JAの活動:プレミアムトーク・人生一路
地域共生は農協の本分 前北海道農協中央会会長・小野寺俊幸氏(2)【プレミアムトーク・人生一路】2025年8月1日
自然の偉大さ、厳しさを肌で知るからこそ、北海道常呂町の「TOKORO型クリーン農業」など環境保全に取り組んできた北海道農協中央会の前会長・小野寺俊幸氏。次代につなぐ農業と地域づくりのために力を尽くしてきた。"比類のない突破力"の神髄を聞いた。聞き手は文芸アナリストの大金義昭氏。
4Hクラブ会長時代(昭和59〈1984〉年7月)
■自ら動き、自ら働きかける―が小野寺さんのモットーです!
優れた一人の経営者が強くなるだけではダメで、地域のみんながより高い位置を目ざして共に成長する。農業経営者こそが農協運動の先頭に立つべきだというのが私の持論で、組合長を務めながら農業を続けました。朝は3時からほ場に出て8時には出勤し、帰ってきたら午後7時からまた畑に出る。背広姿のままトラクターに乗ったこともあります。妻や家族には随分苦労をかけました!(笑)
■農業経営と農協運営を両立させる「二足の草鞋(わらじ)」ですね! 背中を押し続けた組合員さんもご立派!
農協運動の中での役割を期待され、それに応えなければと思いました。地域の人たちのありがたさですね。
■すっかり有名になったカーリングの誘致も手がけた!
誰も知らなかった頃に、農閑期の冬にカナダに通い、カーリングの「指導者」になりました。農業や漁業以外にも、常呂町に新しい"自慢のタネ"を創り出したかった。将来、カーリングがオリンピックの種目になった時に地元から選手を出すのが夢でした。「またあいつは大きなことばかり言って!」と笑われましたが、私の次女も含め、地域の子どもたちが世界に羽ばたく夢がかなった!
■日本選手権に優勝し、オリンピックや世界選手権に何度となく出場した歩(あゆみ)さんたちですね。
それともう一つ、後継者のパートナーになる女性たちの支援を目的に、女性専用の研修施設「うえる」を作った。「植える」と「ウエルカム」から名づけました。農協の総会はもめましたが、各地から女性が農家に嫁いでくれて元手はすぐに取り戻しました。着の身着のままで常呂町に来て農業研修ができるように配慮した施設です。
■中央会の副会長には?
「ストレートに物を言う人間が必要だ!」という声が上がり、首に鈴をつけられた。副会長時代は104あった農協を全部回り、「連合会から役員が来るのは初めてだ!」と喜んでくれた農協もあって、私も感激しました。どこへ行っても青年部時代の仲間がいた。
■副会長の1期後に会長に就任します。
「農業も打って出よう!」と言ったら、職員がつけてくれたキャッチフレーズが「アグリアクション」でした! それと、組合員との「対話活動」をどう活性化するか考えました。
■第46回農協人文化賞を受賞され、「畔(あぜ)の声や牛舎の声を大切にする!」と述べています。
それが一番大事です。昔は農家を訪ねると「いいところに来た。まあ一杯のめ!」と言われたものですが、今は「上がれ!」とも言われない。「何か用事ありました?」とか!(笑)
■難しい時代です。
金をもうけるだけだったら、農業でなくてもいい。北海道で農業者として生きていくためには農業で稼ぐことも大事だけれど、「いのち」と向き合い、「いのち」を育んでいくために地域の暮らしをどうするか。地域が明るくならなければ、住みよい地域社会はつくれません。そんな思いを家族や地域の仲間たちとみんなで共有していけたらと思っています。
■令和の米騒動を含め、昨今の農業情勢については?
北海道には「ゆめぴりか」や「ななつぼし」といった食味の良い銘柄米があります。先人が長年にわたり苦労を重ねて開発してきた品質に見合った米価にならないと生産者は困る。JA全中には「畔の声や牛舎の声」を説得力のあるメッセージとして内外に広く発信するビッグチャンスを生かし、頑張ってほしいですね。
私は報徳社の活動もしてきましたが、今は農業・農村の復興に"第2の二宮尊徳"が必要だと思っています。夢を見られないなら、みんなの力で夢を見られるようにしたい!
【略歴】
おのでら・としゆき 昭和26(1951)年12月4日生まれ。北海道北見市常呂町福山在住。平成10(1998)年北海道指導農業士、畑作青果、バレイショ28ヘクタール。平成3(1991)年常呂町農業協同組合理事、平成12(2000)年同代表理事組合長、平成20(2008)年北海道信用農業協同組合連合会経営管理委員、北海道厚生農業協同組合連合会理事、平成26(2014)年ホクレン農業協同組合連合会監事、平成29(2017)年北海道農業協同組合中央会副会長理事、令和2(2020)年同代表理事会長、令和6(2024)年6月同顧問。
【余談閑話】
小野寺さんとは40数年来の友人だ。北見地区農協青年部代表として全道会議に出席するために来札すると、夕刻からは仲間たちとそろって「すすきの」に繰り出したものだ。12地区代表がそれぞれに一騎当千の個性的な強者ぞろいで、後年に多くが北海道農協5連や地域政界などで活躍している。道産子に固有のオープン・マインドとオープン・スタンスが皆たちどころに全開する間柄だ。
頭髪も体型も相応に変貌したが、人と人との平らな交わりを貫く小野寺さんの魅力は変わらない。「自ら動き、自ら働きかける」姿勢に垣根がない。フランクにストレートに交わし合う会話に屈託がない。だから国境を越えてものびのびふるまえるのだろう。小野寺さんは「踏み出す一歩のための小さな勇気」を唱えるが、比類ない小野寺さんの「突破力」はこれからもますますさえわたるはずだ。(大金)
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