JAの活動:【緊急特集・JA対話運動】
【緊急特集・JA対話運動】第12回<JAさいかつ(埼玉県)>「農産物の販売」と「訪問」基本に 全職員の基本任務に規定2019年6月10日
埼玉県のJAさいかつは、「農産物の販売」と「組合員戸別訪問」を全職員の基本的任務として位置付けている。販売はJAの「1丁目1番地」であり、一方、訪問は組合員との信頼関係づくりの基本であるという考えで、担い手組合員との徹底した話し合いなど、「組合員との対話」の取り組みを進めている。
組合員を訪問するTAC
同JAは、自己改革の取り組みとして、4つのテーマを掲げているが、その第1に「組合員との対話」を挙げている。正組合員に対する年2、3回の全戸訪問活動や、担い手組合員と語る会の開催による対話の取り組み、また准組合員に対しても、農業振興の応援団づくりをふまえた関係強化に取り組んでいる。
第2のテーマは次世代対策、第3が事業間連携、第4がアクティブメンバーシップとなっている。
◆相談されるJAに
特に第3の事業間連携では、全職員による活動として野菜販売促進活動や、男性職員を対象とする米の庭先集荷の支援を義務付けている。野菜販売促進活動については、JAの基本業務である野菜の販売について、所属する部署にかかわらず、全職員の任務として関わらせる機会を設けるもの。大手の外資系家具販売店と連携し、青空市での野菜販売のイベントを行っているが、品物のチェックや配送は全ての職員が担当している。信用や共済の担当職員にとっては出荷する組合員農家との対話の機会になり、野菜についての知識が、全戸訪問活動の時の話題づくりに生きてくるというわけだ。
このほか、同JAは全戸訪問活動についても、独自の取り組みとして、正組合員を対象に、定期的に簡単なアンケート調査を行っている。「JAさいかつはあなたの営農や暮らしに役立っていますか」、「あなたにとってJAさいかつは必要ですか」の問いにはJAに肯定的な回答が9割以上だったが、「困りごとや相談ごとがあったとき、JAさいかつに相談しますか」については肯定的意見が低く、全体の平均としては86.1%だった。「JAは身近で親しみがあるとは思っているが、困った時の相談先には必ずしもなっていないことを示している」と同JAのJA改革推進室の岡庭正行室長は分析する。中期3か年計画では、JA自己改革をさらに進め、この肯定的意見を93%にアップさせる方針だ。
◆訪問の成果が実績に
JAグループが取り組んでいる全組合員調査についても、全戸訪問活動のなかで実施している。全職員対象に事前の研修を行い、正組合員全戸と准組合員の一部を訪問した。昨年は、事前の全戸訪問活動も含め、3回の訪問活動を行った。回収率は正組合員で約78%、正・准平均で65%となった。残りの准組合員についても、第2次調査のなかで訪問計画を立てている。
岡庭室長は、訪問活動について、「組合員の信頼を得て、結果として事業実績につなげることが大事。支店運営委員会でも訪問活動の重要性を意識的に取り上げるよう指示している」と言う。ただその前提は対話による人間関係づくりであり、JA改革推進室の篠宮秀樹室長代理も「訪問していきなり事業推進の話でなく、会話を通じて人のつながりができることが大事。そうすると、時間がたっても、職員が異動しても、その関係は続くものだ」と、訪問活動の意義を強調する。
◆農業振興の応援団に
一方、准組合員に対しても、同JAは准組合員の活動参加・意思反映・運営参画に関する取り組み方針を定め、准組合員を「農業振興の応援団」(食べて応援・作って応援)として位置付け、関係強化に乗り出す考えだ。
埼玉県東部を管内とする同JAの組合員数は約1万8000人で、うち准組合員は約1万1800人。東京の通勤圏内で宅地化が進んでいる。
「准組合員にアンケートをお願いしても『関係ない』といって断られるケースが多い。これまで、JAの利用者が組合に加入する際に、その目的をきちんと説明しなかったためだが、これからはJAの組織基盤強化のためにも、准組合員にもJAを理解して意識的に加入してもらう必要がある。応援団と位置付けるだけではなく、意思反映・運営参画についても、要領を作って理事会で決定し、組織的に運営参画の取り組みを強化したい」と岡庭室長は言う。
准組合員を応援団と位置付けるための施策の一つとして、営農サポート制度もスタートさせた。都市化が進んでいるなか、一生懸命営農を継続している農家も少なくないが、多くが労働力の不足に悩んでいる。准組合員を対象に、今年から希望者を募集し、農業振興の応援団の拡充につなげたいとしている。
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・【緊急特集・JA対話運動】まとめ
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