の有効活用に期待が高まっています。作物が元気に育つためには、光、温度、水、空気に加え、生育に必要な栄養素を土壌から吸収しますが、作物が健全に生育するには土壌の健康状態を正確に把握することが必要で、そのために土壌診断があります。現在、本稿では土壌診断を実施して土壌の状態を知り、正しい処方箋をつくるために必要な土壌診断の基礎知識を紹介しています。
現在、土壌診断項目別に改良方法の基礎知識をご紹介しており、今回は、鉄含量の改良方法です。
鉄は、作物の生育に不可欠な要素であり、特に水田では硫化水素による根腐れ、いわゆる「秋落ち」を防ぐためにも必須な要素になります。
その水田では、通常は鉄が多く含まれており問題ないのですが、老朽化が進んだ水田では鉄分が溶脱してしまっており、鉄分不足による害が発生することがあります。
水稲の生育自体は鉄欠乏によって影響を受けることは少ないのですが、鉄分は還元土壌などで発生する有害な硫化水素と結合して無害な硫化鉄にすることによって稲の根を守り大切な役割をもっており、土壌中の鉄分(遊離酸化鉄)が欠乏すると硫化水素を無毒化する働きが薄まって、結果として「秋落ち」現象が発生してしまうことがあります。このため、水田では適正な鉄分を保つように管理する必要があります。
水田の土壌に遊離酸化鉄が少ない場合は、転炉さいなどの含鉄資材を施用し、鉄分を補います。
また、作土の下層に鉄分が移動していることもありますので、天地返しによって上層の土と混合することによって改善することもできます。ただし、それでも不足する場合がありますので、その場合は含鉄資材を補うようにします。いずれにしても、根の状態が悪かったような水田では、土壌の層別に遊離酸化鉄を測定し、その結果に基づいて鉄分の改良を施すようにします。
一方畑地では、土壌自体に鉄分が不足していることは少なく、鉄欠乏が発生する時は、土壌pHが高くアルカリ性土壌になっているために鉄が土壌中に溶けにくくなっている場合がほとんどです。この場合の改良はpHを下げる(弱酸性化する)など鉄の吸収を妨げている要因を取り除いてやることが重要で、pHを改良しないままに含鉄資材をいくら施用しても鉄欠乏は改善できないのです。
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