JAの活動:今さら聞けない営農情報
農薬の正しい使い方(1)【今さら聞けない営農情報】第267回2024年9月28日
今年も記録的な猛暑に襲われ、病害虫雑草の発生消長の変化、一部害虫の大発生があるなど、今年も気候変動に悩まされることになりました。そういった中、農業生産の場面では農薬が使用され食料の安定生産に貢献した半面、一部では使い方を誤って十分な効果が得られなかったり、薬害を発生させてしまったりといったこともあったようです。
これは、「なかなかそんなこと、今さら聞けないよねぇ」というものを題材にしている本稿としては捨て置けず、一度農薬の正しい使い方というのを整理してみてはどうだろうかと考えました。そこで、水稲や果樹では病害虫雑草防除も一段落した時期ではありますが、露地野菜では大型チョウ目害虫防除に労力がかかる時期でもありますので、農薬を正しく、安全に、しかも高い効果を得るための正しい使い方の基礎知識をご紹介していこうと思います。
そもそも農薬の正しい使い方とは何でしょうか?
農薬とは、農薬メーカーが病害虫雑草に効果のある成分が無いかを膨大な数の化合物などを探索し、現在では10万分の1ぐらいの確立でようやく探し当てた有効成分を、厳しい毒性試験や環境影響試験、薬効・薬害試験など幾重ものハードルにかけ、すべてクリアしたものを国が農薬として使ってもいいよと登録認可するものです。つまり、人畜に無害であり、環境影響も少なく、病害虫雑草にだけ効果を発揮する有効成分だけが農薬登録を受けることができます。農薬に対するハードルが上がった現代においては、大げさにいうと奇跡に近い確率で農薬という製品が世に出ています。
その農薬の主体である有効成分はそれぞれが個性を持っており、「こういう使い方をしたら効果を発揮するけど、違う使い方をしたら効果が無い」とか、「酷暑が続く時に使うと、作物が弱っていて薬害が出る」といった具合に、農薬を上手く使うためには有効成分の個性をよく理解してあげないとなりません。
また、作物を口にした人間には影響は全くないけど、病害虫にだけは影響があるという絶妙な有効成分量が作物上に残って作物をガードできるような用法・用量があり、それをきちんと守れるような使い方が定められています。
つまり、農薬の正しい使い方とは、定められた用法・用量を守り、一番効果を発揮できる適期に使用し、有効成分の性格にあった施用を行うことになります。それを確実に実行することで、人畜に安全で、病害虫雑草はしっかりと防げて、安全な農作物を供給することができるようになります。
次回より農薬の正しい使い方を理解するための基礎知識をご紹介していこうと思います。
重要な記事
最新の記事
-
【注意報】水稲の斑点米カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 山口県2025年7月8日
-
なぜ米がないのか? なぜ誰も怒らないのか? 令和の米騒動を考える2025年7月8日
-
2025参院選 各党に聞く「米・農政・JA」 【立憲民主党】「食農支払」で農地と農業者を守る 野田佳彦代表2025年7月8日
-
2025参院選 各党に聞く「米・農政・JA」 【自由民主党】別枠予算で農業を成長産業に 宮下一郎総合農林政策調査会長2025年7月8日
-
2025参院選 各党に聞く「米・農政・JA」 【日本共産党】価格保障・所得補償で家族農業守る 田村貴昭衆議院議員2025年7月8日
-
2025参院選 各党に聞く「米・農政・JA」 【れいわ新選組】農業予算倍増で所得補償・備蓄増を やはた愛議員2025年7月8日
-
【第46回農協人文化賞】集落と農地 地域の要 営農事業部門・広島市農協組合長、広島県農協中央会会長 吉川清二氏2025年7月8日
-
【第46回農協人文化賞】若者を育てる農協に 営農事業部門・北海道農協中央会前会長、常呂町農協前会長 小野寺俊幸氏2025年7月8日
-
小泉農相 随契米放出に「政策効果」 市場落ち着けば備蓄水準戻す2025年7月8日
-
トランプ政権の移民摘発 収穫できず腐る野菜「農家に大きな打撃」2025年7月8日
-
【第46回農協人文化賞】常に農協、農家のため 営農事業部門・全農鳥取県本部上席主管 尾崎博章氏2025年7月8日
-
150年間受渡し不履行がなかった堂島米市場【熊野孝文・米マーケット情報】2025年7月8日
-
2025参院選・各党の農政公約まとめ2025年7月8日
-
米価 6週連続低下 3600円台に2025年7月8日
-
【JA人事】JA秋田しんせい(秋田県)佐藤茂良組合長を再任(6月27日)2025年7月8日
-
【JA人事】JA北九(福岡県) 新組合長に織田孝文氏(6月27日)2025年7月8日
-
【JA人事】JAかながわ西湘(神奈川県)天野信一組合長を再任(6月26日)2025年7月8日
-
【JA人事】JAえひめ中央(愛媛県)新理事長に武市佳久氏(6月24日)2025年7月8日
-
宇都宮市に刈払機を寄贈 みずほの自然の森公園へ感謝と地域貢献の一環 JA全農とちぎ2025年7月8日
-
岡山の農業を楽しく学ぶ 夏休み特別企画「食の学校2025」 JA全農おかやま2025年7月8日