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特集:女性に見放されたJAに未来はない JA全国女性大会

2020.01.22 
黒川俊継 JAおちいまばり理事長:女性を活かす職場風土確立へ一覧へ

性別・年齢に関係なく平等に 
黒川 継・JAおちいまばり代表理事理事長

 JAおちいまばりは、愛媛県の東予地方に位置し、平成9年4月に14JAが合併して誕生しました。

女性大学で焼き肉のタレづくり女性大学で焼き肉のタレづくり

 合併当時は山積する課題の解決に向けて様々な取り組みを行いましたが、その1つとして新しい人事管理制度を構築しました。労働環境の違いや賃金格差が是正されずに合併し、また、職員が1000名を超える規模になったことから、新しいJAにふさわしい人事管理制度が必要でした。構築にあたり、JA全中のJASMICの指導を仰ぎ、JA内部プロジェクトを立ち上げました。

 プロジェクトのメンバーには、様々な部門の旧JAの職員を集め、また、年齢に偏りを無くし、女性を積極的に参加させました。このことで、新生JAの一員として一体感を持って検討を進められました。平成10年度からプロジェクトチームが検討した能力主義人事管理制度が運用され、男女問わず能力に基づいた配属、評価、処遇が行われてきました。

 その後、数回の運用見直しを行い、現在の実力成果主義人事管理制度のもと、金融店舗では、渉外職を経験した女性を中心に管理職への登用が進み、29金融店舗のなかで、5名が支店長、11名が支店課長を担っています。また、本店では、4名が課長、1名が部長に登用され、管理職に占める女性の割合は17%となりました。当JAの管理職の年齢層の女性比率が28%であることを踏まえると、女性の割合は着実に増加しました。

 JA内部プロジェクトで諸課題の解決策を提案し、常勤役員がその意向を尊重して経営に反映させる取り組みはその後も継続され、当JAの組織風土として根付きました。プロジェクトを招集する際には、職種を超えて部門横断的に解決策を検討すること、そして、必ず女性を登用することが現在も続いています。

 平成24年度に開校したJA女性大学については、若い女性職員だけの検討チームが立ち上げから運営まですべて行っています。20歳から40歳までの受講生と同じ目線の発想で講義内容や運営方法を企画し、受講生に好評を得ています。また、若い女性職員にとっても、普段の業務では経験できないことを体験し、スキルアップに繋がっています。職員教育については、合併以来、当JAの最重点課題として取り組んでいます。男女を問わず、公平に教育の機会を与えており、JA全中経営マスターコースへは、過去3名の女性職員を派遣するほか、県信連や県中央会にも女性職員を出向させ、能力開発に努めています。

 合併時には、女性組合員の加入促進運動にも取り組みました。当時からJA運動・事業への女性の参加・参画についての重要性を強く感じており、正組合員の女性比率25%を目標に設定して取り組みました。合併による規模の拡大により、広域での生活関連事業施設の再整備が進み、また、組合員から要望があった直売事業や高齢者福祉事業、葬祭事業といった新たな事業にも着手することができました。これらの事業には、特に女性の参加・参画が必要不可欠であり、新たな事業への取り組みと呼応するように女性組合員も増加していきました。


◆出荷者の半数占める

 現在、大型直売所「さいさいきて屋」の出荷者の約半数は女性が占め、売上げの上位の多くが女性です。女性の農業者が増加し、女性ならではの感性で商品の提案ができたことは直売所が成功した大きな理由の一つと考えています。また、生活福祉事業では小規模多機能型居宅介護事業所と4か所のデイサービスセンターを展開しており、そこで働く職員の9割が女性です。女性が活躍する社会づくり、雇用創出の拡大にも寄与できたのではないかと考えています。また、生活福祉部の部長は女性が担っていますが、利用者や働く女性職員の立場に立った事業運営を進めることで、収支は大きく改善されました。

 女性正組合員の加入促進運動とあわせて、総代の女性比率10%を目標に取り組みました。しかし、10%では女性が1名しか選出されない地区が多くなり、参加しづらい、参加しても発言しづらい環境であったことが原因で目標には至りませんでした。女性が発言しやすい環境づくりが大切と考え、平成18年度には目標を20%に上方修正し、各地区から女性が2名ずつ選出される環境を整えた結果、目標を達成することができました。


