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JAの活動:日本農業の未来を創る元気な生産者

【特集・日本農業の未来を創る元気な生産者】 第2回 現地レポート 熊本・松本農園2013年1月11日

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・生産基盤拡大で自社比率UP
・スイカからニンジンへ
・安全管理技術導入とITの活用
・グローバルGAP取得で世界へ

 これから現地レポートで紹介していく元気な農業者の1人目は熊本県の松本武さん。
 世界を視野に入れた取り組みを伝えていく。(この特集は全5回で掲載します)

世界に通用する日本の農業を

◆生産基盤拡大で自社比率UP

松本武さんとニンジン畑 父・博美さんの言葉にしたがい松本農園に戻った武さんが、最初に手掛けたことは「多くの生産者と契約をしていて、販売する農産物は必ずしも自分たちが生産したものではない」という現状を変え「自社比率を拡大する」ことだった。
 なぜか。契約農家が多いために生産された農産物の品質が必ずしも均一ではなかったので、民間企業のトップ営業マンとして活躍してきた武さんの感覚では、松本農園として責任をもって販売することは難しいと考えたからだ。
 いまはもっとも古くから契約農家として一緒にやってきた1軒を除いて契約をすべて打ち切り、50haまで自社の生産基盤を拡大し、包装から営業まで自社で行っている。規模拡大した農地の多くは借地だ。
 父親の博美氏は「楽しかったのは20ha規模までだった」といっているという。経営規模が50haになると、農地が分散し管理するための人やコストがかかる。だからといって規模を縮小すれば、その農地は耕作放棄地となり荒れ地になることは目に見えている。農業の産業基盤自体が崩壊しかねない現状では、農業生産の永続性を確保するためには努力をしていかなければいけないといまは考えているという。

(写真)
松本武さんとニンジン畑

◆スイカからニンジンへ

 松本農園が生産する農産物の主力はニンジンだが、昭和30年代はサツマイモ、ハクサイ、ミカン類がこの地域の主力だった。その後、昭和40年代に入るとトンネル栽培のスイカや露地物のニラが主力になる。スイカはいまではハウス栽培となり、この地域は県内でも鹿本地域に次ぐ生産量を誇っているという。武さんが子どものころには「うちの畑でもスイカをつくっていた記憶」があるという。
 その後、松本家では「昭和60年からニンジンへシフト」していく。JA上益城の理事も経験し地域のリーダー的存在である博美さんの影響もあってか、いまは「この地区のニンジンは右肩上がり」で伸びているという。実際に武さんの案内でほ場に向かうとスイカのハウスと同時に、青々とした葉が広がるニンジン畑が目に飛び込んでくる。また、ダイコンやキャベツ畑も目につく。

◆安全管理技術導入とITの活用

 拡大した自社の生産基盤を背景に武さんが取組んできたのが、「食の安全・安心」に応える生産の安全管理技術の導入とその情報を公開する仕組みの開発だ。
 具体的には、生産者向けの品質管理認証であり、食品安全、品質管理の明確化や管理の検証・監視などを包括する食の安全性を証明する認証規格であり、世界の食品産業分野に関連する多くの企業が取得している「SQF(Safe Quality Food)1000」を、日本の農産物分野では初めて2008年に取得。
 翌年の09年には、IT技術を活用し、消費者が購入した農産物のすべての生産履歴とともに、グーグルマップを活用し農産物が収穫された畑の位置を航空写真上にピンポイントで示し、畑のロケーションを見ることができるようにした情報公開システム「畑が見える」というトレーサビリティシステムを発表する。
 このシステムは「生産情報公表JAS規格」の認証取得はもちろん、昨年スペインで開催されたグローバルGAPサミット2012で、第1回グローバルGAPアワード賞を松本農園が受賞したときに、「農業におけるITシステムの積極的導入など、これまでの農業者にない独自の進化をとげた農業経営モデル」として国際的に高い評価を得ている。
 これまでのグローバルGAPはその性格上B to Bだったが、松本農園はこれをB to Cにまで広げたことが評価された。

◆グローバルGAP取得で世界へ

 話が後先になるが、松本農園は07年にグローバルGAPの認証を取得していたが、11年に最新版となった第4版オプション1・個別認証を昨年2月に日本で最初に取得したことが、今回の受賞の背景にはある。
 グローバルGAPについて武さんは、EUでは食品や農産物に限らず販売される製品については問題発生したとき「小売業者など販売者は重い責任が問われる」。小売業者は販売する国だけではなく、EU圏内はもちろん海外から多くの商品を調達してきているが、EU圏内だけでも10以上の言語があるように、農産物や食品の安全基準も国ごとに異なっている。そうしたなかでリスクの少ない商品を調達し販売するためには、すべての商品に共通する「標準化された基準=共通するルール」づくりが必要で、それがグローバルGAPだ。
松本農園 松本農園は06年から香港の高級スーパーにニンジンやネギを輸出し販売している。11年3月の東日本大震災によって起きた東電福島第一原発事故によって、海外では日本製品を忌避する動きが起き、日本国内では通用する例えば「○○県GAP」認証を取得していても香港では通用しなかったが、グローバルGAP認証を取得している松本農園の農産物はいっさい忌避されることなく販売され続けている。
 「グローバルGAPは信頼の証であり、国際的なルール」だということをもっと理解すべきだと武さんは強調する。
 そうでないと日本の農業は「海外事情を知らないままに“ガラパゴス化”してしまう」のではないかと危惧する。

 


第1回はこちら

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