【畜酪政策価格最終調整】補給金上げ実質12円台か 19日に自民決着2025年12月18日
2026年度畜産・酪農政策価格・関連対策をめぐり政府・自民党は最終調整に入った。19日に事実上の決着、週明け22日の畜産部会で正式決定する。焦点の加工原料乳補給金等単価は事実上引き上げ、キロ12円の大台に乗る公算だ。(農政ジャーナリスト・伊本克宜)
年明けの配合飼料大幅上げが畜酪経営を直撃しかねない。子実用トウモロコシなど濃厚飼料自給率は低迷したままだ
■関連対策で「手取り増」決着へ
週末決着へ最終調整に入った26年度畜酪対策は、25年度にとったALIC事業で関連対策を加え、算定ルールを踏まえた上で加工原料乳補給金等は実質引き上げ。脱脂粉乳過剰が深刻な生乳需給を踏まえ総交付対象数量は前年度踏襲の関連対策で補給金見合いの措置をとる方向だ。
25年度の決定内容は振り返ろう。乳価算定上は物流コストを反映したが、加えて関連対策をキロ8銭上積み、同11円90円台に載せた。補給金等交付数量も需給緩和を踏まえ325万トンに削減したうえで、18万トンを実質的に交付対象として、合計343万トンと据え置いた。対象数量の削減は酪農家の手取り減に直結するためだ。別途対策18万トンのうち、5万トンは補給金と同額、残り13万トンはバター、脱粉需給不均衡の跛行(はこう)性を理由に補給金半額助成とした。財政当局への説得のためとみられる。
◇2025年度加工原料乳補給金等
・補給金単価 9.09円
・集送乳調整金2.73円
(関連対策 0.08円)
・補給金等単価11.90円
・総交付対象数量325万トン
(関連対策 18万トン )
・実質総交付対象343万トン
(※補給金単価は生乳キロ当たり)
■前年踏襲で"政治判断"
今回もこうしたALIC事業を使った「+関連対策」手法を踏襲する。
現在、関連対策も含め同11円90銭の補給金等単価は上げ要素と下げ要素が相半ばする。直近3カ年と過去3カ年の変動に、直前の物価状況も考量して算定するが、明らかに上がっているのは物流コストで集送乳調整金単価アップとなる。集送乳調整金は、ホクレンなど指定生乳生産者団体に交付され、系統傘下の酪農家にとってメリットがある。ただ、同調整金だけでは全体としての上昇率がわずかのため、政府・自民の折衝は、関連対策で加算する政治判断し、同12円台の大台突破を"射程"に置くと見られる。
■「賃上げ」畜酪生産者にも
自民農林三役一任を取り付けた15日の同党畜酪委ではこれまでの主な意見を列挙した。今後の畜酪政策価格・関連対策の方向性を示すもので、「論点整理」にも近い。
同日の会議では、経済成長に向けた社会的な賃上げの流れを、畜酪生産者にも及ぼすべきだと、特に加工原料乳補給金引き上げにもつながる労務費算定のアップを求める意見も出た。
◇自民畜酪委の主な意見
・補給金等算定はより直近のコスト上昇反映を。関連対策も含め予算をしっかり確保すべき→関連対策も含め加工原料乳補給等引き上げが必要
・需要拡大へJミルクの下で業界一体の「出口対策」が重要→生乳需給対応の政府支援強化
・系統外の酪農家によって乳価交渉や需給調整に影響が出ているのではないか→改正畜安法の規律強化
・畜産クラスター事業、現場実態重視の畜酪ヘルパー支援を
・国産自給飼料の支援強化を→過度の輸入飼料依存を脱した経営体質構築
・物流コスト、労務費アップをしっかり反映を→酪農家の所得向上のメッセージ必要
・沖縄のサトウキビが南西諸島の離島を守っていると同様、酪農は北海道で「国防」の役割を果たしている→食料安全保障の要、北方防衛ラインとしての北海道酪農の位置づけ強化
■迫る"円安打撃"と新酪肉近初年度
今後の畜酪情勢で大きな懸念材料が迫っている。年明け2026年1~3月期の配合飼料供給価格の大幅な引き上げだ。円安に伴う輸入コストアップが畜酪経営を直撃しかねない。
急激な円安と穀物相場の上昇が主な要因。畜酪はコストの約半分が飼料代だ。特に粗飼料の自給率向上は青刈りトウモロコシの普及など徐々に進んできているものの、濃厚飼料自給率は13%に過ぎない。値上げはトン当たり約5000円と大幅になる見込み。
こうした懸念材料の中で、今年度は新酪肉近スタートの年。26年度畜酪論議は「超長期を見据え生産者のいかに希望と展望を持ってもらえるものにするのか」(簗和生自民畜酪委員長)を柱に、精力的な議論を重ねてきた。
政府・自民の最終調整の段階で、こうした将来に展望の持てるメッセージを念頭に、生産現場への配慮の要素が盛り込まれる方向だ。
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