黒川俊継理事長◆総代改選時に学習会

 このような経験から、選出された女性総代が総代会等で積極的に発言できる雰囲気づくりと、女性自らが参加・参画しているという自覚を促すことを目的として、平成18年度開催の総代会では、女性2名の総代を議長団として選出していただきました。以降、計6回の総代会で女性が議長を務めることになり、今までと雰囲気が違う総代会が開催できました。

 女性総代が活躍するためには、協同組合原則に「教育」が掲げられているように、自らの役割や女性参画の必要性を学ぶ必要があります。平成15年度の総代改選時には、女性部活動の中でJAの事業・活動についての学習会を行い、理解促進を図りました。

 また、姉妹・友好JAの長野県JAみなみ信州とJAあづみの女性部活動の先進事例を参考にし、平成24年度からは「元気なJAづくり学習会」と題して、女性の総代、地区検討委員、女性部、助けあい組織を対象とした研修会を年に1度開催しています。JAの組織や活動等の説明だけでなく、地域や社会の中で活躍する女性組織の事例紹介や、活躍する女性を講師として迎えることで、参加者が地域でいきいきと輝ける何かのヒントと元気を持って帰ってもらうことに力を入れています。

 女性部組織については、多くのJAと同様に女性部員の高齢化と減少が進んできました。女性部員は平成25年度末で1183名となり、合併時の約4割まで減少しました。若い世代が加入しないことに加えて、役員のなり手がいないため、支部自体が解散するケースが発生し、深刻な状況でした。このような状況のなか、若い世代の女性のパワーを地域やJAの活性化につなげることを目的として、平成24年度にJA女性大学を開校しました。若い女性が興味を持ちやすいテーマ設定や、開催日時や託児に配慮することで、8期目を迎える現在では、通算で159名が受講しました。また、JA女性大学の修了生を中心に新たに誕生した「フレッシュ16(いちろく)部会」のメンバーは108名となり、女性部の一員として活動を進め、女性部員の減少に歯止めをかけることができました。


◆経営管理委に女性枠

 役員への女性登用は、経営管理委員に女性枠を設けて選出しています。平成28年度までは、経営管理委員23名のうち2名を女性枠としていました。これも、JA全国大会の目標を基準とし、女性部の代表者1名と全域枠から1名を選出していました。しかし、女性の組合員加入を進めてきたことで、組合員構成に大きな変化が起こりました。平成17年度末に、准組合員数が正組合員数を超え、平成26年度末には准組合員は正組合員の2倍になり、JA事業の利用者として急激に増加してきた女性准組合員の意向をさらに経営に反映するしくみが必要となりました。

 そこで、女性准組合員1名を経営管理委員として登用することにしました。女性准組合員役員として、より積極的に組織運営や事業・活動に参加してもらい、そこで感じた意見を経営に反映させるとともに、女性准組合員役員が橋渡し役となることで、他の多くの准組合員が食や農業、JAへの理解をより深め、組合員の一員であることの意識の醸成と積極的な事業利用と協同活動への参加が促進されることを目標としました。ちょうどその頃、政府が進める農協改革の考え方として、経営管理委員の過半数を認定農業者等とする新たな構成要件が打ち出されました。

 こういった状況も踏まえ、平成28年度から、経営管理委員の定数を2名増員し、1名は青年農業者(認定農業者)等の担い手とし、もう1名は女性准組合員としました。現在では、経営管理委員25名のうち3名が女性役員となっています。なお、女性准組合員役員はJA女性大学の修了生であり、「フレッシュ16部会」を立ち上げたリーダーが就任し、女性活躍に向けた一連の取り組みが良い結果に繋がったと感じています。理事及び監事については、女性枠を設けてはいませんが、常勤監事に元職員の女性が選出されており、能力のある女性が役員や管理職に登用されるという組織風土は醸成されています。


◆女性の正組が3割に

 現在、日本では女性の活躍推進を目指していますが、まだまだ女性に優しいとは言えない社会環境です。世界経済フォーラムの男女格差指数の最新ランキングでは、調査対象153か国のなかで日本は121位となり、過去最低の結果となりました。当JAの正組合員に占める女性の割合は3分の1まで高まっていますので、総代の女性割合を現在の20%から引き上げ、女性の参画機会を損なわないように配慮したいと考えています。そして、人口の半数が女性であるように、組合員や総代、職員の女性比率も半数となり、自然な形で性別や年齢に関わりなく多様な人々が平等に活躍できる組織・地域づくりを目指したいと考えています。


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