JAの活動:今さら聞けない営農情報
農薬の正しい使い方(29)【今さら聞けない営農情報】第295回2025年4月26日
「いまさら」では農薬を正しく、安全に、しかも高い効果を得るため、農薬の正しい使い方の基礎知識をご紹介しようと考えています。農薬の防除効果は、有効成分をいずれかの方法で作物に付着または吸着させることができてはじめて発揮されますので、高い効果を発揮させるには、有効成分をいかに効率よく作物に付着させるかが鍵となります。そこで、水和剤や乳剤、液剤、フロアブル剤など水に希釈して散布する剤型を題材に、前回までにそれらを効率的に作物へ付着させる方法について整理し、実際に散布する際に気を付けなければならない条件について紹介してきました。
今回からは、実際の散布法に関して紹介します。
まずは、水に希釈して散布(水希釈散布)する方法の利点と利用上の注意事項を紹介します。
1.利点
この方法は、文字通り、農薬の製品袋・ボトルに入っている農薬の原液や原粉末を、数百倍から数千倍など所定の濃度になるように水に希釈して散布する方法です。このため、10aあたりに使用する農薬の原液や粉末の量が少なくすることが可能で、製剤をそのまま散布する方法よりも安価に防除ができます。また、ミスト状の薬液を噴霧するので、病害虫が潜んでいる葉裏や株元などに満遍なく付着させることができるので、安定した防除効果を得ることができます。また、散布機器も豊富にそろっており、近年はキャビン付の乗用型など作業者にとって負担の少ない散布法が選べるようになっています。
2.利用上の注意事項
散布液をつくるためには、畑作であれば300ℓ/10a程度、果樹であれば600~1000ℓ/10a程度の大量の清水が必要です。清水を得るためには、地下水や上水道を利用することになりますが、上水道を使用する場合は水道代のコストがかかります。また、水源のある所にタンクや散布機械を運ばなければならいため、圃場近くに水源を設置するか、何度も水源と圃場を行ったり来たりする不便さもあります。それをさけるため、農業用水を希釈液に使用する例がありますが、これはできれば避けたい方法です。
なぜなら次のようなリスクがあるからです。まず1つ目が、農業用水にはゴミなどが混じっていることが多いため、完全に除去しないとノズルの穴が目詰まりを起こしてしまうリスクが高いことです。2つ目が、農業用水にはケイ酸など様々な鉱物資や有機物等が溶け込んでいるため、農薬の成分によっては化学反応を起こして有効成分が固まって沈殿してしまって、有効成分が本来の機能を発揮できずに効果が低下してしまうことがあることです。3つ目が、用水には病原菌などが混じっていることもあるので、用水を使うことにより広範囲に病原菌をばらまいてしまうことにもなりかねないことです。もちろん、これらのリスクの無い農業用水を利用できるのであれば希釈水に使用しても問題ありませんが、水質には注意して下さい。
その他、噴霧時の噴霧液が細かくミスト状態になるため、どうしてもドリフトが発生しやすいため、近隣圃場での作付け状況を確認したり、防風ネットを設置するなどしてドリフト対策をしっかりと行う必要があります。
重要な記事
最新の記事
-
商系に撤退の動き、集荷競争に変調 米産地JA担当者に聞く(中)【米価高騰 今こそ果たす農協の役割】2025年10月30日 -
再生産可能なコメ政策を 米産地JA担当者の声(下)【米価高騰 今こそ果たす農協の役割】2025年10月30日 -
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】新政権の農政~「朝令暮改」2025年10月30日 -
よく食べた栗の実【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第362回2025年10月30日 -
鳥インフルエンザウイルスの地理的拡散と進化 2024年シーズンの遺伝子を解析 農研機構2025年10月30日 -
第36回岐阜県農業フェスティバルに出店 ステージやイベントで県産農畜産物をPR JA全農岐阜2025年10月30日 -
全国の産地応援 伊藤園と共同開発「ニッポンエール 大分県産完熟かぼすSODA」発売 JA全農2025年10月30日 -
伊藤園と共同開発「ニッポンエール 長野県産りんご三兄弟」 発売 JA全農2025年10月30日 -
【肉とビールと箸休め ドイツ食農紀行】ドイツで食べ物は高いか?安いか?2025年10月30日 -
最新の無人・自動運転トラクターを実演 クボタアグリロボ実演会 in加美を開催 JAグループ宮城2025年10月30日 -
東北6県の魅力発信「全農東北プロジェクト」とコラボ企画実施 JAタウン2025年10月30日 -
「JAタウン公式アプリ」リリースで開発・導入を支援 メグリ2025年10月30日 -
GREEN×EXPO 2027公式ライセンス商品を相次ぎ発売 横浜と大阪で期間限定店開設 2027年国際園芸博覧会協会2025年10月30日 -
適用拡大情報 殺菌剤「ダイパワー水和剤」 日本曹達2025年10月30日 -
ローズポークを食べてプレゼントを当てよう 11月にキャンペーンを実施 茨城県銘柄豚振興会2025年10月30日 -
鳥インフル 英国からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2025年10月30日 -
国産の針葉樹100%使用 高耐久の木製杭「エコクレオ防腐杭」がウッドデザイン賞 コメリ2025年10月30日 -
近いがうまい埼玉産「埼玉県地産地消月間」11月に県産農産物を集中PR2025年10月30日 -
「長崎みかん」初売りイベント 大田市場で開催 JA全農ながさき2025年10月30日 -
「済生会川口乳児院」建て替え支援として100万円を寄付 コープみらい2025年10月30日


































