JAの活動:JAグループしまねの挑戦
次世代農業のモデルに 出雲地区本部の"野菜工場"2020年1月30日
若い力、新技術で島根県農業をリード(2)
JAしまね出雲地区本部の子会社、JAいずもアグリ開発(株)が運営する「出雲やさい親話ファーム『出雲vege』」が、島根県の次世代型農業として期待されている。温室等による半閉鎖的な環境で太陽光を基本に、光、温・湿度・二酸化炭素・培養液などの生育環境をコンピューターで制御する水耕栽培システムで、野菜を周年栽培できる。同本部は、このファームで栽培ノウハウを確立し、冬季の野菜栽培が難しい島根県の農業の一つのモデルとして普及したい考えだ。
成育段階ごとに区分けされたレタスと矢田専務
人工光を利用した完全閉鎖型の野菜工場と違い、「出雲vege」の外見は通常の鉄骨ハウスと変わらず、通常の服装で出入りできる。太陽光利用のためハウス内は明るい。空調はなく温度は水溶液で調整する。施設は6連棟ハウスで、パッキング施設や事務所を含め、約9500平方メートルの規模。事業費約7億円で、平成30年度産地パワーアップ事業(補助率50%)を利用した。
新技術を駆使した野菜工場
計画では、リーフレタスの仲間のサラノバレタス(オランダの種苗会社開発のニュータイプレタス)を年間12回転させ、1日5700株、年間171万玉出荷し、年間販売高1億4000万円を見込む。昨年2月から稼働し、2月15日播(は)種、3月4日移植、18日定植し、4月12日収穫を始めた。8月からフル稼働に入っており、定植から収穫までの期間は通常、夏場は20日前後、冬場は30~35日かける。
サラノバレタスにはいくつかの種類があるが、通常のレタスより葉数が多いうえに、根元にナイフを入れると、すべての葉がリーフ状に外れ、扱いやすいという特長がある。このため量販店や生協、それに業務用などで最近、人気野菜の一つになっている。販売はすべて契約で、直送している。昨年は台風で近場の産地が被害を受けた関東への出荷が多かったという。
昨年の7月には「GLOBAL G.A.P(グローバル・ギャップ)」認証を取得し、販売に弾みをつけている。現在、職員は5人、パート21人で運営しており、出雲地区本部が運営する福祉施設の利用者を雇用するなど、農福連携につなげている。
運営するJAいずもアグリ開発㈱は10年前に、耕作放棄地の解消、新品目の栽培試験、担い手の育成を目的に設立された子会社で、同社の矢田輝夫専務は「昨年稼働したばかりで、今は栽培管理のデータ集めの段階。次世代農業で、近くの若い農業者も関心を示している。パッキング施設には余裕もあり、刺激を受けて水耕栽培をやりたいという人がいれば支援したい」と期待をかける。
重要な記事
最新の記事
-
【現地レポート・JAの水田農業戦略】新たな輪作で活路(2)子実コーンの「先駆者」 JA古川2024年3月29日
-
農業者所得増加へデジタルビジネス加速 農林中金 中期ビジョンを策定2024年3月29日
-
「子ども世代に農業勧めたい」生産者の2割 所得向上が課題 農林中金調査2024年3月29日
-
東京・大阪で組合長らが 「夢大地かもと」スイカをPR JA鹿本2024年3月29日
-
全国から1,000名を超える農業の担い手が集う 「第26回全国農業担い手サミットinさが」開催 佐賀県2024年3月29日
-
家族みんなで夏の農業体験はじめよう 食農体験イベント「土袋でデコきゅうり」開催 JA兵庫六甲2024年3月29日
-
(377)食中毒1万人は多いか?【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2024年3月29日
-
【浅野純次・読書の楽しみ】第96回2024年3月29日
-
【人事異動】全国農業会議所(4月1日付)2024年3月29日
-
品種で異なるメロンの味わいを体験 自由が丘「一果房」で29日から 青木商店2024年3月29日
-
第160回勉強会「レジリエントな植物工場運営・発展に向けて~災害からの復旧・復興事例から学ぶ」開催 植物工場研究会2024年3月29日
-
創立55周年記念 ガーデニング用 殺虫・殺菌スプレーなど発売 住友化学園芸2024年3月29日
-
「核兵器禁止条約」参加求める26万の署名 藤沢市議会が意見を採択 パルシステム神奈川2024年3月29日
-
尾鷲伝統の味「尾鷲甘夏」出荷開始 JA伊勢2024年3月29日
-
令和6年能登半島地震 被災地農家を応援 JA全農石川へ寄付 KOMPEITO2024年3月29日
-
林木育種センター九州育種場 九州育種基本区の「スギエリートツリー特性表」公表 森林総研2024年3月29日
-
農業フランチャイズのクールコネクト シードラウンドで3200万円を調達2024年3月29日
-
鳥インフル 米メイン州からの家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2024年3月29日
-
畜産施設の糞尿処理で悪臭対策 良質な堆肥化を促進 微生物製剤を開発 B・Jコーポレーション2024年3月29日
-
水田のスマート水管理で東大大学院農学生命科学研究科と共同研究開始 ほくつう2024年3月29日