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JAの活動:JAグループしまねの挑戦

座談会:県1JAを基盤に中山間地域の営農・生活を支援(1)2020年1月28日

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地区本部の自立性重視信用・共済を本店直結
出席者:石川寿樹・JAしまね組合長、萬代宣雄・JAしまね初代組合長、姉歯暁・駒澤大学教授(聞き手)

 農業と環境を守ることは持続可能な地域社会をつくることであり、JAが農山村地域で展開している農業振興と地域インフラの整備・維持は国連のSDGs(持続可能な開発目標)の考えと共通する。条件不利地の中山間地域を多く抱えるJAしまねは、その役割を将来にわたり果たすため、人口減、経済環境の悪化による経営の危機を予測し、「体力のあるうちに」と考え、県連も含め1県1JAにした。今年3月には統合から丸5年になり、地域間の経済格差、旧JAの“家風”の違いなど、いくつかの課題に挑戦し、経済施設の統廃合や農業振興の資金を設けるなど、「オールしまね」の意識づくりに確かな成果を上げつつある。1県1JAをリードしたJAしまねの萬代宣雄・初代組合長と、統合の理念実現をめざし、経営改革に取り組む石川寿樹・現組合長に合併への思いと現在のJAの課題、JAしまねと島根県の農業についてのビジョンを聞いた。(聞き手は姉歯暁・駒澤大学経済学部教授)

nous20012809_6.jpg左から石川組合長、姉歯教授、萬代初代組合長

◆若者の新規就農支援

 ―SDGsの多くの課題は、JAがこれまでやってきたこととつながります。一方で農業、JAはいま非常に厳しい状況にあります。これをどう乗り越えて維持・継続への道を切り開くかが問われています。同時にこれは地域経済、福祉、介護、家族の機能などの問題に直結します。1県1JAに統合して、今年の3月で丸5年になります。その間、達成できたことや現在抱えている問題はなんでしょうか。例えば歴史も文化、農業の条件も異なる3つの地域を一つにして運営するのは大変なことだと思います。特に人事交流、労働条件の問題をどのように解決しようとしていますか。さらに旧JAをそのまま残した地区本部制はどのように評価されますか。 

 石川 先般、島根県立農林大学校に行く機会がありました。2年課程で40人ほどの学生が学んでいますが、JAしまねから奨学金を借りた場合、県内で3年以上就農すれば返済が免除される仕組みを設けており、4人のうち1人の割合でこの制度を利用しているとのことです。それも実家が農業を営んでいる農家出身者は10人に1人で、非農家の子どもが農業をやりたいから勉強しているのです。2年間農業について学び、卒業後は、非農家出身なのでホームグランドがなく、その多くは農業法人へ就職しています。

 また、JAしまねではリース事業を行っています。やる気があるが資金がなく、営農の地盤となる農地もない。そうした新規の就農希望者に対しては、JAが事業主体として国の補助金などを使ってリースのハウスを建て、10年程度で建設費分を返済すれば、自分のものになる仕組みです。

 このリース制度の利用を希望する人が多く、これまでブドウ、アスパラガス、西条柿などに取り組んできました。今年度、菌床シイタケでは初めての取り組みになりますが、1億1000万円の予算で11棟のハウスを建設中で、年度末に8人にリースします。そのうち5人が新規就農者であり、その多くはすでに農業法人で働き、技術を身につけている方です。

 菌床シイタケはこれまで林業の分野で、JAが補助事業を使うのは難しかったのですが、実績ができましたので、今後普及させていきたいと思っています。こうしたことも合併による成果だと思います。

 農業は後継者がいないから大変だという声をよく聞きますが、非農家育ちでも、目的を持って就農する若者は多くいます。若者の関心が農業に向き始めているのだと思いますが、大事なことは、こうした若者をJAが具体的にどう支援するかだと思います。

 JAしまねは、平成27年3月に県内の11JAが一つになりました。ただ、元のJAがそのままの一つになったこともあり、さまさまな課題があります。人事交流一つとっても、本店と地区本部ではできるのですが、地区本部間ではできていません。

 かつて平成8年に、私の所属したJAいずもが隣接の町村を含めて広域合併しましたが、そのときは徹底した人事交流を行いました。どこのJAにも、それまで培ってきた"わが家の家風"のようなものがあります。まずそれを解体しないと、統合による効果は難しいと思います。

 地区本部間で人事交流ができる仕組みを作らなければならないことを、統合を検討する段階で強調したのですが、給与水準の違いなどから実現しませんでした。そのため、今も地区本部間の異動ができていません。従って業務の合理化も難しいという状況が続いており、まずこれを何とかしなければならないと思っています。


石川組合長◆将来の減収に備えて

 石川 そこで、令和2年3月1日付で信用・共済事業を事業本部制的な運営に移行します。11地区本部の各支店の信用・共済業務を本店に直結させ、各地区本部の信用・共済業務をスリム化し、そこで浮いた人員を本店の業務強化に充てる方針です。

 JAしまねには約1兆円の貯金があり、その約半分を農林中金に預けています。農林中金の奨励金の削減が示されており、令和4年度にはJAしまねで約10億円の減収(平成30年度比)が予想されます。その備えとして、地区本部制を維持しながら、信用・共済事業を事業本部制的な運営に移行し、コストを抑えていくというものです。

 こうした改革を行うと、多少の抵抗はあると思います。しかし、JAが銀行のように経営が苦しいからといって不採算の店舗を廃止していいのかということです。株式会社である銀行は、それをやっています。JAとしては、人員を減らしてでも可能な限り店舗は残すべきだと考えており、利用の少ないATMの再配置なども含め、組合員にご迷惑をかけないよう、いろいろ模索しているところです。


