JAの活動:JA全国女性大会特集2015
【第60回JA全国女性大会開催にあたって】大川原けい子・JA全国女性協会長2015年1月21日
60回目となるJA全国女性大会の開催にあたって、JA女性組織は何を考え、どう行動すべきなのかを大川原けい子JA全国女性組織協議会会長に執筆していただいた。このなかで会長は、農協改革などの問題について、女性のパワーと協同の力で、地域を盛り上げ、困難を乗り越えていくことの大切さを強調した。
こんなときだからこそ、
お母ちゃんの協同の力で
今回の衆議院選挙では、アベノミクスという経済財政政策の是非が争点といわれましたが、地方で暮らす私たちには、景気が良くなったという実感はほとんどありません。
それどころか米価は下落し、米を中心とした集落の基盤も失いかねないという不安を感じています。飼料価格も高騰しており、農業を継続することすら、厳しい状況が続いています。
そんな中、議論されている農協改革。政府はいったいこの国の農業をどこへ導こうとしているのでしょうか。海外からの貿易自由化圧力が今日の日本農業の苦境をもたらしことに目をつむっているとしか思えません。
◇ ◇
農協改革について、政府から提案されている内容は、中央会制度の抜本的見直しや連合会の株式会社化など、正直、JAでの活動を中心としているJA女性組織メンバーにとっては、わかりづらい面もありますが、県の女性部長や全国の会長をやらせていただいて、中央会や連合会組織の大切さを実感しています。個々の農業者のやり場のない怒りや不安は組織の力で訴えていくしかないと思っています。
農業や農村をとりまく情勢が大きく変化する中で、私たちの子どもや孫たちに、あの時の判断が間違っていたから、こんな風になっちゃったんだ、と言われないように、JA女性組織のメンバーひとりひとりが、学習会などを通じて、きちんと問題に向き合っていかなければいけないと思います。農協改革は、それくらい大事な問題です。
◇ ◇
昨年、インドネシアで開かれたICA(国際協同組合同盟)太平洋地域総会に参加しましたが、協同組合の素晴らしさを改めて認識したところです。
また、多くのアジアの国々が、日本の協同組合をお手本にして、さまざまな活動をしていることを知りました。私たちの活動が、多くのアジアの国々と海を越えてつながっていることに感動しました。
さらに、ICAのポーリン・グリーン会長にもお会いして、「日本政府のすすめている農協改革は、協同組合の価値を否定することにつながる。応援するからがんばって」といわれ、言葉は違っても、目指しているものは同じなんだと感じ、とても心強かったです。
このため、今回の大会は、日本生協連の浅田会長やJF(漁協)の全国女性部の森会長にも連帯のごあいさつをお願いするなど、協同組合の連携を意識した大会としています。また、全国の女性組織メンバーとの交流をはかるプログラムを加えるなど、JA女性組織も協同組合の一員であること、全国に仲間がいることをあらためてJA女性組織のメンバーの方々に実感していただきたいと思っています。
◇ ◇
こんなときだからこそ、協同組合のメンバー同士がその良さを実感し、また、地域の多くの人々に協同組合の良さを知ってもらう努力が必要です。そのためにも、地域の若い人にどんどんJA女性組織の活動に参加してもらい、一人でも多くの人に組織で活動することの喜びや楽しさを実感してもらえるようにしていかなければ、わたし達の未来はありません。
また、わたし達は、協同組合という特性に加えて、女性の組織という特徴も大いに活かしていきたいと思います。女性は、どんな時代でも、家族の健康を気遣って食事をつくり、子どもを育て、家庭を支えてきました。
女性のエネルギーは、日々の暮らしの中から生まれてくるもの。母ちゃんが太陽みたいな家は、安定しているといいます。どんなときでも、自らがエネルギーを生み出し、家族や地域のくらしを支えていく。そして、同じ想いを持つ仲間と支え合う。マイナス思考はいりません。どんなときでも、母ちゃんは前を向いていないといけないのです。
◇ ◇
こんなときだからこそ、女性のパワーと協同の力で、地域を盛り上げ、困難を乗り越えていきたいと思います。
また、六次化だ、直売だ、参画だ、という政府はいろいろ農村の女性に期待しているようですが、これらは、JA女性組織でずっと前から取り組んできたものばかり。何を今さらとは言わず、この風をチャンスと捉えて上手に乗って、さらに活動の幅を広げていきたいと思います。全国60万人の仲間の笑顔をエネルギーに変えて前進あるのみです。
重要な記事
最新の記事
-
【地域を診る】地域の未来をつくる投資とは 公共性のチェック必要 京都橘大学教授 岡田知弘氏2025年2月19日
-
農林中金 奥理事長退任へ2025年2月19日
-
稲作農業が継続できる道【小松泰信・地方の眼力】2025年2月19日
-
荒茶の生産量 鹿児島がトップに 2024年産2025年2月19日
-
卓球アジアカップ出場の日本代表選手を「ニッポンの食」でサポート JA全農2025年2月19日
-
香港向け家きん由来製品 愛媛県、鹿児島、宮崎県からの輸出再開 農水省2025年2月19日
-
FC岐阜との協業でぎふの米の食育授業とサッカー教室 ぎふの米ブランド委員会(1)2025年2月19日
-
FC岐阜との協業でぎふの米の食育授業とサッカー教室 ぎふの米ブランド委員会(2)2025年2月19日
-
デジタル資産問題【消費者の目・花ちゃん】2025年2月19日
-
トラクタ体験乗車など「Farm Love with ファーマーズ&キッズフェスタ2025」に出展 井関農機2025年2月19日
-
野菜本来の味を生かした「国産野菜100%の野菜ジュース」3種を新発売 無印良品2025年2月19日
-
土壌データ見える化を手軽に「らくらく実りくんスマホ版」新発売 横山商会2025年2月19日
-
水田の中干し期間延長 J-クレジット創出方法を学ぶ勉強会開催 Green Carbon2025年2月19日
-
旬の味覚「長崎いちご」発信 特別展示「FOOD DESTINATION PORT」開催 長崎県2025年2月19日
-
掛川牛、青島みかんなどご当地グルメ大集合「春の静岡フェア」開催 クイーンズ伊勢丹2025年2月19日
-
6月12日を「ヘルシーソイラテの日」に制定 日本豆乳協会2025年2月19日
-
「第4回フードテックジャパン大阪」に出展 光選別機3機種で選別実演 サタケ2025年2月19日
-
鳥インフル アルゼンチンからの家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2025年2月19日
-
融資により19.8億円を資金調達 累計調達額は85.8億円に 日本農業2025年2月19日
-
土に還る生分解性樹脂の黒マルチフィルム「Nature master」正式販売開始 昭光通商2025年2月19日