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JAの活動:今、始まるJA新時代 拓こう 協同の力で

【鼎談・河合勝正 × 村上光雄 × 大金 義昭】JAへの思い 次世代に伝えて(1)2019年10月17日

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わが「農協人生」を賭けて住みよい農村づくりへ

河合勝正愛知県JA愛知東代表理事会長
村上光雄広島県JA三次・元組合長(元JA全中副会長)
大金義昭文芸アナリスト

 今年の9月30日、JA全中が一般社団法人に組織転換した。政府主導の「農協改革」の一環であり、総合事業を展開するJAの信用・共済事業分離や准組合員利用規制の問題などもこの先に控えている。こうした一連の「改革」圧力に抗して、JAグループはどのような将来展望を切り開いていくべきなのか。直近の数年が大きなターニングポイントになる。単位JAの組合長として先進的な改革に取り組み、地域におけるJAのあり方を率先して示してきたJA愛知東(愛知県)の代表理事会長・河合勝正氏、JA三次(広島県)の元組合長(元JA全中副会長)・村上光雄氏、さらには進行役の文芸アナリスト・大金義昭氏を加え、JA愛知東の本店で意見交換の場を設けた。

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左から村上氏、大金氏、河合氏

 大金 河合さんが組合長時代にJAの幹部会議や研修会などで話された内容をとりまとめた「経営会議組合長語録」を拝見しました。JA全国大会などで確認している3つの危機などを背景に、次の時代をどのように切り拓いていくべきなのかという問題意識が「語録」から強くうかがえました。その中で河合さんは「行き過ぎた自由主義の考え方に対し、協同組合の理念という対抗軸をしっかり持つべきだ」と強調しています。まずはお二人とも、現在の農業・JAが直面する「危機」についてどのように受け止めておられますか。

 村上 「危機、危機」といわれますが、みなさんは本当に危機を認識しているのでしょうか。本当に危機だったら、もっと真剣に考えなければならないと思いますね。政府の「農協改革」に関しては、JA全中も都道府県中も「それほど変わらないだろう」と、自分に都合よく考えているようにも感じられます。しかしそうではなく、今回の政府の「農協改革」は、これまでの「JA叩き」とは違います。官邸主導で、いわれなき「JAつぶし」に本気で取り掛かっており、通り一遍とはいかない。この危機を改革へのチャンスとしてとらえ、新たな展開を考えないと、これまでと同じように叩かれ続けることになります。JAグループの腹構えが問われるところです。

 大金 村上さんは早くからJAが直面する危機を訴え、様々な改革にJAでいち早く取り組んでこられました。2010年代に入って家族農業や協同組合の評価が国際的に高まり広がっている一方で、国内ではこの間に、農業や農村地域を守ってきたJAが強権的なバッシングに見舞われてきました。JAが取り組んでいる「自己改革」の背景には、こうした国内事情があるわけですが、その「自己改革」の先頭に立って走ってこられた河合さんはいかがですか。


◆星の数ほど小集団を 小さく生んで大きく

河合氏 河合 地元JAの歴史とほぼ同じく、半世紀以上にわたって農協一筋の人生でした。振り返ってみるとその間に合併や支店・事業所の統廃合などがあり、決して平坦な道のりではありませんでした。
 JAの「自己改革」は、多様な組合員の意向、時代の大きな変化に沿って、「自己改革」が唱えられる前から、全国の多くのJAが、その地域に合ったJAづくりを進めてきたと思っています。その結果、組合員から一定の評価を得られ、私どもJA愛知東も今日があるのだと思っています。
 しかし、農村社会も大きく変化し、マイナス金利政策や競争原理社会の進展とも相まって、多くのJAが組織や経営の危機に瀕しています。。JAの運営が難しくなっています。それぞれ置かれた立場や環境の違うJAが同じ方向をめざすのは難しいかも知れませんが、組織活動の原点が協同組合運動にあることだけは、改めて確認が必要だと感じています。
 かつての農協は、水田農業を中心に、集落単位のまとまりが核になって組織が成り立っていたと思いますが、いまの集落は混住化が進み、単なる農業だけをベースにJAの活動基盤としてまとめることが難しくなっています。
 従って、小さく生んで大きく育てる理論のごとしで、目的別組織を星の数ほど育て、その組織の結合が大きな協同組織を築くといったイメージの組織づくりもありかなと思っています。JAの根底は農業者の組織ですから、農業生産部会が中心となることはいうまでもありません。農業所得の向上・安定と同時に、農村や地域社会を守る地域政策の視点からの取り組みが、いまこそ必要だと強く感じています。

(写真)かわい・かつまさ
 1948年愛知県作手村(現・新城市)生まれ。69年作手村農協入組。86年参事、93年JA愛知東総合企画室長、94年同参事、99年常務理事、2002年専務理事を経て、05年代表理事組合長。現在同JA代表理事会長、JA愛知中央会副会長。


◆    ◇

村上氏 大金 村上さんは「集落なくしてJAなし」と重ね重ね唱えてきました。これからの集落のあり方をどのように考えますか。

 村上 JAをどうするかではなく、住みよい農村社会をつくりたいという一心で、私の「農協人生」はJAの青年部活動からスタートしました。そのための一つの手段としてJAに関わり、JAを通じて地域社会づくりを考え、JAを通じてやれることは何かと考えるようになり、農地、集落を守るための組織のあり方を模索してきました。しかし、政府はいま農家をつぶし、集落を消滅させるという、私たちの願いとは真逆の政策を進めています。特に中山間地域では、所得増大どころか農家や集落が消えています。この危機に農協は何をすべきかが問われています。地域に住む私たちが、農地や山や川を守ってきたのです。集落や農村が消え、その機能がなくなると、国土を維持することができなくなる。にもかかわらず、これでもかとばかり、農業や農村は追い込まれています。これでいいのでしょうか。

