JAの活動:プレミアムトーク・人生一路
地域共生は農協の本分 前北海道農協中央会会長・小野寺俊幸氏(1)【プレミアムトーク・人生一路】2025年8月1日
自然の偉大さ、厳しさを肌で知るからこそ、北海道常呂町の「TOKORO型クリーン農業」など環境保全に取り組んできた北海道農協中央会の前会長・小野寺俊幸氏。次代につなぐ農業と地域づくりのために力を尽くしてきた。"比類のない突破力"の神髄を聞いた。聞き手は文芸アナリストの大金義昭氏。
前北海道農協中央会会長 小野寺俊幸氏
■常呂町の土地柄は?
オホーツク海を望む北海道北見市常呂町の名前は、もともとアイヌ語のトーコロ(沼のある所)からきています。常呂川があって宗谷暖流が南下する海があり、サロマ湖がある。冬は流氷が接岸します。常呂川の氾濫で表土が1~2メートルもある肥よくな大地ができました。川の氾濫がひどい年には収穫ゼロになり、両親ともに出稼ぎに出ました。そんな厳しさを「何とかしなければ!」と就農しました。馬耕(馬を使う農作業)を体験した最後の世代ですね。
宿願の排水対策は、基盤整備を進めて土地生産性の高い農業を実現しました。環境保全を図る「TOKORO型クリーン農業」にも挑戦してきました。トピックスのひとつには、2016年に在来種の「ところピンクにんにく」をブランド化し、GI登録しています。
■岩手県東磐井郡猿沢村(現在の一関市)から入植し、本家が4代目で分家の3代目です。
入植およそ100年になります。特産は麦とバレイショ、てんさい(ビート)の3大品目とタマネギです。1982年に農協青年部で欧州研修に出かけ、オランダ農業を見てタマネギを導入しました。タマネギの相場で苦労し、高原キャベツの産地である群馬県嬬恋村を視察しました。嬬恋村もそうですが、JAところも合併せずに組合員はずっと240戸余りです。後継者にも恵まれ、最近も、去年までは「自分の代で終わりだ!」と言っていた農家の娘さんがパートナーを連れて帰郷し、就農しました。
平均耕作面積は30数ヘクタールで、わが家はもっと広かったんですが、今はカルビーポテトと契約したバレイショ栽培に特化しています。
昔は「サラリーマン並みの所得が欲しい」と言っていましたが、今はそうした人たちの倍くらいの稼ぎがある。ほとんどの農場の売り上げが1億円以上で、四半世紀前に訪ねた嬬恋村と肩を並べるところまで来ました。
首相官邸の海部俊樹首相とスポーツ懇談会で(平成2〈1990〉年11月30日)
■家族農業を守る農協の結束が固い?
畑作の家族経営が中心で、2000年に組合長になってすぐ、北見8農協の合併に加わりたかったのですが、JAきたみらいの初代組合長からは「小野寺、お前には軒先を貸して母屋を乗っ取られそうだから、常呂町で頑張れよ!」と言われたり(笑)、オホーツク農業協同組合連合会の会長からは「系統結集率をとにかく高めろ!」と励まされたりした思い出があります(笑)。当時は個性的で強烈なリーダーがいました!
■北海道立農業講習所で学んで就農し、1972年には国際農村青少年交換留学制度で米国に行く。
学校の勉強が好きじゃなかったから、出来るだけ早く、物を育てる農業経営に専念したかった。米国に行ってみたい思いがあった時、たまたま4Hクラブの活動をしていて、米国農務省から国際交流プログラムの声が掛かった。英語はできなかったけど、「米国にも牛がいるから大丈夫だ!」(笑)といったら、審査官が面白がって試験に通り、東海岸、ボストンの北で1年間、経営者の家に住み込み、農業経営の計数管理を学びました。今でこそ青色申告が当たり前ですが、当時はどんぶり勘定だったからね。
■農業経営の「道」を究めていくような来歴です。
北海道や日本を代表するような農業経営者たちをつくり出したいという思いが強く、「地域を引っ張っていくには、農協運動に携わらなければ」というのが私の原点で「共存共栄」を座右の銘にしています。
■農協には「地域に油を注ぐ砦(とりで)」と称して、給油スタンドを漁協と共同運営してきた歴史がある。
「半農半漁」は少ないけれど、多くの漁民も狭い畑を耕しています。ホタテが常呂漁協の名産で、春先には稚貝の放流を農家の若い人たちが手伝います。一方、若い漁師がタマネギの植えつけを手伝ってくれる。さらには、ホタテの貝殻を石灰にして土地に還元する。ミネラル分を含んだ有機石灰なので、タマネギやビートの収量が上がることが次第に分かってきた。そこで農協と漁協と行政の3者で土壌改良材を製造・出荷し、"海の資源を農地に生かす"産業振興公社を立ち上げ、農協から社長を出してきました。
農業理解に力を注ぐ
■1991年には39歳で農協理事に就任し、翌年には地域で「風のがっこう」も始め、代表を務める。
都会の人たちを農家に泊め、農作業を一緒にしながら農業や地域の理解を深めてもらう。廃校になった小学校の校舎を使い、「農業教育」で知られた小松光一さんを招いて始めました。
■パートナーのリエさんとの出会いは?
若い頃から海外も出歩き、最後に巡り合ったのが地元の彼女でした。15年前に北見市産ブドウを植栽し、妻の名前(R・Onodera)を冠したワインづくりにも取り組んでいます。(笑)
■愛妻ワインですか!(笑)
農協理事を3期務めている間に、自給肥料供給センター「福山夢里工房」の立ち上げにも関わる。
し尿処理事業を地域の課題として受け入れ、安全・無臭の液体肥料に変えて農家に供給する施設を、行政からの要請で建設しました。
■同じ頃、「北海道土を考える会」の会長も務めた。
土は農業の原点です。土や風土や自然の生態系に生かされることで、人間も謙虚に生きられる。「土を考える会」は道内でも大きな農業経営者の集まりで、どちらかと言えば経済合理的な考え方が強く、私はメンバーと率直な議論を交わしながら「共存共栄」の道を探った。地域の生活の中に価値を見出し、価値を引き出すために地域の歴史や風土を学ぶ。「一握の土塊(つちくれ)から育む"農の文化"」を「大河の流れ」にしたいというのが夢でした。
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