JAの活動:JAトップアンケート 今、農業協同組合がめさずこと
【JAトップアンケート】JA東西しらかわ 鈴木昭雄代表理事組合長 「危機意識持って改革」2015年12月11日
今回は、JA東西しらかわの鈴木昭雄代表理事組合長のご意見を掲載する。
JA東西しらかわ
鈴木昭雄代表理事組合長
回答日:2015.10.3
【問1】あなたの農協では、農業・地域に対し、どんな役割を果たそうと考えておられますか。今後もっとも重要な役割だとお考えの内容をお書きください。
◎食料生産の安定性確保
農業者として国家の食料確保は絶対使命であり、それを求められる限り努力しなければならない。但し生産者の生活、尊厳が失われる事は許されず、JAは所得確保を基本として学習の機会提供、技術情報、生活に関する知識提供等あらゆるアドバイスをしなければならない。更に昨今、生産技術の高度化はJAのレベルをはるかに越え、従来の営農指導での限界に達している。その解決策はJA自らが、生産経営に携り、範を示す事である。この事は所得確保はもちろん、担い手・後継者の育成と所得確保に対する自信を与えるものでなくてはならず当然個別マネージメントが成り立つ事が前提である。
経済事業では特にマーケティングのプロとなる必要がある。他業体と比して劣る事のない、あるいはその真ん中にドップリつかり、流動してゆくイメージである。従来の系統流通にもその同化を求め、協同組合の優位性を強化し、消費者の尊敬を集められる活動をするべきである。
役職員は全てが、自己を磨き、社会、地域の先頭を走る必要があります。
【問2】問1の役割を果たすうえで、今、農業・地域での最大の課題は何ですか。
[1]少子、高齢化
[2]食の多様化による水田農業(水稲)の限界
[3]食の重要性、必要性への無関心
[4]担い手、後継者の向上心
[5]農業者自らのプライド確立
【問3】問2の課題を解決するため、もっとも力を入れようと考えておられることは何ですか。
JA自らが先頭を切って実践し範を示す事。
・プライド確立は農業所得確保の為、農業生産に拘り農業者と共に研究開発に挑戦し、そのモデルとなる様努力する
・水田農業のあり方については、より必要とされている家畜飼料(WCS、飼料米、飼料用トウモロコシ)生産へのシフトを考えるべきと考える。その為にはその利用価値の向上を目指す為、流通、加工、飼養、いわゆる出口対策の研究強化を計る
・限られた担い手、後継者に的をしぼり、規模拡大、効率化を計る等、農業者から農業経営者への脱皮を計る
・広く海外研修等で視野を広げ、地球的価値基準で農業を見直す必要がある
・常に研究機関、大学等と連携し、先進的情報収集に努め、指導に当たらなければならない
【問4】問3に関連して、第27回JA全国大会議案では「9つの重点実施分野」を掲げています。このうち課題を解決し、貴JAがめざす姿を実現するために、もっとも重要と考えておられる事項を3つあげてください。また、その分野において、どんな取り組みを考えておられるのか、具体的内容をお書きください。
b=マーケットインに基づく生産・販売事業方式への転換
(具体的取組内容)
植物工場による野菜生産に着手、業務用、小売等直接販売、米の直接販売、生産者からの買い取り等
e=新たな担い手の育成や担い手のレベルアップ対策
(具体的取組内容)
畜産モデル事業への生産者から子会社への直接出資
g=JA事業を通じた生活インフラ機能の発揮、JAくらしの活動を通じた地域コニュニティの活性化
(具体的取組内容)
G・Sの週3日営業、ワクワクグループ結成 110グループ、1098名(現在)
【問5】第27回JA全国大会を機に、JAトップとして内外に発信したいお考えをお書きください。
農協改革が問われている今、最も大切な事は我々自身が「危機意識」を持つ事だと思います。危機感なくして改善はおろか、改革等できるはずはありません。もちろん意識を持っただけでは何の解決にもつながらず、具体的問題をあげ、個別にその方法を見い出して行く必要がある。ややもするとその解決の全てを政策要求等に掲げ、自らの役割、責任を怠るものでは、農業協同組合の役割を果たす事は到底でき得ず、今こそ、自信を持って食料生産の方向性を示すべきである。
今や、我国の農業協同組合は世界に冠たる位置にあり、協同組合ゆえの運営システムは他の経済組織企業と比して、経済合理性、効率性ははるかに優位性を持つものであるし、その可能性こそ市場原理思想のもとでも、必要不可欠であると確信します。
協同組合が、自己利益を求めず、生産者、消費者利益に最重点を置く事ができるからであります。
生産から流通、消費迄堂々と社会正義を貫いて行きたいと思います。
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