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特集:畜産現場を支えるJA全農の若い力

2019.07.12 
畜産農家の経営安定へ飼料の基礎研究で貢献 全農飼料畜産中央研究所(下)一覧へ

と畜場で研究成果を検証 養豚研究室

【JAの活動】特集:畜産現場を支えるJA全農の若い力 研究所のと畜場で肉質もチェックできる

研究所のと畜場で肉質もチェックできる

 

 養豚研究室は、上士幌種豚育種研究所と共同で多産系に育種改良した新ハイコープ種豚の能力を最大限に引き出す配合飼料と飼養管理技術の研究を行っている。
 ハイコープ豚はすでに生産現場には広く導入されている。それまでは1回の出産で総産子数が12~13頭だったのが15頭に増えた。すべての豚が出荷につながれば理想だが、実際には死産もあり、また弱った子豚も出てくる。
 養豚研究室は母豚、子豚それぞれの課題に応えるべく、飼料の給与体系、人工乳の開発などさまざまな飼養管理技術を研究している。
 獣医師の菅沼彰太さんは入会3年目。家畜衛生研究所に入会し、昨年から飼料畜産中央研究所養豚研究室勤務となった。
 大学では微生物を研究。食の分野で貢献したいとこの職場を選んだ。豚の飼養管理技術などは研究所勤務になってイチから勉強した。

 

【JAの活動】特集:畜産現場を支えるJA全農の若い力 菅沼彰太さん

 現在の研究テーマは母豚の育成期の飼養管理。菅沼さんによれば、母豚は生後8か月で最初の種付けをするのが最適とされているが、それまでに内臓をいかに丈夫にするかが重要だという。
 多産系になったことで生産性の向上が期待されるが、それだけに最初の出産までの育成期に丈夫に育てることがより大事になってきたというのが養豚研究室の認識で3年前から研究に着手した。
 菅沼さんは育成期の飼料としては、どういう成分が大事でどれだけの量を与えたらいいかを研究中だ。
 今のところ分かってきたのが繊維質を多く食べさせると胃腸がしっかり発達するのではないかということだ。体重の増加成績などは生きたまま計測すれば把握することができるが内臓がしっかり発達したかどうかは解剖しなければ分からない。
 実は飼料畜産中央研究所内にはと畜場があって週に1回、と畜が行われる。したがって、枝肉を見て肉質を評価することができるだけでなく解体された後、骨や内臓まで、体のなかで何が起きているかを検証することも可能だ。実際に内臓の重さや大きさなどのデータを収集し、飼料開発に役立てている。
 「こんな施設を持つ研究所はなかなかないと思います。繁殖と肥育と糞尿処理だけでなく内臓まで検査できるため職場のなかに研究テーマのヒントが豊富にあると思います」。

(写真)菅沼彰太さん

 

◆現場で農家支援も

【JAの活動】特集:畜産現場を支えるJA全農の若い力 大切な豚の観察と体調管理大切な豚の観察と体調管理

 

 菅沼さんは育成期の飼料開発を続けるとともに、日中は豚の観察や体調管理など「できるだけファーム内で作業をしたい。そこからヒントが得られます」と話す。
 研究室全体のテーマとしては育成期以降の飼養管理も課題となっている。「太らせすぎず、痩せさせすぎず」で健康な母豚を育てる飼料の開発をめざす。子豚では離乳期をうまく乗り越えることができる人工乳の開発にも取り組んでいる。
 また、養豚農家に出向き生産性向上を指導する役割もある。
 多産系の導入によって飼養頭数が増えるため、糞尿を少なくすることを目的として飼料中の成分から不要部分を削減する研究や、繊維質をどうコントールするかなども課題となっているという。
 菅沼さんは「養豚農家と話すとやはり労働力不足の悩みなどを聞きます。研究室の一員として飼料研究以外にも視野を広げ、生産性向上に貢献していきたいと思います」と話す。母豚の育成期に丈夫に育つ飼料研究の成果が期待される。

 


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