JAの活動:持続可能な社会を目指して 希望は農協運動にある
【特集:希望は農協運動にある】座談会「希望は農協運動にある」岩佐哲司氏(JAぎふ)熊谷健一氏(農事組合法人となん)飯野芳彦氏(元JA全青協会長)田村政司氏(JA全中)(3)2020年10月30日
「JAが大好き」

田村政司氏(JA全中)(左)、飯野芳彦氏(元JA全青協会長)
田村 ところで、お話を聞いていると、みなさん、農協が大好きなようですね。組合員からも世間からも批判されてばかりの農協のどこがそんなに好きなのですか。
岩佐 1983(昭和58)年に農協をまったく知らずに入り、さまざまな事業や、組合員に喜ばれる地域活動を経験するなかで、いまでは「私こそJAが一番好きや」と、自信をもって言えるようになりました。特に地域活動を通じて「ありがとう」「助かった」と組合員から言われることがなによりうれしいです。今度、職員に水消防団に加入を呼びかけようと考えていますが、地域の人と協同活動するのが、農協で働くことの本当の魅力であり、喜びではないでしょうか。組合員の相談を受けて議論し、「ありがとう」と言ってもらえる職員を育て、「すばらしい農協」を残したいと思います。「よろず相談会」を設けた支店に刺激を受けて、いま5、6支店でも開設しています。その声から、あたらしい事業を起こせればと期待しています。
飯野 農協が好きなのは、さまざまな活動に参加できたからです。例えば青年部の活動を通じて、多くの人たちから評価され、農家の社会的地位の向上を実感できました。しかし、さらに新たな協同組合運動を考えないと農協が好きだという組合員も職員も育ちません。なぜなら、いま地域で残っている農家は経済的に豊かで、お金を出せばなんでもできるので、面倒なことはしなくなりました。畦草刈りなど、かつては金がないから分かち合いながらやった。だから楽しかったのです。
熊谷 私の場合、気づいたら農協運動の虜(とりこ)になっていました。スタートは高校1年生の時、自宅で集落の農家組合と公民館の事務局を自らやっていました。卒業して農協から声がかかりました。当時、農協は不祥事続きで、祖父から農協には入るなととめられましたが、「君が農協に必要とされている」と、当時の飯岡農協組合長からおだてられ職員になりました。
親と共に農業をやっていたので、営農知識があり、地域の組合員から求められるままなんでも相談に乗り、3、4年たつと、夜でも朝でも農家が訪ねてくるようになりました。農協マンとして超極早生でしたね。いまの集落営農は、1970(昭和45)~75(昭和50)年の私が30~35歳の頃にほぼつくりました。恵まれた上司、恵まれた農家のみなさんに育てられたと思っています。
当時、野菜づくりの指導もしていましたが、人に教えるには自分で実際に体験しなければならないと考えて行動しました。農作物の栽培は書き物で伝えるのではなく、実践で知った見えないものを伝えることで、本当の信頼が生まれるのだと思います。ただ、周りの農家からは、「うちの集落をお前の実験場にするんじゃない」と文句も言われましたがね。
常に相互扶助の精神
田村 組合員を組織し、協同活動を興すことができる協同組合運動者の育成が叫ばれて久しいです。
熊谷 職員に関して言えは、非農家出身の職員はサラリーマンとしての日常業務に満足し、農家の立場で考え、地域を走り回るような仕事をすることが少なくなったように思います。職員のサラリーマン化は、組織が大きくなったことにも理由があります。
やる気のある職員を育てるには10~20人を選抜して、集落営農のリーダーをさせる、志を同じくする全国の仲間と交流させるなどの経験を積ませるべきだと思います。あの人が言うのならやってみるかという気にさせ、一緒に行動する仲間がいると、5年くらいで人は育ちます。その原点は、数多くの会話、計画立案し自ら引っ張っていく実行力です。
岩佐 JAぎふでは、全組合員アンケート調査に先立って、全組合員に対して訪問対話活動を実践しました。その中で若い職員から組合員と上手く話ができない、何を話したらよいの分からないという声があがりました。職員の引き出しが少ないのでしょう。組合員が興味を示す話のネタが十分にないのです。
小さな支店でも一人か二人、地域のリーダーがいれば運動になります。そのリーダーが、職員から出ないかなと期待しています。それには実践が必要ですが、その機会がない。やはり、事業、事業と言ってあまり職員を追い込まず、長い目で育てる必要があります。そう考え、いま耐えるときかも知れないと思いますね。
飯野 相互扶助の精神が薄くなったのは、みんなが裕福になったからでしょう。最大の課題は、組合員同士のボトムアップの議論が不足していることです。議論の癖をつけたいですね。一問一答ではなく、一問十答くらい。その点で、特に青年部組織が積極的だと、それが組合員組織を維持、発展させることにつながります。普段から議論していれば、必要な場合ぱっと集まって、次の展開に進むことができます。また、インターネットをつかうことにより、全国の仲間と相互扶助とディスカッションは十分できるはずです。
他にも、やれることはいくらでもあります。その一つに支店運営委員会があり、これを活発にする必要があります。そうした席で話すときの第一人称は「私は」でなく「我々」でなければいけないと思っています。株式会社と違い、組織を背負っているのですから。
職員の対話力という点では、指導や訪問するとき、教えてもらう気持ちで臨むと、事前の勉強はしなくてもいいのではないか。コンプラやガバナンスを超越した本当の相互扶助がそこから生まれるのです。
人は協同組合の原理原則に基づいて評価すべきです。みんなで力を合わせてカブを引き抜く「おおきなかぶ」のイラストがありますが、今はユンボで引き抜く人が評価される状況です。そうではなく、人が力を合わせる。これが協同組合です。青年部では青くさい議論をしているかもしれませんが、原理原則から外れていないつもりです。
田村 組合員、役員、職員が地域にしっかりと根をはり、対話を重ね、共に汗をかくことで、自ずと協同組合の未来を支える人材は育っていくと思いました。ありがとうございました。
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