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特集:飛躍する「くまもと農業」

2019.01.15 
【熊本特集(2)熊本県経済連代表理事会長・加耒誠一氏インタビュー】全農・経済連・JAが一体で(1)一覧へ

・自給率38% どうするのか?この国のかたち - 挑戦・地域と暮らしと命を守る農業協同組合

 JA熊本経済連の青果物取扱高のV字回復に、同連のリーダーシップが果たした役割は大きい。熊本県は気候・地形など農業には恵まれた自然環境にあるが、大消費地に遠いというデメリットもある。その中で、県内の主力作目であったイ草や米から露地・施設の園芸作物に切り替え、今や西日本屈指の野菜産地を誇るまでになった。その牽引役を果たしたJA熊本経済連の加耒誠一会長に、園芸振興の取り組みと熊本農業の将来展望を聞いた。(聞き手は今村奈良臣・東京大学名誉教授)

◆多様な品目が強み

 ――熊本県は農業産出額全国第6位。全国でも有数の農業県です。その力の源泉はどこにあるのでしょうか。また熊本農業の特徴、および国内農業のなかで、どのような役割を果たしているとお考えですか。

 
 
熊本県経済連代表理事会長・加耒誠一氏 鹿児島、宮崎とともに南九州3県は農業県ですが、熊本の農業の特徴は作目が多いことです。米あり、野菜あり、畜産あり、さらに花き、果実と、主な農産物は県内で大体まかなえます。つまり品目のバランスがとれているということであり、さまざまな農畜産物を供給することで、熊本の農業は消費者のみなさんに役に立っていると思っています。
 夏場の野菜産地が少ないことから、阿蘇・上益城の中山間地などでは、秋冬野菜などに比べ量は少ないものの夏秋野菜が増えています。また平場の熊本市のナス・玉名のミニトマト・宇城のメロン・八代のトマト、さらに鹿本には生産量日本一のスイカや芦北・天草の柑橘類、球磨のお茶などがあります。種類と量の多さが熊本農業の強みで、農業産出県であると自負しています。畜産も盛んで、主力のJA菊池では畜産・酪農を合わせると農産物販売額の約8割を占めます。熊本県内には黒毛和種のほか、酪農や阿蘇の赤牛などもあります。

(写真)熊本県経済連代表理事会長・加耒誠一氏

 

◆県域での分荷調整

 ――熊本に来れば食べ物はすべてそろうということですね。しかし逆に販売は大変ではないですか。V字回復に経済連の青果物コントロールセンターはどのような役割を果たしてきたのでしょうか。

 
 
 熊本県は日本一のトマト産地です。阿蘇・上益城には夏秋トマトがあり、秋冬には熊本市、宇城、八代、春には玉名と産地をリレーして一年中出荷できます。例えば八代地区でみると、有明海の海岸から宮崎県境の山間地まで広く、海岸側はトマトの施設野菜やキャベツ、ブロッコリーなどの露地野菜、山側の中間地帯はショウガとなっています。八代と宇城地区のショウガは高知県に続く全国2位の産地です。市場の多様なニーズに応え、こうしたさまざまな野菜を組み合わせて出荷できるという強みがあります。
 農産物の出荷は分荷調整が大事です。特に消費地の情報は、JAが個々に集めるだけでは対応が不十分です。青果物コントロールセンターは野菜の分荷調整を行い、円滑な販売に努め、販売力を強化するためにつくりました。経済連とJAがワンフロアで、さまざまな情報の共有化や生産・販売の戦略づくりを進めるものです。参加するJAから担当者を派遣しています。
 それぞれJAは卸売市場との長い取引があり、当初は困難もありましたが、平成20年にJA阿蘇とJAかみましきの夏秋トマトを対象に、九州管内の市場から挑戦しました。その結果がよかったこともあって参加JAが増え、軌道に乗りました。現在は11JAが参加し、主要7品目の果実・野菜を中心に出荷の調整を行っています。
 野菜の生産・販売で1番難しいのは自然を相手にし、また販売環境が変化することです。年内の気温が低いと生育が遅れ、集荷に苦労します。しかし、それでも何とか注文に応ずることができるのは青果物コントロールセンターが、品物を県内から広く集めているからです。
 当初、農家からは、なぜ、われわれが出荷をコントロールされなければならないのかという意見もありました。ところがマーケットが大型化するにつれ、条件のいい注文があっても対応できず、せっかくのチャンスを失ってしまうこともありました。それを防ぐため各JAが結束して対応し、実績を重ねることで理解を得ることができました。経済連が一方的に指示するのではなく、JAとの考えをマッチングさせるため、組合員やJAの意向をくみ取って運営するよう努めています。

 
 
 ――産地を維持するには後継者となる担い手が必要です。特に園芸農家の後継者はどうですか。

 
 
 園芸農家には多くの後継者がおり、彼らが中心になって産地の規模を大きくしてきました。特にトマトの施設栽培が拡大したのは、台風災害後に国の補助事業を活用した耐候性ハウスの導入が契機になりました。平成21年に19haだった施設面積が、24年に55ha、27年140ha、28年186ha、そして30年277haと拡大しました。また、平成24年に京大の教授がトマトにメタボ防止の効果があると発表し、テレビで紹介されたことも消費拡大とともに面積拡大の追い風になりました。

 

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