JAの活動:今さら聞けない営農情報
土壌診断の基礎知識(23)【今さら聞けない営農情報】第253回2024年6月8日
みどりの食料システム法の施行によって国内資源を活用した持続型農業への転換が求められ、国内資源の有効活用に期待が高まっています。作物が元気に育つためには、光、温度、水、空気に加え、生育に必要な栄養素を土壌から吸収しますが、作物が健全に生育するには土壌の健康状態を正確に把握することが必要で、そのために土壌診断があります。現在、本稿では土壌診断を実施して土壌の状態を知り、正しい処方箋をつくるために必要な土壌診断の基礎知識を紹介しています。
前回までに土壌診断項目別に改良方法の基礎知識をひと通りご紹介しましたので、今回より施肥量の決め方の基礎知識をご紹介していきます。
まずは、施肥量の基本的な考え方です。当たり前のことですが、土壌中には幾らかの養分があり、植物は根から必要な養分や水分を吸収して生育します。裸地に雑草が蔓延るのは、裸地に含まれる養分を吸収して生育しているのに他なりません。ただ、圃場で作物を生育させて収穫を得ようとすると、多くの場合、もともとあった圃場に備わっていた養分量は、雑草の生育には十分であっても、作物の生育と収穫量を得るためには全く足りていません。このため、このような圃場では肥料を施用して不足する養分を補ってあげる必要があります。この時、施用する肥料の量は、作物が収穫されるまでに必要とする養分量を基準にして、それから肥料の施用前にもともとあった養分量を差し引き、土壌への施用により失われる量を足して決定します。施用によって失われる量とは、土壌に施用された肥料分が水とともに溶脱したり、土壌に吸着したり、作物に吸収されない形に変化したりする量のことをいいます。このため、一般的には、作物が収穫までに吸収する養分量よりも多めに施用するのが一般的です。この施用量の決め手となる「もともとの養分量」と「施用によって失われる養分量」は、地域や土壌の質によって大きく異なるため、各都道府県やJAでは作物や作型に合致した標準施肥量を独自に設定しています。この標準施肥量を各地域の普及センターや都道府県指導機関の作成資料やJAの栽培暦などによって事前に確認して下さい。その上で事前に土壌診断を行って、これから作付けする圃場にどれだけの養分があるのかを把握しておきます。
これらの事前準備が整ったら、いよいよ施用量を決定する手順に移ります。(つづく)
◇ ◇
本コラムに関連して、ご質問や取り上げてほしいテーマなどがございましたら、コラム・シリーズ名を添えてお問い合わせフォーム(https://www.jacom.or.jp/contact/)よりご連絡ください。
重要な記事
最新の記事
-
"強い農協"仲間と共に 元JA熊本経済連会長・上村幸男氏(1)【プレミアムトーク・人生一路】2025年6月19日
-
"強い農協"仲間と共に 元JA熊本経済連会長・上村幸男氏(2)【プレミアムトーク・人生一路】2025年6月19日
-
小さくなって人気が出たヒマワリ【花づくりの現場から 宇田明】第62回2025年6月19日
-
媒体取扱手数料を新設 農林中金2025年6月19日
-
国連が制定「サステナブルガストロノミーの日」記念祭を開催 AgVenture Lab2025年6月19日
-
【JA人事】JAあまるめ(山形県)佐藤一彦組合長を再任(6月8日)2025年6月19日
-
女の伝えたイモ・ホドイモ【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第345回2025年6月19日
-
2年連続で減収 信頼回復に力 日本穀物検定協会2025年6月19日
-
配合飼料供給価格 トン当たり約2200円値下げ 令和7年7~9月期 JA全農2025年6月19日
-
ダイナミックフェア出展するやまびこジャパン 36Vの動力噴霧機やハンディーソー、ラジコン草刈機を紹介 JA全農いばらき2025年6月19日
-
JAぎふ稲羽支店がオープン JA全農岐阜2025年6月19日
-
いちご新規就農者研修生募集 JA全農岐阜2025年6月19日
-
営農支援フェア2025に2000人超来場 最新農機を展示・実演、セルフメンテナンス講習も実施 JAグループ宮城2025年6月19日
-
都市と農をつなぐ学びの場 大学生が企画「五感で学ぶ親子食育ツアー」開催 全国農協観光協会2025年6月19日
-
肥料価格高騰緊急支援で上限10万円の給付金 県内各所で説明会 千葉県2025年6月19日
-
GREEN×EXPO 2027の "応援の輪"広がる 横浜のイベントや赤レンガ倉庫で「Blooming RING」配布 2027年国際園芸博覧会協会2025年6月19日
-
非常食に新しい選択肢「お米でできた麺で食べる 米めん」シリーズ登場 ケンミン食品2025年6月19日
-
全国の『地牛乳』や国産牛肉を直売「第8回らくのうマルシェ」開催 全酪連2025年6月19日
-
坂口農園 「ありがとう」の文字入りメロン ふるさと納税返礼品に登場 石川県小松市2025年6月19日
-
プロ野球チーム「佐賀アジアドリームズ」ホームタウンの耕作放棄地で米づくり開始2025年6月19日