JAの活動:今さら聞けない営農情報
土壌診断の基礎知識(31)【今さら聞けない営農情報】第261回2024年8月10日
みどりの食料システム法の施行によって国内資源を活用した持続型農業への転換が求められ、国内資源の有効活用に期待が高まっています。作物が元気に育つためには、光、温度、水、空気に加え、生育に必要な栄養素を土壌から吸収しますが、作物が健全に生育するには土壌の健康状態を正確に把握することが必要で、そのために土壌診断があります。現在、本稿では土壌診断を実施して土壌の状態を知り、正しい処方箋をつくるために必要な土壌診断の基礎知識を紹介しています。
前回までに肥料の施用量を決める要因と2つの手順を紹介しました。それを簡単に復習すると、施肥量の決定には、①土壌診断を行わずに土性や作付作物によって推定値をもとに施肥量を決める方法と②土壌診断を行ってその結果をもとに施肥量を決める方法の2つがありました。
前者は土壌の正確な状態はわからないものの過去のデータの積み重ねで作成されたデータをもとに基準値(推定値)をもとにして施肥量を計算する方法であり、後者は土壌診断の実測値をもとに施肥量を決める方法であるので、土壌の状態に合わせた理想の施肥が実施できます。
例年、期待どおりの収穫が得られているのであれば、土壌診断を行うまでもなく例年どおりの施用量で上手く栽培できるでしょう。これに対し、作物の生育に異常がある場合や収量が減ってきているなどの場合には、一度土壌診断をして生育異常や収量減の原因を突き止めて施肥設計を行う必要があります。
特に近年の肥料高騰の折には、土壌診断を行って肥料要素の過不足を正確に把握して、目標収量を得るのに不足している分だけ施用する適正施肥が必要になります。
とはいえ、筆数が多い場合などでは、所有する全ての圃場の土壌診断を実施することは経費的にも時間的にも難しいことも事実ですので、生育障害や収量減の度合いによって、圃場ごとに、①精密な土壌診断を行うか、②簡易検査キットを使用して主要項目だけ計測するか、③土壌診断せずに従来どおりの施肥を行うかを決定するなど、作物の状態に合わせてメリハリをつけて施肥用の決定手順を決めるようにすると良いでしょう。
一方、近年では、肥料価格の高騰やみどり戦略のKPI達成に向けて、化学肥料を減らして堆肥など地場の肥料資源を使用した施肥へ変更するケースが多くなっています。その場合にも、堆肥等の地場の肥料資源に含まれる肥料成分量に合わせて施用量を決定する必要がありますので、あらかじめ土壌診断を行って土壌の状態を正確に把握しておくことが重要になります。
重要な記事
最新の記事
-
【JA全農の若い力】家畜衛生研究所(1)養豚農家に寄り添い疾病を防ぐ クリニック北日本分室 菅沼彰大さん2025年9月16日
-
国のプロパガンダで新米のスポット取引価格が反落?【熊野孝文・米マーケット情報】2025年9月16日
-
准組合員問題にどう向き合うか 11月15日に農協研究会開催 参加者を募集2025年9月16日
-
ファミリーマートと共同開発「メイトー×ニッポンエール 大分産和梨」新発売 JA全農2025年9月16日
-
秋元真夏の「ゆるふわたいむ」北海道訓子府町で じゃがいもの新品種「ゆめいころ」を収穫 JAタウン2025年9月16日
-
山形県産「シャインマスカット」品評会出品商品を数量限定で予約販売 JAタウン2025年9月16日
-
世界初 土壌団粒単位の微生物シングルセルゲノム解析に成功 農研機構2025年9月16日
-
「令和7年8月6日からの低気圧と前線による大雨に伴う災害」農業経営収入保険の支払い期限を延長(適用地域追加)NOSAI全国連2025年9月16日
-
農薬出荷数量は1.3%増、農薬出荷金額は3.8%増 2025年農薬年度7月末出荷実績 クロップライフジャパン2025年9月16日
-
林業の人手不足と腰痛課題解消へ 香川西部森林組合がアシストスーツを導入 イノフィス2025年9月16日
-
農業支援でネイチャーポジティブ サステナブルの成長領域を学ぶウェビナー開催2025年9月16日
-
生活協同組合ユーコープの宅配で無印良品の商品を供給開始 良品計画2025年9月16日
-
九州・沖縄の酪農の魅力を体感「らくのうマルシェ2025」博多で開催2025年9月16日
-
「アフガニスタン地震緊急支援募金」全店舗と宅配サービスで実施 コープデリ2025年9月16日
-
小学生がトラクタ遠隔操縦を体験 北大と共同でスマート農業体験イベント開催へ クボタ2025年9月16日
-
不在時のオートロックも玄関前まで配達「スマート置き配」開始 パルシステム千葉2025年9月16日
-
全国のうまいもの大集合「日本全国ふるさとマルシェ」東京国際フォーラムで開催2025年9月16日
-
産地とスーパーをつなぐプラットフォーム「みらいマルシェ」10月から米の取引開始2025年9月16日
-
3つの機能性「野菜一日これ一杯トリプルケア」大容量で新発売 カゴメ2025年9月16日
-
「国民一人ひとりの権利」九州大学教授招き学習会実施 パルシステム2025年9月16日