(写真)むらかみ・みつお
 1942年広島県三和町(現・三次市)生まれ。69年三和町農協監事、78年広島県農協青壮年連盟委員長、79年全国農協青年組織協議会副委員長。81年双三三和町農協組合長理事、95年三次農協代表理事組合長、2006年広島県農協中央会会長、11年JA全中副会長。

◆    ◇

大金氏 大金 JA三次と同様に中山間地域を擁するJA愛知東の河合さんは、いつごろから深刻な危機感を抱くようになりましたか。

 河合 特に意識し出したのは、金融ビッグバンが叫ばれ、米の食糧管理制度が廃止された平成の前期ころだったでしょうか。その前から農村の高齢化や人口減少についての問題意識はありましたが、その減少傾向は悪化の一途です。この流れに歯止めをかける必要がある。しかし、私たちだけで地域の農業と生活を支えるには限界があります。日本の農業・農村を守るのは、やはり国の責任です。それにもかかわらず政府は協同組合とその価値観をないがしろにし、JA貯金・共済の資金をターゲットに一般企業とのイコールフッティングを求め、「農協改革」を迫っています。
 こうした動きに歯止めをかけることが重要となっていますが、正直なところ私たちの力だけで日本の農業・農村を支え続けることには限界があると感じています。農業と農村を守ることは、国にも大きな責任があるはずです。農業協同組合が果たしてきた農村での役割をもっと評価してほしいと願っています。
 そんな時代にあって協同組合組織を否定するような「農協改革」には憤りを感じています。しかしながら、私たちJAグループとしての危機感や取り組みの甘さにも問題がないわけではないと思われます。
 かつての米価運動のような政治活動は現代社会には馴染まないと思いますが、今回の参議院選の結果には落胆しました。なぜ候補者を一本化したのか、すべての都道府県が推せんした候補の得票数がこの程度かと目を疑いました。総合農協が否定されようとしている今日、組織結集力を農政活動に生かす取り組みが、いまこそ必要ではないでしょうか。

 村上 農業も大事ですが、くらしの活動も重要だ。しかし、いまの国の政策には、「地域のくらし」という概念がないように感じられる。もっと生活実態の調査をしっかりしてほしい。ともあれ、JAの最終的な役割は組合員の生活を守ることであり、そのための農業でなければなりません。

 大金 河合さんは「不易流行」を座右の銘にしておられる。世の中がどれほど変化しても守るべきものは守り、時代の変化に合わせて変えるべきものは変えるというような意味合いですが、どのように実践してこられましたか。

(写真)おおがね・よしあき
 1945年生まれ。栃木県宇都宮市在住。社団法人家の光協会編集局長、国際協力機構(JICA)専門家などを務める。主著に『野男のフォークロア』『農とおんなと協同組合』『風のなかのアリア 戦後農村女性史』『評伝宮脇朝男』『常野記』など。


◆協同精神は「不易」 事業・経営は変化を

 河合 「不易流行」は組織運営や経営、そして文化の進展や人間形成にそのまま当てはまると思っています。変えてはならないものは「協同組合の精神あるいはその理念」であり、変化・進化しなければならないのは「組織のあり方や事業・経営」です。
 「困ったときはお互いさま」という互助・共助の精神が協同組合として譲れない理念であり、そのために人々が自ら集まって力をつけるのが協同組合の組織です。私たちのJAでは、その取り組みを女性部や高齢者の組織活動に見ることができます。
 JA管内は森林が85%を占める中山間地域で、住民の高齢化が進み、お年寄りは移動手段もない状態でした。困っている高齢者をボランティアで支援しようと、女性部を中心に助け合い組織ができました。通院の移動手段や弁当の配達などを求められれば手配し、今ではデイケアや家事支援などの活動にまで広がっています。JAはそのための施設・設備をつくり、職員も配達を支援するなど、女性部のアイデアを次々に実現しています。移動購買車や移動金融車も、女性のアイデアをいただいたものです。
 女性部はリーダーに恵まれたこともありますが、組合員の願いをかなえるためには、組合員が自ら組織をつくって助け合う。この互助精神が協同組合のすばらしいところであり、これを支えるのがJAです。これからは、女性や子どもに親しまれるJAになることが、地域活性化の鍵になると思っています。

 大金 優れたリーダーがいたということですが、そうした女性リーダーが活躍できる環境・条件づくりがJAの役割ですね。JA三次も、JAぐるみで女性組織の活性化に取り組み、成果をあげてきました。

 村上 組合員や地域の人々のくらしを考える上で、女性のJA運営参画は不可欠です。くらしの活動に、女性のセンスや感覚は必須ですからね。家庭でも地域でも、女性の存在が大きくなっている。女性を中心とする地域の協同活動が活発になると、JAも元気になります。「女性の参画なくしてJAの未来はない」ということです。

 大金 しかし、JAグループにはいまだに男性中心の色彩が色濃く残っている。男性の意識が変わらなければとつくづく思います。女性参画で男性の抵抗はありませんでしたか。


【鼎談・河合勝正 × 村上光雄 × 大金 義昭】JAへの思い 次世代に伝えて<2>


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