 ―島根県の人口の減少は、JA経営にどのような影響を与えていますか。

 石川 人口の減少は、JAの経営にとっても大きな問題です。第一に、JAの事業を利用していただける人が減ります。それに信用事業そのものが難しくなっており、ダブルパンチです。一方で、JAしまねの組合員は、准組合員を合わせて約23万人です。現在、県の人口は約70万人で、年々減っています。これは子どもを含めた数なので、いかに組合員の比率が高いか分かると思います。正組合員が減る分は、准組合員の利用を拡大することも必要だと思います。それが島根県の実態なのです。

 これまでは信用・共済事業で収益を上げて、営農・経済事業の赤字を穴埋めした上に、内部留保を確保し、出資配当も行ってきました。営農・経済事業をしない銀行が破綻に追い込まれることもあるなかで、JAは地域のインフラを守るため生活購買事業を展開しています。JAがこうした事業をやめたら、地域に住む人の生活は成り立たなくなり、人口の減少に拍車をかけることにもなります。

 JAの経営の厳しさはどこも同じで、生き残りのため1県1JAを視野に入れた取り組みを行っています。中国四国地方だけでも香川、島根、高知、山口県は1県1JAになっています。統合は足腰の強いうちはいいが、弱くなってからでは思い切った手が打てなくなります。形はそれぞれ違っても、統合はやるべき時にやらなければならないのではないかと思います。その点でJAしまねは、萬代元組合長のリーダーシップで1県1JAの形ができました。

萬代初代組合長◆「足元の明るい内に」

 ―その時の、萬代元組合長の合併への思いと苦労を聞かせてください。

 萬代 統合に至るまでには、色々なことがありました。もともと島根県は中山間地域が大半を占め、山林も多く耕地条件の悪い地域です。それだけに地域の生活インフラを含め、JAの果たしている役割は大きなものがあります。

 そうした環境のなかで地域を守り、農家が意欲をもって農業を続けられるようにするのはJAの使命です。その思いで、県内のJAを一つにする統合の道を選びました。5年、10年後に予想される厳しい環境に対し、JAがその役割を果たし、将来とも継続できるようにする責任がJAにはあります。「足元の明るい内に」との思いで、平成21年の島根県JA大会で統合を決議し、6年かけてじっくり取り組みました。

 石川組合長の話にもあったように、島根県の人口はピーク時の91万人から、合併時に70万人ちょっとになり、今は70万人を割るまでになっています。5年、10年先を考えると、このままでは就農者が減って農業ができなくなる恐れがあり、思い切って統合に踏み切ったわけです。

 どういう形で統合するかについて議論を重ねました。島根県は出雲、石見、隠岐とそれぞれ歴史も文化も違った3つの地区からなり、それぞれ生活水準も違います。そうした違いを前提に、11JAをそのまま地区本部にして、経営内容のよいJAに頼るのではなく、お互いが切磋琢磨して収支を賄える仕組みをつくらなければだめだと考えました。

 県連と出雲地区の統合前のJAいずも、JAくにびきなど、それに西部のJAと隠岐のJAなど、体力の違いを考慮し、給与はABCの3段階に分けて考えてきました。特に隠岐地区は、給与を一本にするとJAの経営が成り立たないという事情がありました。結果的には3段階になっていますが、これは固定するのでなく、頑張って利益を上げる体質を作っていこうということです。


島根県地図


◆切磋琢磨で自賄いを

 萬代 島根県は東西約230キロの細長い県です。それぞれ地域によって農業もJAの事業も異なり、本部が指令すればいいというわけにはいきません。それで地区本部が切磋琢磨して稼ぐ仕組みをつくったのです。これが統合の時の基本的な方針でした。

 統合を進めたもう一つの要因は、JA単位で事業していては競走に勝てないということです。畜産、ブドウ、トマトなど、それぞれ地区本部は懸命に努力しています。それを後押しするため広域化し、効率的にできないかということでした。地区本部によっては、農産物の集出荷施設や米倉庫の運用など、同じことをやっている部分も多くあります。これらを包含して効率化し、また技術研修などで人材を育て、レベルアップできる方法を考えたらどうかということです。

 また統合初年度、農業振興資金5億円を計上しました。さらに地区本部の努力を促すため、地区本部独立採算が基本ですが、本部があげた利益は、地区本部のやる気を促すため、業績に応じて配分する業績還元にしました。こうした農業振興や地区本部が切磋琢磨する仕組みは、今後もしっかり続けてほしいと思っています。

◆労働条件標準化が鍵

 ―経営面でこれから重点的に取り組むのはどのようなことでしょうか。

 石川 JAしまねはこれからです。統合の目的を達成するには、大きなエネルギーが必要ですが、ありがたいことに、その基盤は統合によってできたと思っています。あとはこの基盤の上にどのような家を建てるかです。これまでできていなかった人事交流も行う方針です。

 給料や労働時間も、今は地区本部ごとに違いまが、まずこれを平準化したいと考えています。そうでないと人事交流もできません。コンサルタントを入れて検討していますが、JAしまね本店と、労働条件の近い地区本部間で行ってみることも検討しています。


座談会:県1JAを基盤に中山間地域の営農・生活を支援(2)に続く

座談会:県1JAを基盤に中山間地域の営農・生活を支援(3)

【JAグループしまねの挑戦】

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