JAの活動:第5回 営農・経済フォーラム 営農・経済事業の収益力向上へ
【第5回 営農・経済フォーラム・2】<基調講演>戸井和久JA全農チーフオフィサー 農業振興に向け営業開発力強化2019年9月10日
今回のJA営農・経済フォーラムでは、イトーヨーカ堂の社長を務め現在はJA全農のチーフオフィサーとして販売事業改革等をリードする戸井和久氏が「外から見たJAと私が取り組む全農改革」と題して基調講演した。概要を紹介する。
スマホを持っている人は2010年にはたった9.7%だったが、現在は7割を超え、LINEの月間利用者は7000万人を超す。新聞を読まず、SNSで個人が情報の受発信をしている。
eコマースも18兆円市場となり、それにともなって年間宅配個数は40億個に達している。5300万世帯中、6割が単身・2人世帯で1200万世帯が65歳以上になった。共働き世帯は1980年の2倍の1100万世帯ある。外食・中食市場が拡大し、食には「簡便」、「即食」が一層求められている。
このような変化を的確に捉えた商品開発や営業活動が必要になる。とくに現在はマスマーケットが縮小し、志向が多様化している。数ある選択肢のなから消費者に選ばれる生産振興と商品づくりが必要で「旬」や「限定品」、地域性、物語性などが重要になる。画一的ではなく「出口を明確にしたモノづくり」をしなければならない。
これからの経営は、変化が激しく先は見えないがビジョンを示すこと、常に危機感を持ちスピード早く意思決定すること、コストと投資を明確に分け、トライアンドエラーを繰り返させることなどが求められる。JAによってビジョンは違っていいがトライが重要だ。
JAグループを外から見ていると非常にイメージがつかみにくい。一般的にブランドイメージは商品などの接点から作られていくが、JAグループはあらゆる事業を行っており、全農としてもコーポレートブランドだけでなく、各事業や商品そのものをブランドと呼べるところまで育てていく必要がある。
全農としては広範に原料を持つJAとのネットワークを持ちながらも、ニーズを捉え、それらを差別化された商品として展開していく開発ノウハウや販路が不足していた。そこで営業開発部を立ち上げた。
生産から流通、販売までそれぞれが役割分担し、一定の商品やサービスを生み出す流れをサプライチェーンと呼ぶが今後の仕事の仕方は生産、流通、販売が一体となったバリューチェーンづくりに向かわなければならない。
これはモノの消費からコト消費への変化に対応するもので、商品やサービス、さらに情報や時間を付加価値として消費者に届けること。その価値をどれだけ高めることができるかを考えるのがバリューチェーンであり、それには役割分担の必要はなく、一緒になってどれだけの価値を生み出すことができるかが重要となる。
そのために営業開発部は実需者に近いところで、産地開発、商品開発、インフラ整備、投資などのプロジェクトチームを立ち上げている。そして商品を共有して取引先に営業を行うとともに、ニーズに基づく産地開発・商品開発を進める。
これまでに大手量販店から国産大豆を使用した豆腐の開発要望を受けて、豆腐製造にマッチした品種選定を提案し商品化した例や、飲料メーカーとともに健康志向に対応して国産原料100%の穀物ブレンド茶を開発し、量販店、ドラッグストアで販売されている商品などを生み出している。
めざすのは農業版SPA。チームを組みながら生産から販売まで一気通貫の商品づくりに取り組む。産地を持っているのが強みだが、すべての商品を内製化はできず、食品メーカーや商社などと連携していく。そしてJAグループならではの商品・販売体制を確立していく。また、産地の信頼を得るため、GAPの取り組みが有効だ。
今後めざすのは生産と都市の現場をもっと近づけること。地域の活性化が日本の生産基盤を育て、その結果、都市の消費者の豊かな生活を支えることになると考えている。
(写真)戸井和久JA全農チーフオフィサー
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